案を出せ
文化祭の時期です。
秋乃たちのクラスも、文化祭に向けての話し合いが行われていた。
「それで、文化祭は何をやりたい?」
犀が黒板の前に出て、クラスを見渡す。
朔は隣で、チョークを持ってスタンバイしている。
「意見を出してくれ──」
教室がざわざわと騒がしくなる。
「ちなみに、三組の篠山に訊いたが、三組は執事喫茶をやるらしい。ついでに篠山からの情報では四組はお菓子屋。で、一組はお化け屋敷だそうです。それを踏まえて、二組は何をやるか決めようと思う」
と犀が言う。
すると、女子がキャー! と目をハートにして話し出す。
「篠山くんの執事姿!」
「絶対行くー!」
「写真撮っちゃおうかなあ〜」
「マジで〜?」
とキャッキャッし始めるので、今度は男子が言い始める。
「お前らが行ったって、篠山は喜ばねえぞ!」
「そうだそうだ!」
「騒がしくなってきたね……」
と朔が犀に訊く。
「……まあ、こうなることは予期していたからな……」
と犀は一息吐いてから口を開いた。
「盛り上がることは構わない。だが、案を出せ──」
その一言で一瞬にして静かになる。
「どうした? さっきまで話してただろ? さあ、案を出してくれ」
すると秋乃が手を挙げて発言する。
「はい──女装男装写真館がいいです」
「……何だ? それは」
と犀が首を傾げる。
「女子は男子、男子は女子の格好して、一緒に撮りたい人と写真撮ってもらう、みたいな」
「なるほど──で、衣装はどうするんだ?」
「そこは、女子の皆さんに力を借りて……」
と秋乃がお願いします。と頭を下げる。
「……ということだが、どうかな?」
と犀が女子を見る。
女子たちは少し話し合ってから、
「いいよ」
と代表者が返事をした。
「じゃあそういうことで。朔、書いたか?」
「もちろん──」
と朔が黒板に書いた文字を見せた。
「よし。じゃあ今日はこれで終わりだ。また次に詳しい内容を決めよう」
と犀は眼鏡を押し上げるのだった。
*
「いやぁ、まさかあの案が通るなんて……楽しみだな〜」
と秋乃がうきうきする。
「お前はコスプレする気だろ」
と章が秋乃に言う。
「わかった? でもまあ、女装だからレデンツの格好かな──」
秋乃は衣装を思い描いてニヤニヤする。
「オレは、ナースの格好だな!」
「香月がナースとか。ウケるね」
「なんだと?! あれだぞ、決め言葉は、『アナタの病、治します!』だからな!」
と香月が胸を張る。
「お前に治されたくないな」
と章がボソッと呟く。
「なんだと?! 章はポリスだろ! 決め言葉は『アナタの心、撃ち抜きます!』だからな!」
「何だそれ!」
「ぶはっ──章がポリスとか!」
と秋乃が笑いを堪える。
「笑ってんじゃねえよ──」
「何を盛り上がってるんだ?」
とそこに犀がやってくる。
「……湯川は……」
と秋乃が考えてから言った。
「ゴスロリ」
「「ブッ──!!」」
と章と香月が噴き出す。
「ごすっ、ゴスロリィィィィっ、ぶはっ、ちょっマジ冗談キツい、わははははは」
「笑うなよ香月、湯川にっ、失礼だろっ、はははははは」
「…………お前らシバくぞ?」
しばらくの間、ゴスロリという言葉が章と香月の笑いのツボになったのだった──
秋乃「忍者さんって、コスプレですか?」
忍者「私服でごさるよ」
休日投稿です。




