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最終回後編 真の真犯人

「理解してくれたようだな」

そう言うとバスに乗り込む警察嫌いの黒木。

「刑事さん…… 」

運転手が泣きつく。

「済まないが乗せてやってくれないか」

「はあ…… 別に良いっすけど。どうせ仕事ですからね」

運転手をどうにか説き伏せる。

「よしなら早く乗れ! 俺も乗る! 」

「ふざけるな! 誰が刑事と同じ空気を吸えるかよ! 」

ここまで来れば黒木の勝ち。刑事は引き下がるしかない。

「分かった。勝手にしろ! だが下山したらすぐに話を聞くからな! 」

「はいはい。分かりましたよ刑事さん」

黒木は勝ち誇ったように大笑い。


「黒木! 戻っておいで。いい加減にしないか! 」

見かねた小駒さんが引き止めようとする。

「うるせい! さあ行くぞ運転手! 急げ! 」

黒木の命令に渋々従う運転手。

「頼んだぞ! 」

迷惑そうにヘイと答える。

ついにバスは黒木を乗せ出発。


「行くんじゃないよ黒木! 黒木! 」

小駒さんの懸命の説得も黒木には通じなかった。

「何で止めないんだい? 」

刑事に突っかかる。

「仕方ないだろ。ただの被害者或いは関係者では拘束力はない。

だから強制も出来ない。お願いベースだから。

ほらお婆さんも車に戻って」

「命令かい? 」

「いえお願いです」

小駒さんは大人しく従うことに。

黒木を乗せたバスは下山を開始する。

「ちょっと待っててくれ。今警部に報告してくる」

もうバスは姿を消した。


はあはあ

はあはあ

「失礼します警部。黒木が勝手にバスに。我々もすぐに後を追いますので」

そう言うと出て行った。

「おいちょっと…… 」

「ふふふ…… どうやら黒木は本性を現したようですね。

ではそろそろ事件の真相を語るとしますか。ねえ探偵さん」

不敵な笑みを浮かべる。


「はあ…… では改めてなぜ雑見さんを? 」

邪魔者は居なくなったのに何を気にしていたのか慎重だった山田さん。

もう懺悔の時間だ。

「我々は黒木ら詐欺集団を抹殺する為にこのドスグロ山ホテルを買い取りました」

「ちょっと待って。我々? 買い取った? 」

「はい。彼がこのホテルを買い取りました。そして黒木たちを抹殺する準備を。

手始めに犯罪被害者の会と接触を。一度彼の付き添いで龍牙さんにも会ってます。

その時会長さんとお話を。彼らに慰安旅行を提案しました。

同じ境遇ですからね。会長さんは二つ返事。こうして殺害計画がスタート」


「それでなぜ雑見氏を? 」

「私自身は何の恨みもありませんが彼には強い恨みが。

ガラクタの壺を無理矢理買わされたことで命を絶った男。ほら田中さんの元恋人」

「嘘…… やっぱり…… トオル? 」

いつの間にか田中さんが姿を見せる。

「トオルに新しい恋人が出来て私は振られた。たぶんそれがミサさんだったのね

でも彼はそんな人じゃない。亡くなったと聞いてすごくショックだった」

「トオルさんの家族とは? 」

「いえ電話でしたから。もしかして…… 」

「はいその方が今回の私の協力者。あなたの元恋人、トオルさんの父です」


「では山田さん。まさかあなたは依頼されて雑見さんを? 」

「そう言う約束ですから代わりに。お世話になりましたし当然ですね」

「まさかその男がホテルのオーナー? 」

「はい。それからこの殺人計画を立てたのはもちろん二人で」

「では共犯だな。そいつは誰だ? 早く答えろ! 」

刑事が急かす。


「それは探偵さんに推理してもらいたい」

「私に? 黒木さんではありませんよね? 」

「当然じゃないですか! もう少しまともな回答をしてください」

怒らせてしまったか?

「小駒さん? 」

「違います! 」

「やはり龍牙さんが怪しいかな。奈良さんと共謀して…… 」

首を振る山田さん。満足の行く回答ではないようだ。

「だったらマジシャン! 彼なら何でもこなせそうだし」

「いい加減にしてください! そろそろ答えを」

このままでは明後日探偵の評判が地に落ちる。どうしよう…… もう外せない。


「でしたらバスの運転手さん」

一瞬山田さんの目が泳ぐ。

「はい正解です。彼こそがこの連続殺人事件の共犯者。真の真犯人。

ドスグロ山の雷人です」

あっさり答えてくれた。それにしてもバスの運転手が共犯って本当?

 

「そうですか。ではまさか…… 」

「はい。結局は彼がこのドスグロホテルに誘った」

「しかし二泊三日で五人は現実的ではないような…… 」

「そこは私が出来るまで。後は彼に任せるつもりでした。

それまでに黒木たちを恐怖に怯えさせ警察を嫌悪させる必要が。

それから黒木たちを留まらせることも大事に。

もちろん天候もありますが土砂崩れは彼の役目。天候不良で工作は無用でしたが。

ああそれからオーナ―として従業員二人をコントロールしていたのも彼。

初日にガイドさんに気付かれないか冷や冷やものでしたよ。

大胆に運転手で。さすがに雇い主のオーナーだとは思わなかったようですね。

通報が遅れたのも彼が報酬で縛っていたから。彼女たちに罪はありません」

「分かりました」


「それから…… 」

「ちょっと待て! 今は呑気に話を聞いてる時じゃない。まったくこの野郎!

時間稼ぎしやがって! 運転手だ! 黒木が危ない! 」

警部は急いで外へ。

私も急いで追いかける。


バスは?

だがもちろんバスはどこにも見当たらない。

「何だあれ? 」

警部の視線は燃え盛る炎へ。


嘘だろ? バスが炎上している。


              エピローグへ続く

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