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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
29/30

29. とある侍従のおぼえがき(抜粋)_清流の月~実の風の月

【オトゥール暦532年 清流の月 3日】

我々は今、船の中にいる。新しい植民地帝国の祝典に、陛下の名代として殿下が参加する為だ。船旅は、嫌いではないが、いかんせん、落ち着かない。


あのお茶会の後、殿下は、お茶会で参加したご令嬢の中で誰か気になったご令嬢はいるかという問いに対し、“該当なし”と回答していた。そうだろうなとは、思っていたが、やはりそうだった。それに対し、陛下は何か言いたげだったが、王妃様殿下が陛下をとりなしていた。たぶん、王妃は気づいているに違いない。


ちなみに、ドゥエイン殿下は、20名程名前を挙げ、後日、彼女達を招待し、改めてお茶会を開く事になったらしい。旧知のドゥエイン殿下の侍従が、「これで決まれば良いけど、決まらないだろうなぁ」と遠い目をしながら、呟いていた。





【オトゥール暦532年 鈴虫の月 13日】

我が国の新たな植民地での主だった式典もようやく終わり、明日この地を立つ。この土地は、本国と違い、とても蒸し暑い。式典の為だとはいえ、きっちり式典用の服を着こまれている殿下が心配だったが、終始涼しい顔をしていた。さすがだ。


今宵の晩餐会で、提督に自分の娘を殿下の妃にどうかと提案されていたが、さらっと断られていた。確か、提督の娘は、大輪の薔薇のようだと社交界で噂されていた美人だ。うん、殿下の趣味とはベクトルの違う美人だな。


晩餐会の後、殿下の部屋に呼ばれた。

基本、定められた就業時間外に、わざわざ殿下が我々を私室に呼ぶのは、とても珍しい。


何かと思ったら、帰国後、ジョアンナに求婚したいと、そして、協力してほしいと頭を下げられたのだった。


殿下の部屋に入る際、彼女の兄であるアンドリュー殿と入れ替わりだった為、「もしや」と思ったが、


おお!殿下!ようやく決心なされたのですね!

もちろん、全面協力しますとも!

お任せください、このケネスに!

何としてでも、殿下の恋を成就させますとも!!





【オトゥール暦532年 実り風の月 27日】

長きに渡る外遊がようやく、特にトラブルが起こることもなく無事に終わりを告げた。


そして、殿下と共に、帰りの船の中、外堀も内堀も合わせて、彼女への攻略方法を綿密な計画を立てたのだった。それはもう、これ以上ない位に綿密な計画だった。



だがしかし、

船も港につけ、気合を入れて、王宮に戻ると、彼女は既に王宮を去った後だった。


それだけではなく、既に領地に向かったというではないか!その事を知った殿下の気の落ちようは、すさまじかった。数日間寝込むかと思ったが、逆に仕事に精を出しすぎ、鬼気迫る状況に周りが引く位だった。


あのご令嬢の家の差し金か!と疑いもしたが、領主でもある彼女の父親の病気という致し方ない理由だった為、こちらでも手を回しようがない。しかも、嫡男は殿下と随行していたので、本当に彼女しかあの家にはいなかったらしい。なんという事だ。


ちなみに、あの家が関係しているかもしれないと、探りをいれてみたのだが、さすがに宰相殿も彼女の日々の行いの積み重ねに呆れたらしく、どこまで本当かわからないが、彼女は今は大人しく家で謹慎しているらしい。






【オトゥール暦532年 薄の月 25日】

周りが引くほど鬼のようにご政務に集中していた殿下は、それと平行して、彼女と結婚するにあたり、宮中内での根回しや彼女にまつわる醜噂の回収も含め障害になりえる事項を、色々と手を回し、一つ一つ解消していった。


その間に、彼女へ花を添えて文でも送ったらどうかと思うのだが、

どうやら、殿下は、外堀から埋める派らしい。


私は、そんな殿下に仕えながら、

とりあえずジャスミンティーをお出しし、殿下のお心を少しでも安らげるように、お力添えをしたいと思う。

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