表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/79

誰だ?

お久しぶりです。

※メタ発言のようなものがあります。

こういうのもやってみたかった…!←

後悔はしてません、楽しかったです(笑)

 放課後。

 秋乃(あきの)香月(かづき)(しょう)は、なぜかわからないが、炭酸の缶ジュースを片手に掲げていた。


『おい皆、今回こうしてるにはわけがある!』

『ほう』

『何だ』


 香月はふふんと鼻を鳴らしてから、ニッと笑って言った。


『祝! 七十話突破! カンパーイ!!』

『……カンパイ』

『カンパイ──て、何が七十話突破なんだ?』


 と章は首を傾げつつも、缶を口に運ぶ。

 秋乃も一口飲んで美味しいと頷く。

 香月は仕方ないな、というように缶を机に置いてから説明した。


『知らないのか? オレらの日常が、ついに七十話突破したんだよ。こないだ本谷(もとや)がもうこんなに……って一人で呟いてた』

『へー、もうそんなにおれらの日常出てんだ』

『そうだよ、オレのあんな話やこんな話……! いやー、嬉しいやら恥ずかしいやら』


 と香月と秋乃が普通に話を進めるので、章がちょっと待てと口を挟んだ。


『いやいや、おかしいだろ。お前ら何の話してんだ』

『え、おれらの日常の話でしょ?』

『そうだぞ章。何だよ、毎日オレらの日常密着されてんじゃん。まあ、毎日が形になるわけじゃないけどさ』

『そうそう。なんかもう慣れちゃったよね、教室の隅のカメラとか──』


 と秋乃が教室の隅に目を向ける。

 章もそっちに目を向けるが、そこにカメラらしき物は見当たらない。


『あ、家にもあるよね、あれ。部屋にも。あれいつ回収してんだろ。容量とか大丈夫なのかな』

『確かに。それ気になるわ』

『おい……、マジで何の話だよ、てかカメラとかどこにもないし、毎日密着って……どういうことだよ──?』


 章が二人を見ると、二人はすっと章の後ろを指差して言った。


『『ほら、今も撮ってる』』


             *


「──ていうな、夢を見た」

「へー」

「疲れてんじゃね?」


 と章は秋乃と香月からそう言われ、そうなのだろうかと少し考える。

 今日もいつものように、放課後の教室でだらだらしていた。


「てかさ、七十話突破って……。半端じゃない? 五十話とかにすれば良かったのに」

「確かに──。てか七十話より百話記念の方がインパクト強いのにな。てか保育の方なんかとっくに七十話突破してんじゃん」

「ほんとね。そっちでやればいいのにね。おれたちより先輩でしょ?」

「そうだよ、オレらより先に生まれたわけだし、なんなら本谷が学生の頃のやつだから大先輩だよな」

「でも松城(まつしろ)平太(へいた)は同学年だもんね」

「いや、もう松城は先輩になった。今高三らしい」

「へえ──」


 秋乃と香月がまた夢の中のような話をするので、章はぽかんとする。


「これは……夢か?」

「何言ってんの、現実だよ。章だって香月が薬飲んだ日に言ってたじゃん」

「……あ、確かに──」


 何故かわからないが、あの時は枠間違ってるぞ本谷、と思わず口から出ていた。


「てか……本谷って誰だ?」

「え? ……言われてみれば。今普通に名前出してたけど、本谷って誰だっけ」

「確かに、誰だろ──。てか松城とかもわかんないし……って、え? 何で知らない奴の名前フルネームで言えんだよ、怖っ、オレ怖っ」


 と香月は自分の肩を抱いて青ざめる。


「はっ、もしかして、前世の記憶……?」

「それは無い」

「無いな」


 と秋乃と章がひらめいた香月にズバッと言った。


「冷たっ、ちょっとはノってくれてもいんじゃないの?!」

「いや、流石に前世はないだろ」

「そうだよ、そういう設定もないしね、おれたち」

「いや……設定ってお前」

「だってそうでしょ、本谷もたぶん決めてないだろうし──」

「おいおい、怖いって、やめようぜ」


 と香月が二人を止める。


「何で皆普通に本谷って名前出すんだよ……、で? 名前聞いても知らないって……怖すぎだろ、都市伝説かよ」

「いや、ここは学校だし、学校の七不思議じゃない?」

「知らないのに知っている、恐怖の名前──的な?」


 秋乃にノった香月がそう言うと、秋乃と章がスン……と真顔になって、香月を見詰めた。


「おいおい、それのが怖いじゃん、やめろよ! オレだけのけ者にしないで!!」

「……さ、帰るか」

「だね──」


 さっさとリュックを手にして歩き出す二人に、香月はおいと叫ぶ。


「待てよ! 置いてくなって!」

「……何か声した?」

「気のせいだろ──」


 本当に無視して二人が進んで行くので、香月は若干泣きそうになる。


「え、マジで無視するじゃん、やめて!? 泣いちゃうよ?! オレ泣いちゃうよ!?」


 追いかけながら香月が叫ぶと、やっと二人が立ち止まって振り返った。


「ったく、何してんだよ本谷」

「おいてくよ? 本谷」

「え……?」


 自分に向けられていたと思った目線は、香月の後ろに向けられていた。


「ちょ……マジで……?」


 そう呟きながら恐る恐る香月が振り向くと、そこには誰もいなかった。


「……っ、はああああ、びっっっくりしたあああ! マジで!!」


 と前に向き直ると、秋乃と章は腹を抱えて笑っていた。


「あはははは、香月驚き過ぎ」

「ほんとな、必死かよ」

「っんの野郎……!!」

「まあまあ、落ち着いて」

「ジュース奢ってやるから──」


 まあまあと二人に慰められながら、香月は二人と合流した。



 結局、本谷が誰なのかはわからないまま、三人は缶ジュースを飲みながら帰るのだった──






秋・章・香(本谷って誰だ……?)


※作中の保育とは「築山高校保育ルーム」の事であり、松城平太はその主人公です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ