アウト
修学旅行に向けて。
※後半、下ネタらしきものがでます。
秋乃たちが通う高校は、年明けに修学旅行がある。
そして二年の秋乃たちも、修学旅行が近くなってきていた。
「修学旅行どこだっけ?」
と香月が言う。
「……沖縄?」
と秋乃が香月に答えた。
すると、前に出ていた犀が頷いて言う。
「そうだ──だから今日は、行動班と宿泊班を決める。あとバスの座席。バスの座席は、黒板に記入してくれ」
と朔が黒板に描いたバスの座席を、犀が指差す。
そしてまた前を向き直ってから続けた。
「あと、行動班と宿泊班は同じ。原則四人から五人とする。班は、決まったら朔に言ってくれ。ノートに記入するから。以上──」
朔はノートを掲げて、決まったら言いに来てね。と見せた。
「章、班とか同じでいいよね」
秋乃が席を移動して、章の所に行って訊く。
章は頷いて、
「そうだな。あと香月だろ? んで、とりあえず湯川と野嶋でいんじゃね?」
「だね。香月──」
「おうよ」
と秋乃に呼ばれた香月がやってきた。
そして来たばかりの香月に、秋乃が説明する。
「班は、おれたちと湯川と野嶋って伝えてきて」
「ラジャ」
ピシッと敬礼すると、香月は前に行った。
「バスどうしようか」
「そうだな。湯川と野嶋はもう黒板に記入してるし……じゃんけんするか?」
と章と秋乃は考える。
すると、伝え終わった香月が戻ってきて言った。
「バスの座席、一番後ろ座れるか訊いたら、いいって! 一番後ろにしようぜ!」
「おー。その手があったか」
と秋乃がポンと手を叩いた。
「先生たちから一番遠いぜ!」
先生たちは一番前だからな! と香月はガッツポーズする。
「……席順はどうでもいいよな」
と章が二人を見て訊く。
「おう!」
「うん」
二人が頷いたのを確認して、章は席を立ち前に行く。
黒板に自分の名前を端にして、秋乃、香月と書いた。
「……田端がうるさいから?」
「ん? あぁ、そう──」
ちょうど黒板を見に来た朔に章が言う。
「ならまだ、端で寝てようかと」
「なるほど」
と朔は苦笑いした。
「でも、田端面白いよね」
香月と秋乃を見て、朔は笑う。
秋乃と香月は、両手を動かしてよくわからない動きをしていた。
「……くだらないだろ」
「それが明るくしてくれるんじゃん」
章は、そうか? と思いながら、また香月を見た。
すると犀が、朔を呼んだ。
「朔、黒板の写してくれ」
「え、犀が写してよ」
「他にやることあるんだよ──」
と犀はプリントの束を見せる。
朔は、えぇ……わかったよ──じゃ、と章に手をあげて犀の所に戻る。
章も軽く手をあげて、二人の所に戻った。
戻ると、香月が秋乃に訊いていた。
「宿泊先って、旅館かな?」
「そうじゃない?」
「じゃあ卓球やろうぜ!」
「おれはいいよ。章とやって」
「ええ? 章絶対弱いじゃん」
「おいこら。勝手に弱いって決めてんじゃねえよ」
と会話を聞いていた章が口を挟んだ。
「強いぞ? 中学の授業で全勝したからな」
と章は鼻で笑う。それから香月に強気で言った。
「お前なんか、ぼろ負けだ」
「おっと〜、ここで章選手の宣戦布告か?! どうする、香月選手」
秋乃がマイクを持っているふうで、香月に手を向ける。
香月は、ふんっ。と胸を張って言った。
「上等だ! 正々堂々戦ってやるぜ!」
「せいぜい頑張れよ」
章は、余裕だ、というように鼻を鳴らす。
静かに火花を散らす二人に、前から犀が声をかけた。
「そこ、席戻れ。プリントを配る」
「「はい──」」
と二人は肩をすくめて席に戻り、秋乃もいそいそと席に戻った。
「……今配ったプリントが、お土産の紹介だ。各自目を通して、ある程度は決めておいてくれ──これで終わりだな。解散」
犀の一言に、クラスメイトが頷いたり、返事をした。
それからざわざわと修学旅行の話になる。
「ちんすこうと、紅芋タルトは基本だよな!」
と香月が章の所に来て言う。
「おれは、限定グッズ買えればいいかな」
と秋乃もやってくる。
「俺は紅芋タルトでいいかな──」
章もプリントを見て言う。
それから、香月が思いついたように口を開いた。
「あ。オレ今、すっげー口説き文句思いついたんだけど!」
「へえ」
「なに?」
と章と秋乃が香月を見る。
香月は、ふっとニヤついて言った。
「今夜、俺のちんすこう食」
「はい、アウト〜」
と秋乃が両手でバツを作り、
「ほんっとお前、しょうもないわ──」
と章が引いた顔で香月を見る。
「いやいやいや、冗談だって! ホントに言うわけないじゃん?!」
香月はわたわたと手を振る。
それでも、秋乃と章は無言で首を振っている。
「いや、まじで、ホント! ねえ! ちょっと! もっとツッコんでよ! 悲しくなるから!」
恥ずかしさで若干目が潤んできている香月に、秋乃と章はまだ無言で首を振り続けるのだった──
香月「無反応はやめて……」




