序_12 深淵の瞳
今起こったことを説明しようと思う。って言っても、あまりに色々な事が起きてうちもついていけてないんだけど…。
まず扉からゾンビがでてきた。でもその姿を見たらゾンビっていうのとは何か想像していたものと違った。
そいつの姿はデュラハンとかって言う死神の様な姿だった。だが、物語とかで出てくるデュラハンと違って、首の切断面から大きく虚ろな目玉がこちらを覗いていた。
その全てを見透かした様な一つ目が、とても恐ろしくて気持ち悪かった。
そいつがユリの方へ、ゆっくりと歩きながら近づいていった。
もちろんユリは槍で必死に近づけまいと抵抗していた。でもそいつはのっそりと歩いてたのが嘘のように槍を軽々とかわしていた。
うちが薙刀で加勢に入って何とか攻撃が当たりはじめた。
でも、そいつには攻撃が全然効いていなかった。まるで硬いコンクリートの壁にでも攻撃している様な感じだった。
そしてそいつは、狙いをユリからうちに変えて…。
『ザシュ…』
気付いた時には自分の体から赤い血が吹き出ていた。そして膝から床にうちは崩れ落ちた。
「キャーー!!!」
ユリが叫んでいる。まだ死にたくない…。
そんな自分の思いと裏腹に、血が流れ意識が遠のいていった。