39.
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本日2投稿目です。
王都までの道中は雨季も終わったのか晴れが続いた。
御者についていた協会員2人は男性がフリントさん、女性がルミーナさん。なんとフリントさんは副協会長補佐、ルミーナさんは受付主任と協会員のなかではなかなかの役職者。
王都の検問時に俺達は伯爵家の関係者に待ち伏せされる可能性も…それを探索者協会として牽制するため役職者を同行させたらしい。
それと王都の探索者協会に俺達は接触しない事となっている。そこの橋渡しにフリントさんの立場が活躍予定だ。
無事何事もなく、最後の宿場町も出発。
晴れ渡り、気持ちのいい天気だ。ここまで来ると魔物や盗賊の脅威は全くなく、馬車の脇を行商人や旅人がのんびり歩いている。
しかし、道中全く伯爵家からは接触がないな。俺の予感では途中で私兵を使って連行ぐらいしそうだな、と思ったのだが。
「う〜んっ!やっと王都かぁ。長かったねぇ…王立学院も王都だよね?また、この長い距離を移動するのかぁ」
「次来る時はチームメンバーだけで来ると思うよ。…あれ?御者のやり方も覚えないといけない?」
「あぁ、ユキトさん。乗合馬車や護衛任務を受けて王都にって手も使えますよ?まぁ御者や馬の乗り方を習っておくのはいいと思いますけどね。」
「そうですね、フリントさん。そっか護衛するなら、馬の乗り方も習っておかないとな。」
「まだ1年半以上あるんです。確かアルトの協会でも御者と馬の指導をしてたはずですよ?」
「そうなんですね。アルトに戻ったら確認してみます。」
陽も傾き始めた頃、王都が近づく。外壁はアルトの倍程の高さに奥行きも倍近くありそうな堅牢さ。
さすがに王都の検問は貴族のみが優先らしく俺達の馬車は行列へと並ぶ。
検閲の為に衛兵が近づいてくるが、フリントさんがそれを遮り封書を掲げる。
話してる中にフルトラング伯爵家、アルトール辺境伯、探索者協会、協会長の単語が途切れ途切れ聞こえてくる。近づいてきた衛兵達は苦虫を噛み潰した表情。もしかしなくてもフルトラング伯爵家の指示が飛んでいた?あ、なんか少し偉そうな人が駆けてきたな。
「お前達っ!!そこの協会の馬車に手出しする事はまかりならん!すでに勅命が下っておる。速やかに門を通せ!!」
おっ!勅命!って事は嘆願書が通ったのか。
嬉しい誤算だ。もしかしたら道中の平穏め勅命のおかげだったのかな?
あれ?身元証明は?え?馬車自体が証明になる?
門を抜け道の脇に馬車が停まると、キリュウさんとリンネ、ノーレムが立っていた。
「無事に着いて何よりだ。まずは宿に案内しよう。協会員は目立つから…ここからは歩きだ。」
「ユキト、無事で良かったよ。まずは宿に荷物を置いてから…現在の状況から説明するよ。」
フリントさんとルミーナさんはここで一旦お別れ。
今後まフリントさんかルミーナさんが協会の情報を逐一宿に届けてくれるみたいだ。
荷物を抱え、キリュウさん、リンネ、ノーレムの後ろに付いていく。宿は表通りから少し入ってところに、作りは3階建てで土台は石造りのしっかりした堅実な外観。中に入るとフロントにロビー、階段があり、奥には食堂。食堂も商人らしき人達が多数。探索者らしき人もいるけど高ランクっぽい。部屋はすでに確保してあるとの事。
キリュウさん達もここに泊まっているらしく6人部屋を並びで取っていた。
「まずは部屋に荷物を置いてこい。その後、食堂の個室を取ってあるから、食事しながら説明をする。」
キリュウさんはここで待ってるみたいだ。
「よしユキト、ボクが部屋に案内するよ!後で理由は聞くだろうけど…宿泊費は協会持ちだよっ!」
そう言いながらリンネは軽快に階段を登っていく。
部屋は通路奥の角部屋。手前が、キリュウさん達。
荷物を置いて食堂へと戻る。
食堂で、案内係に奥の個室へと案内されて席に着く。
個室はキリュウさんと俺達チームの6人だけ。すでにテーブルの上には料理と飲み物が並んでいる。
「まずは、腹も減っているだろうから、食事をしながら聞いてくれ。…命令書を出したフルトラング伯爵の甥に当たる男はガメッシュ・フルトラング。王都にある探索者協会北支部の協会長だ。ちなみに王都には本部、北支部、南支部、東支部、西支部と5カ所存在する。王都は広いからな。で、俺達はバッカートの協会でやったのと同じように各支部の受付で周りに聞こえる声で聞いてみたわけだ。みごとにどの支部でも命令書が出されていたのを知らなかった。おそらく協会長、もしくは協会幹部ぐらいまでしか話を知らなかったんじゃないかな?で、ガメッシュ協会長が金欲しさにランクFの探索者を命令書を発行して貴族に売ったって話をばら撒いたわけだ。
もちろん北支部から講義はあったが、そこで勅命だ。
御前決闘が決まったぞ。ただし、戦闘不能、四肢欠損問わず、降参・代理無し…だ。」
「御前決闘はいつ行われます?決闘内容は…今後シホの自由が保障されるなら構いません。あと、北支部?のガメッシュ協会長の動きは?」
「御前決闘は10日後だ。王城の騎士訓練場で王族や貴族の面前で行われる。もちろんユキトが希望したシホの自由意思は、勝てば国王様の権限と責任を持って施行される。シホの存在は今後、王様の後ろ盾を得た状態になるわけだな。あと、ガメッシュ協会長は動きは無い…と言うより動けないが正しいか。今回の命令書が人身売買になるのでは?と叩かれて本部の監査が入り、北支部から探索者がゴッソリ移動しちまったからな。」
「おぉ…王様の後ろ盾!ねっ、ユキトが勝てば安泰?」
「シホの嬢ちゃん、安泰にはなるがそこは表だけだぞ?貴族には必ず裏がある。油断はしちゃいけねぇ。」
「シホ、もしかしたらシホの名前が触れ渡る事で厄介事も追加の可能性?」
「いやぁぁぁっ!やっぱり安寧を求めるには国外逃亡?」
「うーん。ユキト、シホとは神に誓った婚約者で間違い無いな?」
「はい、そうです。本来なら婚姻を誓ってますが、成人するまでは婚約者の形で。」
「ん?すでに婚姻を誓っているのか?なら、それは国王様に報告だな。夫婦離縁の強要は犯罪だ。フルトラング伯爵家は、お家断絶が決まったな。」
「離縁の強要…確かに、そうなるのか…成人してなかったから婚約ってことにしてたけど…婚姻を誓ってるって話してたら今回の厄介事は無かった?」
「その可能性はあったな。ただ過激な奴はユキトを亡き者にすればシホが手に入るって考える。それを考えたら国王の前で婚姻を神に改めて誓えばいい。立ち会った貴族様達も証人となるしな。これで、手や口を出す輩はほとんど居なくなるだろうぜ。」
「なるほど…その方が無難ですね。そういえばキリュウさん達ってアルトに帰る依頼があったのでは?」
「あぁ、強制依頼でそれは消えた。御前決闘まで王都に滞在決定だ。」
「強制依頼?ランクC以上に課される依頼ですよね?」
「おう、今回の強制依頼はランクF探索者、ユキト、シホ、リュカの御前決闘までの護衛任務だ。ちなみにこの宿は護衛に適切って事で協会本部が負担している。まぁ勅命に入ってたから断れんわな。」
「うわっ、俺達が原因ですか。」
「更に、騎士団からも護衛が派遣されているぞ?この宿の周りも騎士が目立たないように配備されているしな。あとは…公にはしてないが王族直属の諜報部も護衛についていると思っとけ。」
「もしかして…御前決闘まで俺達って自由に動けない?」
「そこは大丈夫だ。王都見学するなら俺達のチームの2人が必ず付くし、諜報部も付いてくるだろうからな。ただ宿から出る時は必ず声は掛けろ。」
「わかりました。護衛よろしくお願いします。」
食事も満足に終わり、お茶を啜る。
「そういえば、リンネとノーレムは自由たよね?どうするの?」
「ん?ボク達は予定通りに3日後にランクアップ試験だよ。その後は観光とダンジョン?」
「そう言えばダンジョンがあるんでしたよね、王都。」
「一般探索者に解放してるダンジョンはクレモアだね。あと王立学院内のクレミア…ここは王立学院生と専門課程生だけに開放だね。」
「ダンジョンって魔物が出てきたりはしないんですか?」
「昔、王都では無いけど、何度かあったみたい?放置してたダンジョンから大量の魔力と共に溢れたらしいよ?ただダンジョンの魔物って魔力の塊みたいで倒すと魔核と一部分を残して霧散するんだ。その時ダンジョンの魔力濃度も下がるみたいで、常に魔物討伐を行っているダンジョンは溢れることは無いって言われてる。」
「得るものが少ない代わり解体の手間がなくていいですね。戦闘経験を得るにはダンジョンは最適?」
「あとは宝箱だね。魔具や高ランクの武器や防具、そして水薬。」
「奥の階から四肢欠損を治す水薬とか出てきそうですね。」
「実際出てるよ?クレモアの40階以降だったかな?世間では超癒薬って言われてる。」
「癒術にちなんだ名付け?」
「そう、小癒薬、中癒薬、上癒薬、超癒薬。効果もほぼ同じ。でもクレモアはまだ底を見た探索者が居ないんだ。更に奥には蘇生薬もあるんじゃ無いかって噂されてるよ。」
「ユキト、俺達もクレモアに40階まで潜った事あるが過酷だぞ。不衛生になるわ、食料も水も限られた量しか持ち込めないわで散々だったわ。」
「うわー大変そう!となると日帰りダンジョンツアーだね!」
「おっ、と。長居しちまったな。まぁ、ユキト。観光、買い物、食事なら声掛けて動けば問題ない。ちなみにダンジョンはダメだぞ?」
「はい。わかりました。」
「よし。今日は部屋に戻ろうか。」
ふぅ…思ってたよりも迅速に事が動いていたな。
嘆願書を出してくれた辺境伯様と協会長2人に感謝だな。
それに、騎士と諜報部の護衛があるなら観光なんかは問題なく自由に動ける。
学院についても調べられそうだ。
こうして王都滞在がスタートした。
お読みいただきありがとうございました。
読んでみて、面白かったと思ってくれて評価してくださると嬉しいです。
不定期になるとは思いますができる限り書き続けていきますので、よろしくお願いします。




