お返しは
季節感関係なくホワイトデー。
ホワイトデー。
バレンタインに貰った男子たちが、女子たちにお返しをする日──。
「チョコありがとう、美味しかったよ」
理先は、理科準備室に訪れた女子(チョコを渡した人)たちに、一人ずつお返しを渡していた。
「ありがとうございます!」
「いいのいいの、お礼だから──」
頬を赤らめる女子たちに、理先はにこやかに対応するのだった。
*
山井や保梨、忍者も柚子やヒナミ、関野にお返しをした。山井はクッキー、保梨はアメ、忍者はマシュマロだ。
秋乃たちはというと、もちろんお返しを用意している。
「夏見さん」
「ま、舛田──?」
秋乃は柚子のクラスに来ていた。
「どうも──これ、おれと章と香月、野嶋と湯川から。押し掛けたら迷惑だろうからって、おれが代表で来ました」
「そうなの……」
「うん。あれ、羽山さんと関野さんの分もあるから、後で分けてね」
「うん、わかった」
と柚子はお返しを貰った。
「じゃ、戻るから。さらば──」
「あ、うん……」
教室を出て行った秋乃を見送って、柚子はお返しを胸に抱きしめた。
*
朔は、廊下でヒナミと会っていた。
「野嶋くん、こんにちは」
「こんにちは。お返し、舛田にまとめて渡したから、あとで夏見から貰って」
「うん、わかった──」
笑顔で頷いたヒナミに、朔は思い出したように言う。
「チョコ、美味しかったよ。ありがとう」
「ほんと? なら良かった──」
とヒナミははにかんだ。
*
篠山は、お返しを片手に生徒会室に向かっていた。
「関野さん、いるかな……」
生徒会室の前に来て、深呼吸をしてから、ドアを開けた。
中には、関野しかいなかった。
「会長見た?」
「いや、見てない──」
そう、と関野はプリントに視線を戻した。
篠山は関野の隣に行き、口を開いた。
「関野さん、これ、お返し」
「え? あ、バレンタインの。ありがとう」
「関野さん──」
「……なに?」
と関野は篠山を見る。
篠山は意を決して口を開いた。
「俺……、関野さんのこ」
「ちーす。あ、関野、これお返しな──」
眞壁が普通に入ってきて、ニャンパラを関野に渡した。
「ニャンパラ特別号で、いつもより二作品多めだ」
「へえ、ありがとうございます──あ、篠山くん何だっけ?」
関野に言われ、篠山は力が抜けたように首を横に振る。
「ううん、なんでもない……」
関野に告白するのは、もう少し……いや、もっと──もしかしたら、ないかもしれない……
篠山「……はぁ」
秋乃「ドンマイ」




