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ラクリマの群青  作者: 日輪猫
仕組まれた偶然と誰も知らない必然
33/59

No.9 歪んだ塔と蒼い剣 - 6


こんばんわ!!

今回はあんまし進まないよ!ごめんね!

戦闘回はもうちょい先だよ!

 


 目の前に差し込んできた小さな光を目指して、緊張感を漂わせながら階段を降りる。目的の場所に近づくに連れて、耳に届く音は

  ──ガシャ、ガシャッ と言う自らの武器と鎧や服が交わって出されるものだけになっており、話し声などどこからも聞こえることはなかった。

 今から訪れるのは、おそらく初見殺し必須のダンジョンであると皆が理解しているからである。


 そうして一段一段を慎重に下って行き、その光が視界一杯に広がった頃。


「あの樹の下がこんな風になってるとはな...」


 初級プレイヤー達一同は、斜塔アストリアのEXステージであるこの空間の最深部に足を踏み入れた。

 そしてその頃ソーマはダンジョンの最初の空間であるこの場所を見た時、辺りを見回しながらそんなことを1人呟いた。


 近くにある柔らかい草原に足を踏み入れると、その下にはそれらが生えているのが納得できるほどフカフカとしている地面が埋まっている。

 強く地面を踏むと、足がフッと吸い込まれていく。その感触は、沼地に足を踏み入れた時の様なものではなく、いつまでも歩いていたいような、いつまでも歩き続けられるようなものであった。


 しかしそれは、戦闘がしやすいように、長時間歩き続けられるようにと言う運営者側の目的があるのではないかとも受け取ることが出来る。

 逆に言えば、戦闘や長時間の滞在を前提としていると考えられる。そんな考察を、ソーマは抱かずにはいられなかった。


 話を戻そう。先程まで話し合いを行っていた始まりの場所に深く根を張るあの樹から下へ下へと下り、ソーマ達が踏み込んだこの場所は──、


「樹の下にまた木があるなんて、不思議な所ね」


 転送前の世界、アルペティアでも探せばすぐに見つかるような、木々がうっそうと生い茂る森林であった。


 ソーマの隣で同じように辺りを見回すアリスが、彼の意見に同意するように言葉を漏らす。

 しかしその中でも、2人が転送前の世界とは異なると感じた事は森林が立ちはだかっているこの場所の壁であった。

 その壁は半球体に型どられており、その森林の少し奥にも他の道が見える、どちらかと言えばアーロックなどの地下ダンジョンの様な構造であったからだ。


 もちろん、アーロックにも木や草はよく生えていることがある。アリスの杖を探しに行った時に遭遇したゴブリンパーティーの舞台であった第39層がいい例だ。

 しかしここまで草木や花が生え、挙句の果てには池すらあるのはソーマ達の経験上、アーロックでは考えられないものであった。


 大小折り重なる木々が、知らぬ場所から運ばれてくる風に踊らされてゆらゆらと揺れ始める。それに伴って、木の中で休息を取っていた青や黄色の毛の色をした小さな鳥が、可愛らしい鳴き声と共にその木から空へと飛び出してきた。


 タンジョン内にモンスター以外の動物がいる。

 これも前の世界では考えられないことであり、ソーマは鳥達が向かっていく方向へと視線と顔を彼らに合わせて動かしていった。


 ───いや、動物はいたな。


「考えられない」そんな事が頭を過ぎった時、ソーマは自らの意見をすぐさま上書きするようについ先日の事を思い出した。

 アーロックで杖を探していた時に出現した、モンスターではない「白兎」。あれは一体なんだったのだろうか。

 ソーマ自身、未だにアレが何なのかしっかりとした考察すら固まらないままでいた。アリスは少し違ったが。


 そうして、暗くて恐ろしいダンジョンに突如目の前に出てきたあの雪玉を思い浮かべていたその時だった。

 ──ピロリン と今の状況に全く合わない、そんな効果音が流れたのは。


 それが発信された元は彼らの腕からであった。腕に巻きついた白い手錠 ログ。先ほどの音は、メールやメッセージと言ったようなものが送られてきた合図である。


 そして「彼ら」と表現したのは、文字通りここに転送された全員のプレイヤーにその音が鳴り響いたからだ。

 一人ひとりが一斉に自らの腕を見る。

 因みにこのダンジョン内での時間表示は現実時間のものではなく、ここに転送されてからの経過時間であった。

 現在は00:00:25:43 と記されていた。

 右から順に日にち、時間、分、秒を示しているのだろう。


 その時、皆がその出来事に少しの恐怖感を抱いたのは、メールの差出人が「不明」で、送られてきたタイミングが最後の1人が階段を降り終えた直後であったからだ。


 少量の冷や汗を頬に垂れさせながら、ゆっくりとメールを受信したと言う知らせのマークに指を当てる。

 それに触れれば中身を見ることが出来るからである。


 ──フッ とタップした指を離した瞬間にメールの中身が表示される。ログから3Dで映し出される画面を皆が出してそれをゆっくりと読み込んでいこうとする。


 しかしメールの内容は最初に配られた説明書のように、読み込むような文章ではなく、一つの画像が入っていただけだった。


 しばしの間ロード期間を置いた後、パッと画像が表示される。その中にあったのは──、


「なんだこれ...? 絵...なのか??」


 地図なのか絵なのかよく分からないように描かれた、まるでアリの巣の様なものであった。


 これが、今回のダンジョンの大きな鍵を握ることとなる。



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