2
「源殿から聞いていませんかな?今回はそのために貴方達に来ていただいたのですが・・・」
そのことを聞いた瞬間とても王様が可哀想になってきた。
「我ら帝国は黒の一族が黒国であると認識するということを前々から源殿にお伝えしておりましてね。今回魔物や魔獣が増えてきたということでちょうどいいからうちの子供をこちらに送ると言ってくださっていたのだが・・・」
そういうことか・・・、私達も彼らも父上の手のひらで踊らされていたということか。しかも話を聞く限りでは何年も前から話されていたことだという。
ならば里の皆には今頃ネタばらしされているのだろう。全く、あの人は人で遊びすぎる。だがこれでこの世界のすべての国は黒国というのを認識しているということになる。
しかも、今回のことで私達の面が帝国の人たちにわれてしまったことだろう。非常にこれからやりにくくなりそうだ。
「失礼ながら王は父とどのようなご関係であられるのでしょうか?」
「彼と私は実は古い友人でね。私が人質として捕らえられていた頃があってね。その時に帝国が黒国に依頼をしてね。彼に助けてもらったのだよ。その頃からか彼はたまに私の部屋に遊びに来てくれるようになってくれてね。それからの長い付き合いさ。今でも手紙をたまに送っていてね。今回の件もその手紙に書いたはずなんだが・・・」
「残念ながら我々はそのことを伝えられておりません。なので今回の件はただの魔物、魔獣退治と父には伺っておりました」
どうやらこの人は相当父を信頼しているらしい。まあ、仕事では信頼のおける人だから問題はないのだろうけど、父のことだその頃から何か企んでいたに違いない。本当、この人が段々と不憫に思えてきた。
「そういえばまだ名を名乗っていなかったな。すまない。私はアレクサンド・ディ・ウィリアムだ。こいつは第一子の」
「ギルネスト・ディ・ウィリアムです」
「第二子のアルベルト・ディ・ウィリアムです」
「第三子のシェリー・ディ・ウィリアムですわ」
「正室のエリザベス・ディ・ウィリアムです」
「長男の風間 龍騎です」
「長女の風間 火蓮です」
「次女の風間 雪です」
やはり皆さん美形ぞろいだ。それに里で見る人とはまた違う上品さがあった。
皆、金髪碧眼の美形で大体の印象としては、ギルネストが目が少し鋭い感じの俺様的なオーラを出している人で、アルベルトが少し柔らかな印象の顔つきをしていていわゆる王子様系の人、シェリーがふんわりとした感じでまるで小動物のようだ。エリザベスさんは切れ長の鋭い目が印象的だ。
アルベルトとシェリーが父親似でギルベルトが母親似なのだろう。
しばらく帝国がどのような国なのか話を聞いていると驚いたことがあった。
まず、正室と側室とかあることに驚いた。だからエリザベスさんは正室と言ったのだろう。正室と側室とでは扱いが全然違うのだとか。それに紹介された3人の子供はエリザベスさんの子供らしい。側室の人の子供は貴族の養子になるのだとか。
もう一つ、騎士などの戦う職業には女は入れないのだという。里は人が少ないからというのもあるが強ければ戦闘に参加することが出来るのでとてもビックリした。だから迎えに出てた騎士達に女の人がいなかったのだと納得した。少し暑苦しいと思いながら歩いてたので女の人が居ないのはとても残念だった。でも、魔法使いは貴重なので女でも使うそうだ。
そして次に今回私達が帝国に呼ばれた理由を言われた。どうやら今回は魔物や魔獣退治を名目とした顔合わせと謝罪のようなものらしかった。
ぶっちゃけて言うとどうでもいいことこの上ないがとりあえず家に帰ったら父になんて言ってやろうと考えていると視線を感じた。
なにやら王様以外の人の視線を感じる。何かを推し量るようなそんな視線だ。
まあ、相手の王族がどんな人たちかというのを見るのは大切なことだだが、今の私たちはあくまでも任務をこなすために来ただけなのだからこのような扱いはして欲しくないというのが正直なところだった。
本当に迷惑だ。あの人はそのこともちゃんと考えての事だったのだろうな。だから最後に私にあんな念を押すようなことを言ったのか。
私は今更ながらに気づいた事に少し後悔していた。まあ、どっちにしろこうなることは確実だから逃げ用はないのだが・・・。よし!!うん、家に帰ったら散々言葉攻めしてやろう!!一番下の私には何故か父は逆らえないところがあるのだ。だからそこをつついてやることにしよう!!
そう私は心に決めた。
父親のキャラがどんどん濃くなっていきます。
一体どんなことを今までやってきたら子供にここまで思わせることができるのだろう?
ちなみに父親は里一番の実力者です。
だからその父親に反抗できるのは家族だけというわけです。
それに末っ子の雪には甘いですよ。