宇宙人
UFOを呼び出そう!
「今夜、UFO見に行こう」
唐突な秋乃の提案に、香月と章はきょとんとした顔をして、秋乃を見た。
「UFO?」
「そう。UFO」
香月の問い返しに、秋乃は頷いて答える。
「見に行くって……どこに?」
「近所の河原。あそこに呼び出すから」
と章の問いにもあっさりと答える秋乃。
二人は顔を見合わせて苦笑いになる。
「呼び出すとか……」
「無理だろ」
「いや、出来る──」
と秋乃は言い切って、説明を始めた。
「おれね、昨日ちょっとパソコンで調べてて、そしたら何か、UFOを呼び出す魔法陣みたいなやつを見つけたわけですよ。それで、これはやるしかないと思ってね」
と秋乃はふふんと笑う。
「じゃあ呼び出せんの?」
「んー、かもしれない。やってみる価値はあるよね」
「へえ! じゃあやろうぜ」
と香月が賛成する。
章はめんどくさそうに二人の話を流して聞いていた。
「……じゃあ、今夜河原集合ね。章も来てよ?」
「どうせ偽物だろ? まあ、呼び出せないだろうけど──」
はいはい、と章は軽い気持ちで頷いた。
*
そして夜。近所の河原に集まり、秋乃は説明しながら、魔法陣を書き始める。
「なんかね、来て欲しいサイズのUFOの大きさで、魔法陣を書くんだって──ま、両腕広げたぐらいでいいよね」
「UFOが来るってことは、宇宙人とかにも会えんのかね?」
「そうじゃない──?」
香月の質問に答えながら、秋乃は、よし、と書き上げて香月と章の間に戻った。
「さて、それでは呼び出しましょう」
秋乃はズボンのポケットから紙を取り出し、呪文を唱え始める。
「『もしこの声が聞こえたら、魔法陣の所に姿を見せてください。そして、友だちになりましょう』」
そう言い切ってから、秋乃は空を見上げた。
特に何も変化はなく、頭上には星空が広がっている。
「……ほらな、偽物だ」
「まだわかんないよ、これからかもしれないじゃん──」
「ん……? あれじゃね?」
章と秋乃が言ったとき、香月がそっと指をさした。
ちょうど魔法陣の上に、空飛ぶ円盤がやってきて、カチャ……と何かが外れる音を出した。
「マジかよ……」
「本物だ」
「宇宙人来るんじゃね!?」
驚く章と動じない秋乃、テンションの上がる香月の目の前で、UFOとおぼしき物体から、よくテレビで取り上げられる宇宙人が一人出てきて、秋乃たちを見渡した。
「宇宙人だ!!」
「しゃべれんのか?」
「はじめまして」
興奮する香月と怪訝な顔の章を見てから、秋乃が言った。
すると宇宙人は、見えない口を動かして声を発する。
「※☆●◇♭#?」
「……いや、わかんねえだろ、これ」
発した言葉を聞いて、章が言った。
「いや、きっと『友だちになってくれるか?』って言ったんだと思う」
「マジか! こちらこそだ!」
「いや、絶対違うだろ──」
呆れてツッコむ章に続いて、宇宙人がまた声を発する。
「☆*◆♭#◇●※」
「うん『手を繋ぎたい』だって。香月いっておいでよ」
「よっしゃ、任せろ!」
「おい! ちげえって、やめとけって!」
秋乃に言われるまま、香月は章の注意を無視して宇宙人に近づいていくと、そっと手を握った。
「うおおお! やべー、何かブヨってる!」
「◆☆※♭#●」
「おい、戻ってこいよ、香月」
章に軽く怒鳴られ、香月はそっと宇宙人の手を離して、渋々戻る。
「いやあ、本物だったね。写真でも撮っとこうかな」
と秋乃がカメラを取り出すと、宇宙人が急に慌てだした。
「撮られたくないみたいだぞ?」
章が言うと、宇宙人は激しく首を縦に振る。
「…………そうなの?」
「◯☆◯☆」
それらしい返事をして、宇宙人は手を合わせて頭を下げる。
「……やめとこうぜ、なんか可哀想だ」
「そうだね。やめとくよ」
「★★★★★!!」
「喜んでるみたいだな──」
それから噛み合わない会話を繰り広げた後、宇宙人は軽く手を振って円盤に戻っていき、そっと浮上するとそのまま飛んでいった。
「なんか……居たな」
いなくなった魔法陣を見て、章が呟く。
香月と秋乃も笑って頷いた。
「俺、信じるわ。UFOとか」
「オレも!」
「うん」
そっと心に、UFOと宇宙人が存在することを刻んだ三人だった──
秋乃・章・香月「本当にいた」
お久しぶりです。更新再開します。
これからまた、よろしくお願いします(^^)




