No.6 歪んだ塔と蒼い剣 - 3
更新遅れて悪い!
個人的な色々でバタバタしてた_|\○ _
これからもちょいちょいこんなことあるかもしれんが許してくれ、、、
「ここ、5層じゃ、ないんです...」
──サァァァッ と木々が揺れる音がする。
目の前にいるベルは下を向きながらそんな言葉をポツリと放ち、それを聞いたアリスも同じように俯く。
木々を揺らしている要因である優しい風が、ソーマの黒い髪を右側へと靡かせるが、そんなことに彼は全く動じない。
彼は、目を大きく開け、衝撃を受けていた。
「...は?」
ソーマは1度もこのダンジョンに来たことがない。
そのため、ここが5層ではないと言われても彼女の言葉を鵜呑みにする事も出来ず「もしかして嘘をついているのではないか」なとど言うことが頭を過ぎったりもした。
しかし、彼女達の表情が明らかに暗い事。
そして、遠くの方で何やら会話をしていた他のパーティー達も遠くから見ても分かるほどに困惑している事から、ソーマは思考を現実に引き戻され、それと共にそんな言葉を無意識に発した。
もう1度、自分を囲うこの空間に目を張り巡らす。
確かにここは第1層の様に人々が笑い合う声も聞こえず、出来る限り商品を売ろうと奮闘する商人も見当たらない。その上、こんなにも植物は多くなかった事にも改めて気づいた。
地面も土で作られていなかったし、あるはずの照明用のライトもない。
ここは、想像していた所とはかけ離れている空間だった。
「じゃあここは、どこなんだ?」
そう思ったソーマは、目の前で以前として俯いている2人にそう投げかけた。
それを聞いた時、下を向いていた頭を上に戻したは良いものの、それでも口をつぐみながらハッキリとした答えを言う事の出来ない2人。
彼女らもこの状態が一体どういう事なのか、把握しきれていないようにもとれる。
そして、その時。
「おーい、みんな!1度、集まってくれないかー?」
中心の辺りで会話をしていたパーティーのリーダーらしき人物が口元に手を当てながらいきなり声を張り上げた。
そんな声がこの空間内に響き渡り、それを聞いた約7つのパーティーが発信元の方に目を向ける。
それらのパーティーは多くて5~6人で構成されているものが多く、体格のいいプレイヤーも居たりしたのだが、あまり人と戦闘する機会のないソーマであっても、皆そこまで強いプレイヤーではないだろうと言う印象を受けていた。
そして自らを含めた全員に声をかけた男性は、ソーマがここにテレポートする前に見かけた、明るそうな騒がしそうなパーティーで楽しそうに笑っていたリーダーの男だった。
そうして声を掛けられてから数秒後──、
「と、取り敢えず、あそこに行ってみましょうっ!」
それに従うように段々と集まっていく他のプレイヤー達を見ていたベルは未だ立ち尽くしている2人に対し、そんな風に声をかけて早足でそちらへ向かっていった。
左右に揺れながらも少しずつ小さくなっていくベルの背中。
それを見てからソーマは、先程まで目の前にいたアリスの方へと名前を呼びながら駆け足で向かって──、
「行ってみようぜ」
未だにベルの背中を見続けているアリスの横顔を見ながら、優しく言葉を放った。
「うん...」
そう言ってこちらを向いた彼女の顔は、相変わらず目線を下に落としながら曇ったままだった。
※
ソーマとアリスがその場所についた頃には、既にほとんどのプレイヤーが集まっていた。
大きな木の根元に位置するここは上から差す光が葉によって遮られ、その葉の隙間から出ている光だけが地面に届いている。
そのため、土の上は小さな光達によって水玉模様のように照らされていた。
そして、その美しい地面の先にある木の根元には大きな穴が空いていた。
「みんな、集まってくれてありがとう。俺はスウェントル。アストリアを長い間攻略している者だ」
その穴を見つけて凝視していた時、そう大声を出して皆を集めた男 スウェントルが大きな木の根の上に立った。
出来る限り皆に見てもらうためだろう。その木の根は相当な厚みがあり、その下にいるソーマ達からは彼が良く見えた。
そしてその少年は堂々とした姿と、ハキハキと話し、自身に溢れたその瞳を持つ、いかにもリーダーと言うような男だった。
隣には、テレポートをする前から行動を共にしていたプレイヤー達も立っている。
「それで、僕が今こんなことをしているのは他でもない。この状況について話したいことがあるからだ」
そうしてスウェントルがまた話し始めた。
他のプレイヤーはそれに興味深く耳を傾けている。
「いきなりの事で混乱しているだろうが、はっきり言って僕もこの状況が何なのかわからない。テレポートして転送されたのがここだからね」
それに対し、同じパーティーであろう1人の男性プレイヤーがウンウンと首を上下にして頷いていた。
そして1枚の紙を右手に持ち、軽く上に持ち上げて──、
「わかっているのはここに書いてあることだけだ。」
そう言って、みんなから注目を集めるようにヒラヒラとそれを揺らして見せた。
それを見たソーマはその紙が一体何なのか訳が分からず、周りにいる他のプレイヤー達を見た。
しかし彼らも、アリスもベルでさえも、それが何の紙なのかよく分からないでいるのか、ザワザワと互いの顔を見合わしながら疑問をぶつけ合っていた。
「悪い、これを言う前に教えておけば良かったね。実は今、君たちのアイテムボックスに1枚の紙が配布されている。それが、この突然連れてこられたダンジョンの説明書だ」
その時、それを察したスウェントルが最初と変わらない大きさの声で説明をした。
つい先程まで首をかしげていた人達も、それを聞いた瞬間にログの中からアイテムボックスを選択して、中を見る。
中には彼が言う通り、見覚えのない1枚の紙が入っていた。
「EX.stage」
その紙の名前は、そう表記されていた。
それを見たソーマは、アイテムボックスの中からそれをタップし、手元に出現させた。パラッ と黄色い光に包まれて出てきた紙が風に揺られ、そう音を立てて彼の手に落ちてくる。
そして──、
「それじゃあ、まだ中身を読んでない人もいるだろうから、少し時間を空ける。少し読んでみてくれ」
スウェントルは他の皆にそう言って、この空間の説明書を読むように勧めた。
しかし、それを聞き終わる前に他のプレイヤー達も、ソーマ達もそれを読み始めていた。しばしの間沈黙が訪れ、ほとんどのプレイヤーが紙の上で踊る文に目を通していく。
そして、その中にはこの意味のわからない空間から脱出する方法が明記されていた。




