FILE43・つながり
掃除を進める。少しずつ、少しずつ、丁寧に、怪しまれないようにちゃんと清掃員を装いながら歩いていった。
廊下のゴミ、埃を丁寧に掃き、拭いていく。
「ふぅ・・・」
と、小さく息をつき、となりを見ると、掃除という動作になれていない錬が、ぶつぶつと小声で文句を言いながらゴミを拾い集めていた。
「喋るなよ」
と、低い声で言うと、錬はぶつぶつといっていた文句を止めたが、顔が完全に不満げだ。
こんな駄々っ子にかまっている暇はないので、私は掃除をしながら、何か特別代わったことがないかどうか、横目で辺りを見回しながら箒をしきりに動かす。
その時、妙なものを見つけた。
灰色の単調な壁に、小さな溝が縦に、一本そして、少し間を空けて、もう一本入っている。
こんな感じのシュチュエーション前にもあったな・・・と思いながら、壁を押してみた。
・・・びくともしない。
ふと後ろを振り返ると、錬が怪訝そうな顔をしてすぐ後ろに立っている。
何も言わないけれど、「何それ?」と、言いたげな表情だ。
よし、ちゃんと忠告守ってるじゃん。
私は満足げにうなずいてから、そこの壁を注意深く見つめた。
こんな感じのものが、少し前にもあった。
そう、確か・・・。
はっとひらめいて、私はその壁に触ってみた。
足元に、小さな凹凸を見つける。
「・・・取っ手」
錬の小さな呟きが聞こえた。
そうだ・・・デパミチで見つけた、あの密売室と同じ取っ手だった。
デパートでの密売と、馴玄株式会社が、少しつながった気がした。




