表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/79

秋乃の一日

秋乃メインです。

「こ、ここで新キャラ……だと……?!」


 一時間目、秋乃(あきの)は全二十巻の十八巻目を見て、言葉を詰まらせた。

 あと二巻で終わりだと言うのにここで新キャラを出すのか──秋乃は教科書でマンガを隠しながら読み、一人囁いた。


「おかしい……ここで出して最後どうやって締める? ……はっ、コイツは次回作の主人公になるヤツなのか──いでっ」


 教科書で軽く叩かれ、秋乃は肩をすぼめる。


「オイ、コラ。授業中にマンガ読むたあ、いい度胸してんな、舛田(ますだ)くんよ」


 担任兼国語科担当の山井(やまい)が、眉毛をひくつかせながら言った。


「先生、そんな怖い顔してたらモテませんよ?」

「べつにモテなくてもいいわ──それより、それ没収な。放課後職員室に取りに来い」


 とマンガが山井の手に渡った。


「えー! 勘弁してくださいよ〜」

「お前がいけないんだろ──」


 山井はマンガを教科書と一緒に持つと、じゃ、今日はここまで。と教室を出て行く。


「おれの友だちが……!」


 秋乃はガクンと机に伏せた。


         *

 

 二時間目は体育で、外に出て校庭五周。

 だが、秋乃はめんどくさいことは嫌いなので、二周したら日陰で休憩していた。もちろん、体育教師に叱られたことは言うまでもない。



 三、四時間目。サボリ。

 保健室に来て、ベッドに横たわりながら保梨(ほなし)と会話をしていた。


「先生、山井先生と何か進展ありました?」

「あるわけないでしょう、そんなもの──!」


 と保梨は顔を赤くして言う。


「そ、それより舛田くん、授業二時間サボって大丈夫なの?」

「うーん。最近サボってなかったから、このくらい大丈夫だと──」


 と秋乃はベッドで伸びる。

 保梨は書類を纏めながら、秋乃に言った。


「それ、関係ないんじゃない? 単位取れなきゃアウトじゃないの?」

「……ですよね〜、ま、ノートとかは(しょう)に借りるんで、大丈夫ですよ」


 と秋乃は手を振った。

 保梨は平井(ひらい)くん可哀想に……と思いながら、書類を纏めた。


         *


 昼休み。秋乃は保健室から戻って、教室で章と香月(かづき)に合流する。


「お前、どこ行ってたんだよ」

「保健室──久しぶりにサボってた」


 と秋乃は章に答える。

 

「あれ、理先(りせん)が言ってたぞ。『次舛田くんサボったら、勤勉になる薬飲んでもらうので、皆さん秘密ですよ』って」

「マジか。それはサボれないな……」


 と香月の話を聞いて秋乃は唸る。

 章はサボらなきゃいいだけだろ、と思ったが口に出さなかった。


         *


 そして放課後。秋乃はマンガを取り戻すため、職員室に来ていた。


「先生、マンガ返してください。ソイツには、十九人の家族が待ってるんです。早く帰らないと、親が心配します」

「擬人法使ってんじゃねえ」

「先生は、誘拐犯ですよ……?」

「だから人に例えんのやめろ」


 気分悪いだろ──とマンガを返す。


「次読んでんの見たら、ビリビリに破いて捨てるからな」

「服をビリビリに破く上に、身体をばらばらにするんですか?! 人間のやる事じゃない……」

「だから擬人法使うなって言ってんだろ──とにかく、次はないと思え」

「はい」

「よし、もう帰れ──」


 山井は溜め息を吐くと、手で払う仕草をする。

 秋乃はマンガを持って、失礼しました、と職員室を後にした。



 もちろん秋乃は、山井に言われたことを忘れてマンガを読み、没収(誘拐)された──





秋乃「普通過ぎる?ま、それもいいよね」



諸事情により、更新をお休みすることにしました。

今年の秋か冬辺りから更新を始める予定ですので、その時またお付き合いいただけたら嬉しいです(^^)

それでは、その時までお元気で──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ