白玉と
お久しぶりです。
猫が校内を歩きます。完全に自分の趣味です←おい
秋乃が屋上に続く階段を上ると、一匹の黒に白玉模様の猫がいた。
秋乃は静かに近寄って、そっと猫に触れる。
「ニャア」
「こんなとこまでどうやって来たんだ? ……はっ、もしやこの学校の生徒に化けてた猫だったり!?」
「……」
猫は無言で秋乃を見つめると、なわけないだろというように鼻をフンッと鳴らして階段をしなやかに下りて行った。
「行っちゃった──。でも、前にどっかで見たような……見てないような……?」
猫が消えた先を見ながら、秋乃はどこでみたんだっけなと少し唸るのだった。
*
猫が階段を下りると、そこには香月と章がいた。
「ん、猫いる。章、猫いるぞ」
「は? あ、マジだ」
と二人は階段の前で立ち止まった猫を見て、おお、としゃがむ。
「誰かのペットだったり?」
「いや、連れて来てたらアウトだろ──」
猫を撫でながら章に訊くと、ごもっともな返答で香月は頷く。
「野良猫だろうな、でも引っ掻いたりしてこないとこを見ると人には慣れてるな」
「確かに!」
章の当たり前な推測に香月が声を張ると、猫はびっくりして駆けていってしまった。
「あ」
「お前が大きい声出すから」
「ごめんなー! 猫ー!」
香月はいなくなってしまった猫に向かって謝罪するのだった。
*
「うわっ」
「猫だ」
猫が走っていった先に、朔と犀が歩いていた。
猫は犀の足元で動きを止める。
「校内に猫いるの初めてじゃない?」
「それはそうだろう。立ち入り禁止だからな」
「ニャー」
二人が顔を見合わせていると、猫が二人を見上げて鳴いた。
「もしかして、誰か探してるのかな」
「迷い猫ってことか?」
「ニャン」
「……らしいな」
「うまい具合に鳴くね」
と二人が猫を見ていると、前から山井が歩いてくる。
すると、教師である山井に見つかってはいけないことが分かっているのか、猫は山井から逃げるように走っていった。
「行っちゃった」
「まあ、先生に見つからなくてよかっただろ」
「何が見つからなくてよかったんだ?」
といつの間にか来ていた山井に訊かれ、犀は苦し紛れにゴキブリです……と答え、朔は笑いを堪えるのだった。
*
猫の走っていった先には、柚子とヒナミがいた。
二人は猫に気づくと、可愛い~としゃがみこんだ。
「誰の猫かしらね」
「わからないけど──可愛いね」
「そうね」
と二人は猫を撫でまくる。
頭に背中、顎の下、しまいには肉球までも触ってみる。
あまりにもしつこい触り方に、猫も耐えられなくなった。
「ンニャアアアア!」
「気持ちいい?」
「違うんじゃないかしら」
「ンナアン──」
と猫は走り出す。
女子は苦手だと思いながら──。
*
しばらく走ると、関野と目が合った。
「……」
「……ニャァ」
猫が鳴くと、関野は少し周りを見て、人がいないのを確認してからしゃがんだ。
「可愛い……」
「ンナ」
関野はふふっと微笑んで撫でる。
モフモフしてる、気持ちいい、可愛いなぁと呟く関野に、猫もほっとしたように一息吐いた。
この女子は優しいと、少しの間関野に撫でられた後、猫はそっと離れる。
「もう行くの?」
「ニャン」
関野の問いに答えるかのように鳴いて、猫は歩き出した。
関野も小さくバイバイと呟いて、猫を見送った。見送ってから、どこから入ったんだろう……と思うのだった。
*
「ニャー」
「あ、猫だ」
猫が歩いた先には篠山がいた。篠山はちょうど生徒会室に入るところだった。
「ニャン」
「あ、もしかして会長に会いに来たとか?」
「ン~」
「……そうでもない感じか」
「ニャン」
猫と会話のようなやりとりをした篠山は苦笑いしつつ、生徒会室のドアを開けた。
すると、会長の眞壁が猫を見つけて顔を緩める。
「白玉~! どうしたんだよ、こんなところで~」
「会長の飼い猫ですか?」
「いや? 近所の野良猫」
「あ……そうなんですね……」
飼ってないんかいと内心突っ込みつつ、白玉を抱き上げる眞壁を見つめる篠山だった。
そして眞壁に撫でられていた白玉は、眞壁が気を緩ませた瞬間、腕からするりと抜け出して生徒会室を出ていった。
「あっ、白玉~!!」
と眞壁が叫ぶも、出ていってしまった白玉に眞壁の声は届かなかった……。
*
白玉があてもなく歩いていると、白衣を身に纏った保梨と尾川と会った。
「ぁ、猫ですよ」
「ほんとだ。……実験に使えますかね」
少し考えるように言った尾川に、保梨は力強く言う。
「絶対にやめてください」
「冗談ですよ、いくら実験とか好きだからって命を粗末にすることはしません──」
と真顔で引く保梨に尾川は笑って手を振るが、白玉は何かを感じ取ったのか、そっと反対側に走り出す。
「あれ、引き返しちゃいましたね」
「尾川先生の発言が問題なんですよ!」
「冗談なんだけどなぁ」
ほわわんとした感じで言う尾川を見ながら、これで変な薬とか作っちゃうんだもんな……と保梨は何とも言えない気持ちになるのだった。
*
そして、白玉が出口であろう下駄箱に歩いていくと、紫色の忍者の服を身に着けた忍者に出会った。
「む。迷い猫でござるか。出口はすぐそこでござる。気を付けてまいられよ」
白玉は忍者を怪しみながら、学校を後にした。
後ろから忍者が「達者でな~」と言っていたが、白玉は振り返ることなく進んでいくのだった──
白玉「ウナン」




