光
微笑む「レッド様」が眩しい。
クラクラする。
「あぁーエミィ。レッド様が眩し過ぎなのよ。なんか、脳天がハゲそうよ」
うさぎのぬいぐるみを抱き締めながらの、私の独り言に、エミィがドン引きからの冷たい視線をこちらに向けている。
夜中の火災城から脱走?した翌日というか、その朝のホテルの1室での呟き。
エミィは、私を無視しながらの独り言を大きな声で呟いた。
「しかし、もうちょっといい宿はなかったんでしょうか…ね?アリステア様は一国の姫君なんですよ。ここは…あまりにも安っぽい宿で…アリステア様がお可哀想です」
確かに、上等とは言えないホテル。だけど、
「私は逃避行の身なのよ…お風呂に入れて、ベッドに眠れただけでも有難いわ。ルミエールの騎士様達には感謝しかないわね」
「フフン?騎士様達…?」
エミィがニヤケている。
追求されても面倒臭いので、今度は私が聞こえないフリをした。
「それよりも、もう出発の時間よ。行きましょう」
バタバタとホテルの外に出て行くと、玄関の前には馬車と「レッド様」が待っていてくれて…「レッド様」の隣にはカナン様も立っていた。ので、エミィに向かってニヤリと笑ってみせた。
玄関前の集合のちょっと前。
ホテルのアリステア達の部屋の前で、レッドはドアをノックするかを悩んでいた。
出発の時間は伝えてある。今ここでドアをノックするのは…出発を催促するようで、気が引けていたのだった。
思い切ってドアをノックしようとして、思い直して、そのまま階下へ降りて行った。
ドアの奥から楽しそうな笑い声が漏れてきて、邪魔をするようで…声をかけずに玄関へと歩き出した。
レッドがホテルの玄関前に出ると、すでにカナンと馬車が待機していた。
「早いな、カナン」
大したことない。の意味ないかカナンは笑いながら首を振った。
2人が馬車の準備をしているところに、アリステア達が「おはようございます」と笑ってくれた。
太陽の陽射しの下で見るアリステアの笑顔が明る過ぎて、リアクションが取れない。
色白という意味の明るさもあるし、左右の色の違う瞳に吸い込まれそうで怖くなってくる。
つい、俯いて挨拶してしまった。
アリステアの抱くうさぎに「おはようございます」みたいになった。
「さぁ、2人とも馬車に乗って下さい」
慌てて、カナンが場をとりなす形をとり、アリステア達は頷きあって馬車に乗ってくれた。女性2人が乗った後に扉を閉めたカナン。
不敵に笑いこっちを見たカナンは「鼻血出さないで下さいよ」と言うと御者台に飛び乗り、振り向くともう一度笑った。
レッドは、御者台のカナンと馬車の中のアリステア嬢を交互に見て、鼻を触って鼻血が出ていない事を確認した。
太陽の光の中を馬車は、ゆっくりと進み始める。




