表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/79

最後の

プール。

 休み明け。体育の授業。

 秋乃(あきの)のクラスは、女子はサッカー、男子は最後のプールになっていた。


「見よ、この程よく付いた筋肉──」


 と香月(かづき)がプールサイドで仁王立ちして、秋乃(あきの)(しょう)に体を見せていた。


「香月何かやってたっけ?」

「特に何もしてない!」


 香月はふんっと鼻を鳴らして、秋乃を見る。

 秋乃はどうでもいいのか、プールに入った。


「……章の方が筋肉あるよ」


 と肩まで浸かりながら、秋乃が章だって何もしてないけど──と章を見上げる。


「普通だ。普通」


 と章もプールに入る。


「確かに……。オレより筋肉あるな──よし、じゃあクロール往復で、先に戻ってきた方が勝ちだ。秋乃もやるか?」


 香月も入って、秋乃に訊く。


「いや、疲れるから浮いて待ってる」


 と秋乃は手を振って断る。


「そうか。じゃあ章、勝負だ!」

「何で俺だ」

「近くに居たから!」

「…………」


 章はそんな理由かよと香月を見る。


「まあまあ、勝った方がジュースおごるってことでどうよ」


 と香月が笑って章の肩を軽く叩く。


「……絶対な」

「おっし。そうこなくっちゃね!」


 二人はゴーグルをして、並ぶ。


「秋乃、声かけて」


 と香月が秋乃に言う。

 秋乃はあいよ、と言って口を開いた。


「位置について、ヨーイ、ドン──」


 秋乃の合図と共に、二人が泳ぎだ。

 秋乃は遠くなる二人を見送って、その場でぷかりと浮かぶ。

 近くで騒いでいる男子の波で、秋乃も揺れる。


「……舛田(ますだ)?」


 と(さく)がプールサイドを通りかかり、ぷかぷかと浮かんでいる秋乃を見つけた。

 とりあえず、呼んでみる。


「何してんの? 舛田」


 秋乃は聞こえていないのか、まだ浮かんでいる。


「ちょっと、無視ですか──?」


 と朔が背中をとんとんと叩く。

 すると、秋乃がぐわっと顔を上げて叫んだ。


「道連れじゃあああああ」

「うわあっ──」


 ガシッと秋乃が朔の手首を掴んで、プールに引きずり落とす。


「ぶっはっ……何すんの?!」

「背中叩いたから」

「…………」


 もっと他になかったのか? と朔は秋乃を見て思った。

 そこに泳いで(せい)がやってくる。


「珍しいな。あの二人はいないのか?」


 と秋乃に犀が訊く。


「ん? あ、今来てるよ──」


 と秋乃が犀の左側を見る。

 二人は負けず劣らず泳いできていた。


「え……これ──」


 ヤバくないか? と犀が思った時、朔が動いた。


「危ないっ!」

「うおっ?!」

「「ぶほっ──」」


 朔が驚く犀を押して、押された犀はそのまま香月と章に衝突。


「いてえっ!」

「ってえ!」

「…………」


 ザバァッとプールから顔出して、痛がる章と香月。その近くで、無言のまま俯く犀。


「……朔、後でちょっと話し合おうか──」


 笑顔なのに、目だけ笑ってない犀を見て、朔は笑顔になる。


「久しぶりに罵声を浴びせてくれるんだね!」

「チッ……」


 犀は不機嫌な顔で、舌打ちをした。


「舌打ちも久しぶりだ!」


 そんな朔を見て、秋乃は呟く。


「……野嶋(のじま)、それがなきゃ普通なのになぁ──」


 その後は、誰が長く息を止めていられるかなど、簡単なゲームをして最後のプールは終わった。


 もちろん、朔はその後犀に呼び出され、戻ってきた朔の頬は、赤くなっていた。

 だが、朔はなぜかにこりとしていて、むしろ犀がどっと疲れているようだった──



秋乃「やっぱり、達磨浮きっていいよね」


休日投稿です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ