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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
2/30

2. 95日前_招待客を決めよう!

早速のブックマーク登録、そして評価ありがとうございます!

がんばります!



「ジョアンナ。

 招待するご令嬢のリストアップは出来てるか?」


「はい。現在婚約者がおらず、

 年齢も適当なご令嬢を。

 ざっくりではありますが。


 これから殿下の元へ行き、

 ある程度のご要望を確認した後、

 再度選定し、

 関係王族と担当大臣の実務担当者と相談し、

 最終的には担当大臣にご報告上げる予定です。」


「了解。」




私たちの部署は、オージアス殿下の執務室と同じ階にある。


が、

離れた所に殿下の執務室があるので、

少し、いや、だいぶ歩かなければならない。

そう、だいたい10分位。


たかだか10分と思うのだが、同じ建物内。

しかも同じフロアなのに10分も歩く廊下って、

一体、どんだけ広いんだ!

と配属した時は思ったもんだ。

今では、良い運動だと思うことにしている。


切羽詰まってる時は、中々、憎らしい廊下なのだが。



「第三王子部ジョアンナ・カールストンです。

 殿下にお目通り願いたい。」


殿下の執務室の警備兵に取次を頼む。


「確認してまいります。少々お待ちを。」


「どうぞ、お入りください。」



通された部屋の正面奥には、大きな窓があり、その前には立派な机がある。そして、そこに日の光を浴びて後光がさしているように座っているのが、私達、第三王子部の主であるグランチェス王国第三王子オージアス殿下である。



私に気がついた殿下は、話かけてくる。


「やあ、ジョアンナ。元気かい?」


「はい、殿下もご機嫌麗しく。

 早速ですが、

 本日は殿下のお好みの女性をお伺いしたく。」


と切り出すと、殿下の隣にいた侍従が吹いた。


「それは、ずいぶん唐突だね。

 まあ、構わないよ。」


「ありがとうございます。」


「そうだね。

 背の高さは、僕より少し低い位かな。

 髪の毛の色は、ブルネット。

 化粧はそんなに濃くなく、

 香水もあまり付けてない、

 しっかりとした聡明な女性。

 

 これ位でどう?もう少し続ける?」



殿下の言葉を逃さないよう、私は必死に紙に書き続ける。



「いえ、結構でございます。

 これ以上多くなりますと

 選定に支障が出てしまいますので...。

 それでは、私はこれで失礼いたします。」


「もう少しゆっくりしていっても、良いのに。」


「いえ。殿下もお忙しいと存じますので。」


「そう。またいつでも聞きにきて。」


「ありがとうございます。」



◇◇◇


「以上が、殿下のご希望でした。」


「結構、具体的だな。」


「そうですね。」


「ここから、ある程度殿下のご要望を加味しつつ、

 絞り込みますか。」


今私は、先ほど殿下から聞いたご要望を参考に、リストアップしたご令嬢をさらに人数を絞り込む為に、陛下、妃殿下、担当大臣配下の実務者達と選定会議を行っている。



「背の高さは、殿下より少し小さいか。

 “少し”とはいかほどだ?」


「とりあえず、殿下より大きくなければ、

 よろしいのでは?」


「そうだな。」




「髪色は、ブルネット...。」


「茶色なら大きく外れていないだろう。」


「そうだな。」


「そうですね。」




「化粧が濃くなく、

 香水もあまり付けていない...。」


「ご婦人は大体、

 化粧も香水も結構つけているだろう。

 どうするんだコレ?」


「まあ、度が過ぎなれば良いのではないか?」


「と言っても、リストからでは何とも。

 しかも、王族のお茶会に呼ばれたとあれば、

 普段付けていないご令嬢でも、

 これでもか!って、

 いう位盛ってきそうですが...。」


「とりあえず、この条件は、横に置いておこう!

 次!」




「しっかりとした聡明な女性。」


「聡明の定義だが...如何とする?」


「女学校を出ている者、

 家での淑女教育が行き届いている者...

 あたりですかね。」


「ただなあ、これはいくらでもやろうと思えば

 虚偽できるからなぁ。噂も粗方盛ってるし」




「この条件に全ての条件に合致するご令嬢は...

 6人ですね。」


「少ない!」


「まあ、全て合致する必要はないと思いますので、

 どれか一つでも当てはまれば良いのでは?」


「そうですね。」




「他に、こちらで条件を付けるとすればなんだ?」


「あっ、このご令嬢!

 この前、王妃様が『あれは、ないわ』と

 ボソッと言ってたので、外してもらえますか?」


「承知しました。何かあったのですか?」


「それがですね...。」




「このご令嬢は、この前、

 第四王子と仲良く芝居を見に行っていたのですが、

 どうします?」


「彼女のその他の条件は、どうですか?」


「ブルネットってだけですかね。」


「では、外しても良いのでは?

 第四王子と遊びに出かけているご令嬢、

 第三王子にぶつけた所で、

 どう転がっても悲劇だ。」


「確かに。」


この後、家格や王宮内での派閥の調整、その他もろもろを加味し、選定の草案が出来上がった頃には、夜が明けそうになっていた。


ある程度出来上がったそのリストは、翌日各部署に一旦持ち帰り、各部で上長の承認を得たり、差し戻されたりを繰り返しながら、数日後、選定理由を付けて選定したご令嬢を、担当大臣に報告した。特に問題もなく、許可を得る事が出来たので、一先ず安心だ。


連日の徹夜で、目の下に隈が出来ていたし、肌荒れも気になったが、まあ、第一関門と呼べるご招待するご令嬢の選定が、無事に終わったのだ。良い事にしよう。



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