No.8 歪んだ塔と蒼い剣 - 5
どうも!お久しぶりです日輪猫ですぅぅぅう!
やっと忙しいのが終わりましたので!
本日から投稿を再開させて頂きます!
本当に更新ストップしてしまってすみませんでした...
舞台は誰も知らない転送先!そんな緊急事態をソーマ達一行が乗り越えることは出来るのか!?
乞うご期待!
「大体話し終えたし、そろそろかな」
そうポツリと呟きながら、後ろで立っていた仲間達とアイコンタクトを交わすスウェントル。
その後下にいるプレイヤー達の所へ行こうと、一行が太く焦げ茶色を表面に纏っている根からフワッと飛び降りてきた。
先程のアイコンタクトは、降りることを確認するためのものだったのだろう。
それに伴い、45度程に傾けていたプレイヤー達の頭と視線もゆっくりと元の状態へと戻されていった。
そして───、
「よし。行こうか」
以前としてみんなの前に立ち、リーダーシップを発揮するスウェントルのそんな一言をキッカケに、視線の先にある闇に向かってソーマやアリス達を含む一同は歩を進めていった。
その闇は、彼らを歓迎するかのように、あるいは警告するかのように近くに張り巡らされていた葉やツタ激しく揺らしてきた。
その揺れる度に耳元に届く鋭い音に、皆が恐怖心を抱き、そして警戒心を抱いていた。
※
ダンジョン内へ行くために潜った門の先には、目を凝らせばうっすらと確認出来ていた様に、冷たい石で作られた階段が続いていた。
そして壁は外見と同じような、焦げ茶色をした根で出来ているようであったが、暗いため視覚的にはほぼ黒く写っていた。
しかし触感は、現実世界の木の根を触っているかのように少しザラザラとしている。それが木の根と感じさせる一番の特徴であった。
表面側だけでなく、その内部にも生えているツタや葉、そしてそれに群がる小さな虫たちがあからさまに恐怖心を煽ってきたが、その壁に定期的に配置されている光が彼らに僅かながら安心感を与えていた。
「これ、どうなってんだろうな?」
ペースに合わせてゆっくりと階段を下っていく。その間に度々視界に入る光を見て、ソーマはそんな疑問を抱いていた。
光は、壁から生えた円形の台の上で浮かぶ小さな石だった。
上下の先は尖っており、細長いひし形のようになっている。
この照明石はアーロックでも度々見かけはするのだが、その構造はよく理解していなかったのだ。
「これはね、エルドって言う魔石なの」
そんな呟きを近くで聞いていたアリスは、足を動かしながらもソーマにそう答えた。ソーマが魔石エルドからアリスの方へと視線を向ける。アリスは説明を始めた。
「ダンジョン内によくある魔石でね。みんなから出される魔力を燃料にして明かりを灯しているの」
ダンジョンへ向かう階段を降りる流れに乗って、一同のやや後ろの方で足を動かす。
そんな中で、ソーマは彼女の話を聞こうと興味深く耳を傾けた。
「魔力を吸い取る。って事か?」
自分なりに出した結論に反応を求める。
「んーー。それとはちょっと違うの」
それに対し少女は、視線を少し落として、悩むように可愛らしく口元に手を当てた。その手は軽く握られており、見るからに柔らかそうで桃色をした唇には人差し指が当たっていた。
どう説明すれば上手く伝わるのか考えているのだろう。
「ダンジョン内にいる人からいっつも魔力を吸い取っちゃうってなると、いざと言う時に魔力が足りなくなっちゃうかもしれないでしょ?長時間いると大変な事になっちゃうし」
そしてアリスは、下に向いていた目線を少年の方に向けた。
「だから、魔力を取るのはメイジの使う魔法から。モンスターに当たらなかった魔法とかあるでしょ?それをダンジョンが吸い取って、全てのエルドに配ってあげるの」
「ほー、なるほどな。なんか生きてるみたいだな、ダンジョンって」
「ほんとにね。栄養を蓄えてそれを均等に分けて上げるなんて、まるで親子みたい」
そんな話を展開させて、クスッ と、おかしな例え方に小さな笑いがこぼれ出る。どんなに暗く周りが恐怖心を抱いている中でも、そんな風に笑みを浮かべる事が出来る2人。
そんな心の強さは、お互いを信頼し合いながら希望を抱いているからなのか、それとも前回の絶望を経て若干吹っ切れているからなのかは定かではなかった。
一方その頃それを片目に見ていた1人の見習い魔女は──、
「な、なぜそんなに怖くないのれすかねぇ!?」
と、胸の中ですら最後の方を噛みながら、ノエルのいる時でも起きることのなかった超緊急事態に体と心を震えさせ、両手が痛くなるほどに杖を握っていた。
しかしそんな叫びなど聞こえるわけもなく。先程と変わらぬように仲の良い少年少女と小さな見習い魔道士を含む一同は更に深く、深く下へと潜って行った。
──コツコツコツ... と足元へと耳を傾ければ、のべ32人のプレイヤー達の身体が深く沈んでいく音が拍を刻んでいる事に気づく。足裏は、石の冷たさが伝わっているかの様にヒンヤリとしていた。
そしてその拍が刻まれていく度に、自分が闇の渦へと飲み込まれていっていると感じるこの状況が、半ば強引に緊張感を持たせてきた頃。
果てしなく長い階段の終わりを告げるかのように、茶色の壁側に位置するエルドからではない白い光が先頭集団の視界を鮮明にしながらも差し込んできていた。
ソーマ達はダンジョンへすぐに突入することをまだ知らない。
しかし、確実に新しい悲劇がじわじわと近づいて来ていた。




