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選ばれたのはケモナーでした  作者: 竹端景
第七章 ケモナーと精霊の血脈
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わはまま

「まだ探検したい!クヤと遊びたい!」

「課題をみんなとやるんだろ!まずは課題だ!課題!」


 聞き分けがよかったのが一転して、ぶーぶーと文句をいっている。やけに素直だと思っていたが、昨日と同様に探検をしてクヤと遊べると思い込んでいたようだ。


 なんでそう思ったのかは不明だ。脈絡もなく決めてしまうんだよな…俺も同じとこがあるからわかるけど。

 迷子になるのはそれが原因といわれても治らないものは治らない。諦めてもらおう。主にミルディにはな。


 とはいえ、こうして駄々をこねていても目的の場所にはちゃんと足を向けている。

 それはいいんだけど速度は遅いし、たまに立ち止まるし…いくらなんでも課題をしたくなさすぎるだろ。


 俺は肩の上に腰かけて、ケルンの膨らむほっぺをつついている。

 ミルディにはケルンが授業の間に俺に付き合ってもらい、図書館で集めた本を運んでもらっている。一歩どころか三歩後ろなのは、ケルンからの駄々光線に負けるとわかっているからだろう。道行く人が二度見してるぐらいには、効果があるみたいだ。俺には効かないけど。


 なんというか、普段は素直ないい子なんだが、こういう教育の場ってのは、自分の意見をいえるようになるって面ではとてもいい場所だな。


 なにせこんだけ駄々をいうのは初めてかもしれないんだ。世間じゃこのぐらいの歳の子が駄々をこねるのは普通だと思うんだが、あんまりそういうのがケルンはなかったから珍しいというよりも、面白い。


 ほっぺも柔らかいから押しても絶妙な弾力性がある。もちもちだ。


「うにゃー!ほっぺつんつんしないでー!反撃ー!」

「ははっ。すまん。もちもちしてるから…そんなに課題が嫌か?やらないといけないんだぞ?」


 嫌がっているかと思ったら、あんまり嫌がらず俺の体にぐりぐりとほほをすりよせる。

 ミルディが目をそらしたけど、笑うとこか?


 まぁ、見てわかるように、ここまでだめだといったら、一般的な子供は口うるさい保護者に対して嫌いとかいってくるだろうけど、残念ながらうちのケルンは他所の家の子とはまったく違う。


 肩から俺をつかんで手のひらの上に立たせる。


「難しいもん!それより…僕の大好きなお兄ちゃん…僕といいことして遊ぼ?」

「いい笑顔でいうんじゃねぇよ…流れ弾当たった人が胸を押さえたぞ」

「え?」


 ふわって笑って首を横にするな。いつもの純粋無垢な笑みと違って、艶っぽく、流し目つきとかやめろ。キラキラの流れ弾に当たった生徒が崩れ落ちて震えているぞ。


「しっかりしろ!」

「無理…きゅって…いいこと…エッロ…あ、遊ぶって…うっ…」

「落ち着け!もろもろ押さえないと殺されるぞ!最悪、そこは潰せ!命があれば回復魔法か薬でなんとかなるから!」


 はは。女が三人集まるとうるさいという言葉があって姦しいなんて言葉があるが、男が三人集まってもうるさいもんだ。


 邪な気持ちにならなければ俺以外からも何もされないと思うぞ。膨らむのは妄想だけにしておけ。一応自重したみたいだから見逃すけどな。

 違うところが膨らむなら全力の拳で相手する。潰すどころか穴を開けれる自信がある。


 ってか、誰だ。こんな風なおねだりの仕方を教えたのは。


 おねだりのレベルが上がってもケルンはケルンのままなのか、すぐにいつもの表情に戻った。


「えー…ほんとーにだめー?」

「だめなものはだめ…というか、誰からその技を教わったんだ?」


 その人とはオハナシをしないといけないな。人によってはお話で済ませてやるけど…拳骨付きで。


「んーとね、マティ君がね、こうやってお願いするとね、お兄ちゃんはいうことを聞いてくれるって教えてくれたよ?マティ君の弟がやってるんだって。あと、きれーなおねーさんがおうちに来たときに教えてくれたんだって」


 マティ君のお父さんはケルンを通して会ったことがあるが、まだ弟君には会っていないな。

 たぶん、ケルンと仲良くなれそうなんだよな…ウサギのぬいぐるみとかお気に入りだったし…自分より小さい子と触れあったことはないけど、どこかで小さい子と交流させてみるか。


 綺麗なおねぇさんは交流させるつもりはないけどな。ケルンには早い。

 マティ君に俺の拳骨はかわいそうだから、アシュ君に裁いてもらうか。

 視界の先を見てそう思った。


「そんなこといってないで…ほら、あの後ろ姿は誰だ?」

「アシュ君!マティ君!クラリスちゃんもいるね!」


 アシュ君とマティ君、クラリスちゃんが三人でかたまっている。マティ君は手を振り、アシュ君とクラリスちゃんは軽く頭を下げてこちらに挨拶をしてきている。

 三人を見つけたことで、ケルンのテンションは上がりだし、歩く速度も上がった。


 ってか、跳ねてるようにリズムをとっているが…ずれてるんだよなぁ…リズム感がないというか…うん。課題は大変だな。


 しかし、まったくあれだけ駄々をこねていたのに、もう気持ちが切り替わってやがる。まぁ、そこもケルンのいいところか。


 ぞくりと背中に悪寒が走る。

 すぐに後ろを振り向く。誰だ。


「エフデ様…どうかなさいましたか?」

「お兄ちゃん?忘れ物したの?」

「いや……ほら、行こうぜ」


 廊下だからもちろん人がいないわけではない。けれど、俺たちの方を見ている学生はいない。

 気味が悪い…変に神経が過敏になっているせいかもしれないな。

 俺はそのとき、なぜか深く考えるのをやめた。


かなり遅れました。

実は転職と夜勤が重なってしまって執筆の余裕がなかったのですが、シフトが変わりますのでぼちぼち執筆できそうです。

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