光
森と湖の国、公国エルヴェリア。
昨年、公主を亡くしたエルヴェリア。その跡取り娘であるアリステアの元に、隣国ルミエール国王の弟であるルドルフが政局として、公主を継ぐ段取りとなった。エリート集団の第三騎士団を伴いの婿入りであった。
ルミエールの第三騎士団所属のレッド·ライアスは、騎士団の仲間達と共に、森の入り口の警備をしていた。
挙式のあとの宴の会場で、招待客達が「森の中で野盗を見た」と騒ぎ始めたためだった。
平和の国エルヴェリアの騎士達だけでは心許ない(大きな声では言えない)そして、王弟陛下の第三騎士団。命令となれば、野盗でも野生動物でも成敗する事が己の使命だ。
レッド達は森の入り口に来ていた。
目の前には、『魔物が住む』と噂の深い森の入り口が口を開けていて、後ろには小高い丘に建つエルヴェリア城が宴の灯りに映えていた。
「怖そうな森だよな…」
騎士団の1人が呟いた。
確かにエルヴェリアの森は深くて、難攻不落の森と言われている。今も、どこに何が潜んでいるのか分からない。そっと、闇が蠢いている…気がする。
「怖いのか?」
皮肉たっぷりに笑ってみせたが、レッドだって見知らぬ国の得体の知らない森。怖くないは嘘になる。
側にいた仲間も、レッド達の会話に入ってきて、恐怖を紛らすための井戸端会議に花が咲いた。もはや、森に何をしに来た?の状態だった。
中の1人が思い出したように言った。
「結婚式凄かったよな。15才下だぞ。いいよな〜俺もあんなに若くて綺麗な嫁さん欲しいよ」
「俺達の15下なんて…ヤバくないか?」
全員が何も言わなくなった。ここにいるのは若い騎士達で、15下なら全員犯罪者確定になる。誰かが呟いた。
「王弟陛下のルドルフ様だからできた結婚だろう?俺達みたいなペーペーは死んでも無理だって」
笑い合う仲間達の会話に目を伏せるレッド。
それを見咎めた仲間達がからかう。
「あれ?もしかして、レッドも羨ましかったのか?」
「いい加減にしろ。今は、野盗を捜して捕まえるのが先だろう」
「うわぁ、怒っている」
騒ぐ仲間達の声に混じって、何かの気配が動く。
「静かに…」
レッドの声に、皆、臨戦態勢になり体全体で森の気配を探った。
どれくらい時間が経ったか…。
突然、動き出す森。
天空の闇に向けて飛び出す鳥達、ザワザワと身震いする森。
誰かが叫ぶ。
「城が、城が燃えているぞ」
城が天を赤く染め、真っ赤に燃えていた。闇に張り付けられた赤く炎を吐く城。




