第6話 やるべきこと
リュミエールと別れ、俺とミレリアは次の場所に向かっていた。
「次は執務室ね、そこで騎士団の管理とかしてもらうから」
「まさか書類仕事か?!」
「ええ、それも指揮官の仕事よ?」
俺は顔を引き攣らせた。
普通なら仲間と冒険し、様々な壁を乗り越え、最後はハッピーエンドを迎えるのが普通だろう。
だが俺はパンツ一丁でミレリアと出会い、皇帝から騎士団を率いろと言われ……
「もっと普通の世界に転移したかったなぁ」
するとミレリアは呆れたように言った。
「この世界は至って普通よ、貴方の召喚のされ方がおかしいのよ」
ぐうの音も出なかった。
俺は気分を紛らわせるため、周りを見た。
するとボロボロの服を着たハーピィ達が固まっていた。
「……なあミレリア、あれは一体?」
するとミレリアは俺に説明した。
「あの子達は前の指揮官に道具として扱われたの」
「道具……?」
「そう、物のように扱われて戦場では囮として使われた」
その言葉に俺は怒りが湧いた。
「リュミエールはどうしてるんだ」
「彼女も何とかケアをしてるけど……でも心に深く負った傷はそう簡単には直せないって……」
そして俺はゆっくりとハーピィ達に近づいた。
俺が彼女達の前に立つと、怯えた表情をしながら自分の羽で身を守るように震えていた。
「ご……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「痛いことをしないで……お願い……」
すると一人のハーピィが俺の前に現れた。
「妹達に手を出さないで……私がご主人様の道具になるから……」
俺は何も言えなかった。
トラウマを抱えた子たちと妹のために自ら身を捧げる姉。
俺は前任者に対して強い怒りが湧いた。
その光景を見ていたミレリアは優しくハーピィ達に声をかけた。
「ま、待ってくれ……この新しい指揮官は──」
指揮官という単語を聞いた瞬間、ハーピィ達の顔は一気に青ざめた。
「やだ、やだ!」
「怖いのやだ!行きたくない!」
「ご、ご主人様!私を連れてってください!」
「み、みんな!この人は大丈夫さ!」
ミレリアの言葉は彼女達に届かなかった。
そして俺はゆっくりと手を伸ばし、姉らしきハーピィの頭を優しく撫でた。
するとハーピィは羽を少しパタパタと動かしていた。
だが後ろにいた妹達が姉の手を引っ張り、何処かへ行ってしまった。
「……もしかして俺は最低な事を」
「いいや、撫でられてる時の表情は嬉しそうだったわよ?」
「でも俺から逃げるように何処かへ行っちゃったよ……」
後悔と何もできなかった自分に腹を立てていると、ミレリアは言った。
「まだ信頼されてないから……かもね、でもこれから少しずつ話せば良いんじゃないか?」
「……信頼か」
ミレリアの言葉に俺は納得した。
「なあミレリア、ある程度の案内が終わったら少し好きにしていいか?」
俺の発言にミレリアは何処か察した。
「わかった、だがパンツ一丁であの子達を追いかけ回したら、私が処す、分かったな?」
「あの時は不慮の事故だって!」
こうして俺は今日やるべきことを見つけた。




