秋乃の一日
秋乃メインです。
「こ、ここで新キャラ……だと……?!」
一時間目、秋乃は全二十巻の十八巻目を見て、言葉を詰まらせた。
あと二巻で終わりだと言うのにここで新キャラを出すのか──秋乃は教科書でマンガを隠しながら読み、一人囁いた。
「おかしい……ここで出して最後どうやって締める? ……はっ、コイツは次回作の主人公になるヤツなのか──いでっ」
教科書で軽く叩かれ、秋乃は肩をすぼめる。
「オイ、コラ。授業中にマンガ読むたあ、いい度胸してんな、舛田くんよ」
担任兼国語科担当の山井が、眉毛をひくつかせながら言った。
「先生、そんな怖い顔してたらモテませんよ?」
「べつにモテなくてもいいわ──それより、それ没収な。放課後職員室に取りに来い」
とマンガが山井の手に渡った。
「えー! 勘弁してくださいよ〜」
「お前がいけないんだろ──」
山井はマンガを教科書と一緒に持つと、じゃ、今日はここまで。と教室を出て行く。
「おれの友だちが……!」
秋乃はガクンと机に伏せた。
*
二時間目は体育で、外に出て校庭五周。
だが、秋乃はめんどくさいことは嫌いなので、二周したら日陰で休憩していた。もちろん、体育教師に叱られたことは言うまでもない。
三、四時間目。サボリ。
保健室に来て、ベッドに横たわりながら保梨と会話をしていた。
「先生、山井先生と何か進展ありました?」
「あるわけないでしょう、そんなもの──!」
と保梨は顔を赤くして言う。
「そ、それより舛田くん、授業二時間サボって大丈夫なの?」
「うーん。最近サボってなかったから、このくらい大丈夫だと──」
と秋乃はベッドで伸びる。
保梨は書類を纏めながら、秋乃に言った。
「それ、関係ないんじゃない? 単位取れなきゃアウトじゃないの?」
「……ですよね〜、ま、ノートとかは章に借りるんで、大丈夫ですよ」
と秋乃は手を振った。
保梨は平井くん可哀想に……と思いながら、書類を纏めた。
*
昼休み。秋乃は保健室から戻って、教室で章と香月に合流する。
「お前、どこ行ってたんだよ」
「保健室──久しぶりにサボってた」
と秋乃は章に答える。
「あれ、理先が言ってたぞ。『次舛田くんサボったら、勤勉になる薬飲んでもらうので、皆さん秘密ですよ』って」
「マジか。それはサボれないな……」
と香月の話を聞いて秋乃は唸る。
章はサボらなきゃいいだけだろ、と思ったが口に出さなかった。
*
そして放課後。秋乃はマンガを取り戻すため、職員室に来ていた。
「先生、マンガ返してください。ソイツには、十九人の家族が待ってるんです。早く帰らないと、親が心配します」
「擬人法使ってんじゃねえ」
「先生は、誘拐犯ですよ……?」
「だから人に例えんのやめろ」
気分悪いだろ──とマンガを返す。
「次読んでんの見たら、ビリビリに破いて捨てるからな」
「服をビリビリに破く上に、身体をばらばらにするんですか?! 人間のやる事じゃない……」
「だから擬人法使うなって言ってんだろ──とにかく、次はないと思え」
「はい」
「よし、もう帰れ──」
山井は溜め息を吐くと、手で払う仕草をする。
秋乃はマンガを持って、失礼しました、と職員室を後にした。
もちろん秋乃は、山井に言われたことを忘れてマンガを読み、没収(誘拐)された──
秋乃「普通過ぎる?ま、それもいいよね」
諸事情により、更新をお休みすることにしました。
今年の秋か冬辺りから更新を始める予定ですので、その時またお付き合いいただけたら嬉しいです(^^)
それでは、その時までお元気で──




