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選ばれたのはケモナーでした  作者: 竹端景
第七章 ケモナーと精霊の血脈
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夢うつつ

 眠りを怖れるようになったのはいつからだろう。

 読んではいけないと隠されていた本を内緒で読みたいからと持ち出して読んでからかもしれない。


 本を読んで何かが変わった。

 何かはわからないけれど、でも変わった。


 尊敬する方への気持ちは変わらないけれど、それ以外の人への気持ちは変わってしまった。

 求めても。求めても。求めても。決して手に入らない。

 いいえ。諦めたらいけない。諦めるなんて許されるわけがない。


 これは必ず成し遂げないといけない。

 材料は何度も繰り返して、何度も剥いで、隅々まで研究をしたというのに、それでも届かない。


 闇の底に落ちてもあがいて、あがいて、あがいて、あがいて!

 全てを投げ捨てても手に入れる。

 そのための種はまいた。種は順調に育ち、大輪の花を咲かせてくれるだろう。


 憎い。花は憎い。花は…花は?ああ、憎い。それでいい。他の理由はいずれ思い出せるはずだ。

 眠りを繰り返せば恐怖はなくなる。計算通りにことは動いている。


 そのために求めた。求めたのだ。憎しみがない、つまらない者にも平等に種を。憎しみを糧に花が咲くことを祈って種をまく。


 これは神への挑戦である。

 これは人への愛情である。


 この世の精霊よ。応答せよ。


 応答せよ。呼応せよ。返答せよ。解答せよ。

 手放したものを返すのだ。


 求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて求めて。

 眠りを覚ます。


 もう止めて。


「…変な夢を見たような…」


 聞いたことがない声が何かをいっていたような気がする。変な夢をみることもあるだろう。変な時間まで話してたから。


「あれ?…どんな夢だったか…」


 変な夢をみたことだけはわかる。内容はさっぱりだ。

 ってことはあんまり心に残んなかったのかも。夢だしな。


「お。もう、起きる…ケルン?」


 時間的にケルンを起こしてもいい頃だと思い、眠っているケルンへと視線を向ける。

 ケルンは眉間にシワを寄せながらうなされていた。怖い夢でも見てるのか?


「おい、起きろー」

「んー…」


 ほっぺをつついて呼びかければうっすらと目を開ける。ぼやっとした瞳だからまだ頭は覚めていないな。

 重ねて声をかけて起こそうとすればケルンは俺の腕をつかんだ。


「だめ…お兄ちゃん…行かせない…」


 そう真剣な声でいったと思えば「ふぇっ」とぐずりだした。しかもそのまま、引っ張って抱き抱えられ…息が吸えない…苦しいっ!


「ぷはぁ!なんで幼児返りをしてんだ!…ああ、もう!目を覚ませって…朝のご飯を食べに一緒に行くんだろ!」

「ふえっ…んむぅ…ご飯…起きる…」


 目を擦ってようやく目が覚めてきたのか、目をぱちぱちとさせながらケルンはいった。


「僕、何が嫌だったんだろ?」

「嫌な夢をみたのか?」

「覚えてないやー…あ、お兄ちゃんおはよ!」

「おはよう。びしっと服を着替えろよ」

「はーい!びしっとする!」


 どうも俺が変な夢をみたようにケルンも何か嫌な夢をみたようだ。

 空調とかオートで快適なはずなんだけど、寝苦しかったし…故障かもしれないな。

 体がだるく感じるとはな…この体でも風邪をひくのか?今日からケルンには、腹巻きでもさせるか。

 着替えを手伝いながらそんなことを考えた。

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