3. 90日前_予算を決めよう!
「ジョアンナ。
例のお茶会の予算は、
どれ位で計上する予定なんだ?」
「そうですね。
去年、同じく王妃様主催で第四王子であるドゥエイン殿下のお茶会の金額と同等か、それ以上で考えてますが。」
「さすがに、
第四に負けるわけには、いかんだろう。」
「ですよね~。」
とパラパラと去年の予算を見る
「...。どうしましょう、部長~。」
「ん?どうした?」
「去年のお茶会の予算。
第四の年間予算の三分の一以上ぶつけてますよ~。」
「はぁ?」
「部長、どんなお茶会だったか覚えてます?
私、あのお茶会の時期、年度末だったんで
全然記憶にないんですが...。」
「俺だって、その時期の記憶、飛んでるわ!」
「あっ、そのお茶会、妹が参加しましたけど、
参加者多数、巷で有名なカンタータを呼んだりして、
それはそれは,
豪華絢爛なお茶会だったらしいっすよ!」
と横にいた若手文官のアーノルドが答える。
「第四王子っぽいね。」
「そうっすね。」
「にもかかわらず、
未だに候補者を絞りこみできないという...
残念な結果が。」
「開催した時期が時期ですので、
残りの予算全部、突っ込んだって感じですかね。」
「なんだか、市井の道路工事のような手法だな...。」
「年度末には程遠いこの時期に、
この金額をぶつけるのは、
ちょっと得策ではない気がしますが。」
「だな。
う~ん、積み立ててる投資予算から引っ張ってくるか?」
「それ、殿下に確認しないと駄目な案件ですね。」
「そうだな。」
「私、これから、相談に行ってきます。」
たかだか10分と思うのだが、同じ建物内、
しかも同じフロアなのに...(以下略)
殿下の執務室の警備兵に取次を頼む。
「第三王子部ジョアンナ・カールストンです。
殿下にお目通り願いたい。」
「確認してまいります。少々お待ちを。」
「どうぞ、お入りください。」
通された部屋には、やはりいつもの殿下が後光がさしているように座っていた。
この殿下、見た目も内面も王子様。
ちょっと癖のあるブロンドの髪に、深海のような濃い青の瞳、一つ一つのパーツは人形のようにとても良く整っている。そんな彼を初めて間近で見た人は、だいたい息を飲む。
「やあ、ジョアンナ。元気かい?」
「はい、殿下もご機嫌麗しく。
早速ですが、
本日は、お茶会の規模の確認をしたく。」
「そうだね。
心がこもっているのであれば、
そんなに大げさにしなくていいよ。
弟のお茶会に比べて、招待人数もだいぶ少ないし。
国民の税金だからね、
他に有意義な使い方があると思うんだ。
間違っても、彼らと張り合って、
投資予算から出そうと思わないでね。」
「承知しました。
それでは、私はこれで失礼いたします。」
「もう少しゆっくりしていっても、良いのに。
珍しい紅茶が手に入ったんだけど、一緒にどう?」
「いえ。殿下もお忙しいと存じますので。」
「そう。またいつでも聞きにきて。」
「ありがとうございます。」
◇◇◇
「と、殿下の言葉をいただきましたので、
通常予算のみで。」
「殿下らしい発言だな。」
「そうですね。」
「でも、“心がこもってれば”って、
実務に落とし込もうとすると、中々難問っすね。」
「「...。」」




