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Technophobia  作者: 本名
6/9

Ⱥ

 原理的に当然なことなのかもしれないが、男と女の登場する物語というのは必ず出会いについて忠実に描かれる。伊坂幸太郎の『砂漠』の鳩麦との出会いは西島の服を選びに行ったその店先で、『少年のアビス』ではコンビニの休憩時間、煙草を吸う鮮烈な思い出。『ノルウェイの森』なら坊主の緑、カフェでパスタか何かを食べながら。『風の歌を聴け』では酒場の水場だったかな。


Boy meets Girl 出会いこそ

人生の宝探しだね


しかし残念ながら、僕は彼女との出会いについて事細か鮮明に描き出すつもりはない。


特に意味はない。


特に意味もなく、文字を走らせている。


特に意味もなく、たまにちょっとしたこだわりと享楽をその波に乗せる。


どうして意味を必要とする



ねえ、そこの貴方。そうそうそこの君。


ちょっと贅沢すぎるよ。たぶんね。


まあ、なに、冗談だよ。ごめんなさい。


僕は彼女となんてことはない曲についての会話を交わし、なんてことはない河川敷でなんてことはない曲を歌い、彼女は、奇妙な趣味というか癖をやけに恥ずかがりながら僕に話した。


これでいいかな、君たちが欲しいものは。


僕は、ただ一つのURLを共有され、それをたまに見てみてほしいと頼まれた。「よければ」と添えて。


挿絵(By みてみん)

こんにちは。書き出しは何にしようか迷ったのですが、平素に挨拶から失礼します。

 昨今はSNSによる情報の交換、意思の疎通があたりまえになりましたね。新しい道具に対する抵抗のない私達若年層が見せる順応に私は驚かされてばかりです。まあそれも、ただ若いからという意味ではなく、構築させたシステムを持っていないが故に新しいシステムの構築に対するコストが限りなく低いというだけなのかもしれません。それが単に若いことと相関しているだけ。固定電話の線を抜くのは勇気がいるでしょ、かなり。

 思い出は”ストーリー”に、またあとでキャプションと編集ができるから懐かしみたければそこを見返せばいい。コミュニティの帰属から解き放たれてもストーリーを日々更新し、更新されたストーリーを確認していれば大丈夫、私達はつながっている、いつでも会える。

”関西に住んでる方今日の夜空いてる人いません?”

 キャリアを積んで、資格を取って、ある程度長文の読める技量のある人間たち(これがなかなかすくないのかもしれないですね)はその手のWebサービスを始めて不特定多数の人間とつながればいい。私はまだ行ける、前へ、上へ。誰とでも繋がれる、いくらでも。

”〇〇な私が▢▢で△△できた方法”

 そんな昨今ですがローカルに閉じた電脳空間の中でかわされる比較的開けた(つまり制限の少ない)コミュニケーションというのはかなり珍しいのではないかと思って、前々からこういう方法、(つまり今みたいな方法ですが)での情報のやり取りに興味があったんです。

 だって。

 だって、私は別に自分を着飾ってよく見せたいとも思わないし、右手に生ビールを左手にはスマホを持ってなにかの宗教のようにRECを押したいわけじゃない。別に生産性なんて上げなくていい、収入も、今ので十分。そりゃやりたいこともある、目標もあるよ。でも、他の人はどうかわからないけど私は普通の人間だもの。


 私はやりたいことをやりたいだけやりたいときにやって死ぬ、そりゃやりたいことを見つけるためにネットに潜るけど、”文化資本格差”、うるさいのよ、私がふらっと立ち寄った本屋で1000円くらいする御香を買ってもったいないからたまに落ち込んだとき以外部屋に飾ってるみたいなことでなんでちょっと惨めな思いしないといけないのよ。悪かったわね、高くておしゃれな、なんかよくわかなんない香水とかじゃなくて!


 話は変わりますが先日お会いしたときはありがとうございました。すごく楽しかったです。お互いに歌はあまり上手じゃなかったけど。


-_-

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