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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
4/30

4. 85日前_コンセプトを決めよう!

「ジョアンナ。

例のお茶会のコンセプトは決まったか?」


「いえ、これからです。

オージアス殿下に確認いたしますが、王妃殿下が主催となっておりますので、そちらの確認も合わせて行おうかと。」


「うむ。その方が間違いないだろう。」


「ちなみに、前回の第四のお茶会のコンセプトって何だったか、覚えてたりしますか?」


「いや。その時期は...。」


「そうでした。」


「いっそ、企画書貰ってくるか?」


「あそこ、貸してくれますかね?」



「おっ、丁度良い所に!

アーノルド!お前に特命をやろう!」


「いやっすよ!あそこに“貸し”を作りたくないっす。」


「おいおい、お前。

 “持ちつ持たれつ”という言葉を知らんのか?」


「あれば便利ですが、第四の類似パーティーをするわけではないので、手に入れられなくても、問題ないでしょう。まあ、万が一手に入れば、残業はだいぶ減ると思いますが。

ね、アーノルド君?」


「...。」



◇◇◇



「で、前回の第四のお茶会のコンセプトが“幻想世界”」


「「...。」」


「参考になりますかね?」


「そりゃあ、豪華絢爛なお茶会になるわな。」


「一体、誰の発案だったんですかね。」


「“心のこもった”経費節約お茶会を目的としている我々には、無理ですね。」


「あっ、なんかそれ、裏テーマっぽいっすね。」


「!!」


「とりあえず、

主催の王妃殿下に、ご意向をお伺いしてきます!」



私たちの部署は、王妃殿下の執務室とは別の階にある。


つまり、階数も異なる離れた所に執務室があるので、少し、いや、だいぶ歩かなければならない。だいたい20分位。


たかだか20分と思うのだが、同じ建物内、20分も歩く建物って、どんだけ広いんだ!と(以下略)




王妃殿下の執務室の警備兵に取次を頼む。


「第三王子部ジョアンナ・カールストンです。王妃殿下にお目通り願いたい。」


「確認してまいります。少々お待ちを。」




「どうぞ、お入りください。」




「ジョアンナ。ご機嫌よう。」


「はい、王妃殿下もご機嫌麗しく。

早速ですが、本日はオージアス殿下お茶会について、ご相談したく。」


「まあ、そうなの?」


王妃殿下は、この国の有力侯爵家のご令嬢で、十六で王家に嫁がれている。五十歳近いというのに、未だに衰えを知らず、どこか少女らしさを残しているお方だ。とても六人の子持ちとは思えない。


育児は乳母に丸投げするのが王族の中では慣例なのだが、この王妃様は、周りからの手助けがあったとはいえ、全ての子供達の育児に携わってきたお方だ。妃殿下が嫁いだ時は、訳の分からない慣習やら因習やら、まだまだ山のようにあっただろうに。


それと戦ってきた彼女には、感服する。また、その経験を生かしてなのか、今の私たちの女子教育の道筋を作ったのも、このお方のご尽力のおかげだ。



「王妃様の方で、何かご要望がございましたら、と思いまして。」


「そうねぇ...。あの子が楽しめるようなお茶会が良いわよね。あまり、わたくしが口出しするのは、良くないと思うのだけれど。そう思って、前回のドゥエインのお茶会に口出さなかったら、あの様だったし...」


「オージアス殿下からは、心のこもったお茶会が良いというご要望が。」


「まあ、素敵ね。そうだわ!

 この後、わたくしあの子に会うの。

わたくしの方から、何が楽しめるのか、

彼に直接聞いておきましょう!」


「いえ、王妃殿下に、お手を煩わせるのは...。」


「だって、あの子の事だから、

絶対あなた方に言わないわよ、自分の要望なんて。」


「はあ。」


「ああ、お気になさらないで、あの子の性格の問題で、あなた方を信用していないとかそういう事ではないから。」


「承知しました。ありがとうございます。

それでは、私はこれで失礼いたします。」


「珍しい紅茶が手に入ったんだけど、

ジョアンナも一緒にどうかしら?」


「いえ。殿下もお忙しいと存じますので。」


「そう。残念ね。またいつでも聞きにきてちょうだい。」


「ありがとうございます。」


◇◇◇


「と、殿下の言葉をいただきましたので、王妃殿下の回答待ちで。」


「妃殿下らしい発言だな。」


「そうですね。」


「しかし、第四のお茶会を“あの様”とは...。

やっぱり、あの“幻想世界”は、ドゥエイン殿下発案だったか。」


「“殿下らしい”っちゃ、らしいっすけどね。」



「ところで、ジョアンナ。

王妃殿下に回答期限をお伝えしてきたか?」


「え。」


「ちゃんと区切っておかないと、あの方々は、準備にどの位かかるのか、まるで分っておられないぞ。」


「この後、オージアス殿下にお会いになるとおっしゃってましたので、明日もう一度、ご返答いただこうかとは思っておりましたが...念のため、アポ取りだけ、今行ってきます!」




たかだか20分と思うのだが、同じ建物内(以下略)




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