パーティー?
久しぶりの女子三人と保梨先生。
放課後、ヒナミと柚子、関野は、保健室にお菓子を持って集まっていた。
「皆、お菓子持ってきた?」
と保梨が笑顔で訊く。
柚子とヒナミは、持ってきました! と紙袋を見せる。
「あ、あの……、私何もないんですけど──」
と関野がおずおずと手をあげて言う。
実のところ関野は、柚子とヒナミに偶然会って、保健室でパーティーみたいなのやるから一緒行こう、と半ば強引に連れてこられたのだ。
「いいよいいよ、急に誘ったのがいけないんだし、ちょっと話したかったんだ。関野さんと」
とヒナミが笑顔で言ったので、関野は嬉しさと恥ずかしさで顔が赤くなる。
「ありがとう……//嬉しいです//」
「じゃ、気にしないで一緒に楽しもう」
「うん……!」
保梨がジュースを準備して、柚子とヒナミがお菓子を広げる。
「じゃ、食べよっか」
「「いただきまーす」」
「いただきます……」
保梨の一言で、三人はお菓子に手を伸ばした。
「……保梨先生いいんですか? お菓子食べて」
と関野が、おいしい。とお菓子を口に運ぶ保梨に訊く。
保梨は、ん? とジュースを飲んでから答えた。
「いいのいいの──。だってクリスマスだし、それに皆で食べるとおいしいもの。ね?」
「そうですね!」
「おいしいわね」
とヒナミと柚子が笑って頷く。
「……そう、ですね!」
と関野も、今はそれでいっか──とお菓子を口に運んだ。
「関野さんは、保健室あんまり来ないよね」
「はい。来ませんね」
と保梨に答える。
すると、ヒナミが横から口を挟んだ。
「毎日来ても、それはそれであれじゃないですか」
「それもそっか」
と保梨は頷く。
それからヒナミが関野に訊いた。
「関野さんは、普段お菓子とか食べるの?」
「うーん……あんまり食べないかな。だから、今久しぶりのおやつだよ」
「そうなの。もっと食べればいいのに──」
と柚子がパクリとお菓子を口に放り込む。
それを見て、関野もパクッと食べた。
「関野さん、柚子ちゃんのまねしなくても大丈夫だよ。太っちゃうから」
とヒナミが笑って言う。
すると柚子が、聞き捨てならないというように口を開いた。
「ちょっと、それ私が太ってるとでもいいたいの?」
「え? そんなつもりで言ったんじゃないよ……! 柚子ちゃんは普通だよ! ね、保梨先生?」
とヒナミが保梨を見る。
保梨は苦笑いしながら、
「そうですよ、普通ですよ。大丈夫!」
と親指を立てる。
柚子はそれでも納得しないのか、関野も見る。
関野は見られているのに気づいて、思ったことをそのまま言った。
「太ってないよ……! それに、可愛いし、男子からも人気ありそうだし、大丈夫だと思うよ!!」
「なっ//か、可愛くなんて……っ、そういう関野さんの方が可愛いんじゃないの////?!」
「ええっ!? そ、そんなっ……//そしたら羽山さんの方がっ──//」
「私?! はは//ありがとう──」
あたふたと赤くなる三人を見て、保梨は笑って言った。
「ふふ、三人とも可愛いよ」
「「「…………ぷっ──」」」
三人は顔を見合わせてから、小さく噴き出してから笑った。
*
「……おいしかったわ」
「ね、関野さんは?」
「うん、おいしかったです。ありがとう//」
お菓子を食べながら楽しく会話をして、関野は二人と仲良くなれた気がした。
「じゃ、そろそろお開きにしようか。暗くなる前に、気をつけて帰るんだよ」
「はい」
「もちろんよ」
「はい──」
保梨は三人に手を振って、コップを片し始めた。
*
廊下に出て、三人は並んで歩く。
「また皆でお喋りとかしたいね」
「そうね。楽しかったし──」
とヒナミと柚子が話してるのを聞いて、関野は微笑む。
「……関野さん?」
「どうかしたの?」
二人が黙っている関野を見て、声をかける。
関野は、いやいや、と手を振って、遠慮がちに言った。
「楽しかったなって……」
「そっか! よかった! また話そうよ」
「そうね。次は出かけるのもいいかもしれないわね」
「いいね、出かけようよ! 関野さんもどう?」
と二人が笑顔で言うので、関野は嬉しかった。
「うん。出かけたい……! 楽しみ//」
「じゃ、決まりだね」
「そうね。日程決めないとね」
「じゃ、じゃあ、休みに入ってからはどうかな?」
おずおずと関野が提案して、二人も頷く。
「どこ行こっか」
「そうね……お店まわる?」
「近くに、おいしいケーキ屋さんあるんだけど。どうかな?」
柚子とヒナミはキラキラと目を輝かせて頷いた。
「いいねいいね!」
「行こう行こう」
「じゃあ、案内するね……!」
よろしく! とヒナミが親指を出して、柚子は笑って頷いていた。
関野は、うん! と満面の笑みを浮かべるのだった──
篠山「俺も加わりたかった……」




