楽しもう!
お久しぶりです。
こちらも文化祭。
「お化け屋敷行こー」
「執事喫茶でしょ──!」
生徒たちは、楽しそうに話しながら廊下を行き来する。
秋乃の通う高校も、無事文化祭を迎えた。
秋乃の通う高校は、一般人が来れることになっているので、私服姿の人も行き来している──
*
「写真、撮ってもいいかなぁ?」
一人の男性が、秋乃を指名した。
「いいですよ。やっぱりレデンツは最高ですよね」
「やっぱり? 君の服はそうだと思ったんだよ! やあ、ありがたいありがたい──」
と男性はパシャパシャと撮っていく。
秋乃のクラスは『女装男装写真館』で、その名の通り各々が女装男装をして、来た人と写真を撮るというものだ。
秋乃は女装ではなくコスプレだが、それでもいいらしい。
「そこのお兄さーん、ちょっとアタシたちとも写真撮らなーい?」
とナースの格好をした香月と、無理矢理つれてこられたポリスの姿をした章が、秋乃を撮っている男性に声をかけた。
「ナースとポリスよ?」
「俺はいい!」
と章は逃げようとするが、香月ががっしり腕を掴んでいるので、逃げられない。
「今なら、サービスもしちゃうわよん」
「誰がするか! お前女装して頭溶けたんじゃないか?!」
「なわけあるかい!」
と香月がツッコむ。
「あはは。君たち面白いね。じゃあ撮らせてもらおうかな──」
と男性がカメラを香月と章に向ける。
秋乃は周りを見て、はたと首を傾げた。
「湯川と野嶋はまだ着替え終わってないのかな──」
すると、女子たちの歓声とともに、執事姿の篠山が現れた。犀と朔も一緒にいる。
「うわー。マジ執事だ」
「舛田くん、その言い方やめてくれる?」
と篠山が苦笑いして秋乃を見る。
「何で僕が……」
「犀似合ってるよ、そんな落ち込むことないって──」
と篠山の隣で、ゴスロリに身を包んだ犀と、それを慰める首輪をした朔がいた。
「湯川、めっちゃ似合ってんじゃん!」
「嬉しくない!」
と犀が香月に言う。
すると、香月と章を撮っていた男性が、犀に気づいた。
「写真、撮ってもいいかな!」
と男性がカメラを構えて犀に近づいていく。
「さ、朔!」
「あいよ──」
と朔が犀の前に立ちはだかり、
「(設定上)俺の主人を、そういう目で見ないでもらいたい」
と言い切る。
「まさしく……」
「……忠犬──」
と秋乃と章が呟く。
「犀、早く逃げるんだ!」
「朔……!」
「大丈夫。おれ、痛いのは平気だからさ」
「何か違うけど……頼む──!」
と犀は教室を出ていった。
*
「湯川くん?」
「ん? あぁ、羽山か──」
と犀は一息吐く。
ヒナミは犀の格好を見て、
「可愛いね!」
と言う。
「…………」
犀は、今の格好が制服ではなかったことを思い出し、顔を両手で覆う。
「見なかったことにしてくれ……」
「え? 湯川くん?」
「はぁ……どうしよう……そうだ。トイレに行こう──」
と犀はふらつきながら、男子トイレに行くのだった──
*
犀が男子トイレに行こうとしていた時、柚子が秋乃のクラスの前を通りかかった。
「うわ、レデンツ貞子!」
「レデンツじゃないわよ! 夏見柚子よ!」
と白い浴衣に身を包んだ柚子が、香月に吠える。
「夏見のとこって、お化け屋敷だって? オレらのとこは、女装男装写真館だぜ」
「女装男装──?」
と柚子が首を傾げていると、秋乃がやってきた。
「夏見さん、こんにちは」
「こんにちは……その格好は?」
「レデンツのコスプレ。夏見さんは?」
「貞子……」
と柚子は少し視線を逸らす。
「へえ──似合ってるよ。髪もサラサラだし、いいと思う」
と秋乃が笑って言う。
「あ、ありがと……//」
「あ、夏見照れてやんの〜」
「うるさい田端//!」
「へいへーい──」
と香月は手をひらひらさせて、その場を離れる。
「ま、舛田も……その、似合ってる……//」
「ほんと? 嬉しい。作るの大変だったからさ〜」
と秋乃はマントを翻す。
「そういえば、夏見さんこれから出番?」
「そう。驚かせるの」
と柚子は両手を前に持ってきて、ゆらゆらさせる。
「そっか。頑張ってね」
「ぁ……うん──//」
柚子は微笑んで、頷いた──
*
「関野さん──」
「篠山くん?」
篠山は、関野のクラスに行っていた。
「どうしたの?」
と関野はクラスから出てくる。
「それに会長も……」
「え?」
「よ──」
と篠山の後ろに、会長の眞壁がいた。
「何で居るんですか?!」
「何でって、お菓子買いに来たんだろうよ。他に何があるよ」
と眞壁はお菓子を選んで、関野にお金を渡す。
「ありがとうございます、あ、会長──あとこれもどうぞ」
とラッピングされた小包を関野は渡す。
「え? いいの?」
「はい。猫の手形クッキーです。お世話になってるので」
「マジか!! ありがとう関野。おいしくいただくわ」
「はい」
「じゃ、クラス戻るわ──」
眞壁は、ラッキー♪と言いながら歩いていった。
「ごめん篠山くん。何か用事?」
と関野は篠山に視線を向ける。
「今日は、あなただけの執事になりにきました──」
「……は?」
「関野さん専属の執事です。なんなりと御命令を──」
と篠山は関野の前で跪く。
「えっ、ちょっとやめてよ! ちゃんとクラスの仕事してきて」
「それが、関野さんの命令なのであれば」
「冗談はやめて//! 私そういうの嫌いだから! 早く戻って──」
と関野はクラスに戻ってしまう。
「関野さん……!」
「あぁあ、やってしまったでござるな」
と忍者が口を出す。
「いつの間に?!」
「そんな間に、でござるよ」
と忍者は腕を組む。
「もう諦めた方がよいのでは?」
「忍者さんには関係ありません──また後で弁解します」
と行こうとした時、関野が呼び止めた。
「篠山くん……!」
「関野さん──?」
「これ……渡し忘れてた。あと、執事姿、似合ってる。でも、だからってさっきみたいな事言ったら、私もう篠山くんと話さないから」
「絶対言わない! ありがとう//」
と小包を受け取って言う。
「うん──じゃ、まだ色々やることあるから」
「関野さんも、エプロン似合ってる。頑張って」
「はは、うん。頑張る──」
と関野はクラスに戻っていった。
「……やった! 手作りだ!」
「拙者にも一つ……」
「あげませんよ──」
篠山は、小包を大事そうにポケットにしまうのだった──
*
「盛り上がってますね」
「そうですね──」
保健室では、保梨と山井がコーヒーを飲んでくつろいでいた。
「山井先生はクラスに行かなくていいんですか?」
「あぁ、大丈夫です。あいつらしっかりしてるんで」
と山井はコーヒーを啜る。
「保梨先生は、何かやることはないんですか?」
「うーん……ないですね」
と保梨もコーヒーを啜る。
「ま、無事に終わればいいですよ」
「そうですね、それが一番です──」
二人は楽しげな声を聞きながら、コーヒーを啜るのだった──
秋乃「今回は総出演だったね」
作者「詰め込みました(^^;)」
休日投稿です。




