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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
20/30

20. お茶会当日_後編

参加者を何とか会場に押込み、お茶会は無事に始められた。


私は今、あるご令嬢が会場のどこかにハンカチを落としてしまったという事で、招待客が集まっている箇所から見えない範囲を、そのハンカチを探している。


午前中は良いお天気だったのに、今は雲がどんどん出てきて、雲行きが怪しくなってきている。なんとか、お茶会が終わるまで、天気が持てば良いのだが。 



ちなみにだが、あちらから私の姿は見えないが、私からは見えている。そして、声もちゃんと聞こえているのだ。



だから...。


「ちょっとあなた!このお茶会に何で参加してるのよ!辞退しなさいって言ったわよね、私!」

「「そうよ!そうよ!」」

「すみません。ですが、父から命令でしかたなく...。」

「あなたが、殿下にふさわしいわけないでしょ!」


という会話や


「ねえ、君カワイイね。

仕事を抜けてちょっとそこまで行かないかい?」

「いえ、仕事中ですので...。」

と給仕の女性を引っかけているどこぞの令息の話声。

たぶん、さっきの文官の娘がひっかからなかったから、給仕の娘に変えたのだろう。



「君、この薬を、あそこに座っている令嬢の飲み物に混ぜてくれないかな。ちゃんと褒美は出すから。」

「ほ、褒美ですか!では!」

という会話が聞こえてきた。


さすがに、最後の会話は見過ごせないので、令息が離れたタイミングで、直ちに薬を給仕の男性から巻き上げ、部長と警備隊に報告した。たぶん、睡眠薬か媚薬の類だろう。王宮で何しようとしてるんだ!全く。


残りの二つは、他の職員と共有しながら、様子見だ。



そうそう、ビビアーノ嬢も、勿論ちゃんと出席している。


参加者それぞれ、挨拶をしに殿下の元へと訪れているが、ビビアーノ嬢は、ちゃっかりその後も殿下の横をキープしている。他の令嬢の視線があれだけ突き刺さっている中、平然としている彼女は、ある意味すごい!殿下は、というと涼しい顔を装っているが、多分嫌なんだろうな。こめかみの辺りが、たまにピクピクしている。



「お姉さま?」


「ん?」


「やはり、お姉さまだわ!今日会えるかと思って楽しみにしてきたのですわ!」


おっと、会場を見過ぎたらしい。

王女の侍女をジュディに気づかれてしまった。


フワフワのお茶会用の淡いピンク色のドレス姿で、こちらに向かってきた。


そういえば、彼女も侯爵家のご令嬢で、今日の会の参加者だったな。


「しー!ジュディ。参加してくれてありがとうございます。今日は、私は、裏方ですから。ジュディは、会を楽しんできてくださいな。」


「もちろんですわ!お姉さまが準備したお茶会ですもの!

ところで、お姉さま、私聞きましたわ!例の件!私、お姉さまがそんな事をなさらないと信じております!」


...。粗方想像は付くが、彼女はどのように変貌した噂を聞いたのだろう?


「私、悔しくって!絶対、お姉さまの仇を、このジュディが打ち取って差し上げます!」


「ジュディ。私の事は、気にしなくて良いのですよ。」


うん、出来れば放っておいてほしい。


「もし、私の為を思うのならば、このお茶会を楽しんでほしいな。」


と彼女の顔をじっと見詰める...


「ああ~。お姉さまがそうおっしゃるならば、仕方ありませんわ...。」


「うん。ほらっ、お友達も向こうで待ってるよ。」


「はい。お姉さまぁ。」


よし。これでジュディはしばらく大丈夫だろう。



と思ったら、ジュディと話していたせいか、ビビアーノ嬢に気づかれてしまった。


あっヤバイ!こっちに向かってくる!

逃げなければ!!



「ちょっと!あなた!何で逃げるの?出てきなさいよ!」


「いえ、そんな事は。本日は、私は裏方ですので。」


「あんなことを引き起こしておいて、なんで、まだ殿下のお茶会に携わってるのよ。」


「はあ。」


いや、私、あなたに対して、何もしてないですよね?


「ひょっとして、あなた殿下に、心を寄せてらっしゃるの?だから、いつまでもここにいるのね!」


いや、仕事ですよ!仕事!


「残念ね。諦めなさい!あなたでは、殿下は到底釣り合わないし、殿下の伴侶の座は、私の物よ!」


なぜ、そうなる?私でないのは、確かだが、さすがにあなたでもないでしょう?あなた、殿下の心象良くないですよ!殿下の苦手な香水も、今日はガンガン臭ってるし。


「あなた、女性なんですってね。ビックリしちゃったわ!最初は侍従にと思ったけど、女性なら侍女にしてあげるから、そしたら、私あなたを許してあげてもよろしくてよ!」


え、いや、何に対して?

しかも、私、誰かさんのおかげで、何日も謹慎してたんですけど!

もう、この令嬢、何言ってるのか分かんないわ!

とビビアーノ嬢の勝手論理にいちいち突っ込みを入れていると、



「あなたね!お姉さまを陥れたのは!」

とご友人の元へ行ったはずのジュディがこちらへと戻って来た。


やばい!

混ぜるな危険!

間違いなく泥沼になる!

何とかしなければ!!


「あら、ジュディ様、ごきげんよう。

陥れたとは、人聞きの悪いこと。」

と扇で口元を隠しフフっと笑うビビアーナ嬢。


「お姉さまは、ただあなたが執務棟に来たのを、たしなめただけでしょ?それなのに、不埒な事をしたって、主張して!」


「なんでも、駄目駄目おっしゃるから、私が懲らしめて差し上げたのですわ!」


自分で、冤罪って言っちゃってるじゃん!


「そもそも、なぜあなたが執務棟に入っているのかしら?あそこは、私たちは立ち入りできない場所ではなかったかしら?」


「殿下に差し入れしようと思っただけですわ!お兄様も良い案だとおっしゃってくれましたし!」


エリオット、お前か!


にしてもまずい。

こちらの騒ぎに気づき始めている参加者が出てきている。

なんとか、この騒ぎを修めなければ...


「お二人とも、申し訳ございません。本日は、殿下の主役の会でございます。どうぞ私の事は...。」


「いいから、あなたは黙ってなさい!」

「お姉さまは、黙っていて!」


ええ~。



そうこうしているうちに、

「あ~うるさい!もう、いいわ。あなた黙って!」

と言ったかと思ったら、癇癪を起し始めたビビアーノ嬢がジュディに向かって、突き飛ばそうとしているのが、目に入る。


さすがに、それはまずい!


すっとジュディの前に体を滑り込ませたが、タイミング悪く、私の足がちゃんと着地出来る前に、ビビアーノ嬢の手が当たってしまい、よろけて、そのまま、近くの池に私は、落ちてしまった...。



ばっしゃーん!



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