イケメンとイケメン(偽)
なぜ香月は、カッコいいと言われないのか。
ある日、香月は章の家に来ていた。
「本選び手伝って」
「……は?」
と章の眉間にシワが寄る。
「読書感想文終わってない。てか読む本も決まってないみたいな?」
と香月はテヘペロと舌を出す。
「秋乃と行けよ」
「いや、さっき行ったら出掛けてるって」
「……ちっ」
「何で舌打ちした? ねえ?」
と香月は章を悲しげに見る。
章はめんどくさそうに香月に言う。
「断る」
「そこをなんとか、ね?」
「嫌だね。どうせすぐ決まんないだろ、お前」
「わかってるう!」
「…………」
ドアを閉めようとすると、香月が押さえて必死に頼む。
「すいませんすいません! 助けてください! 一人で行くとマンガ見ちゃうから!」
「……はぁ……わかったよ」
渋々章は、香月の本選びを手伝うことにした。
「よっしゃ! ありがとうございます──」
「さっさと済ませろよ」
そして香月と章は、本屋に向かった。
*
「やっぱ、本屋はいっぱい揃ってんな〜」
「早く選べよ──」
本屋に入って、すぐに香月はマンガコーナーに足を向ける。
「あっ、あれは新刊──!」
「おい!」
すぐさまマンガコーナーに向かう香月を、章は追う。
「これ欲しかったんだよなー! ラッキー」
「早く小説コーナーに行け」
「はいはい──」
と香月は悪い悪いと謝りながら、小説コーナーに移動する。
それから、小説コーナーに行って章が黙々と本を選び、香月に見せた。
「……これは?」
「どんな話?」
「犬が、飼い主のために頑張る話」
と章が簡単に答える。
「……何も伝わってこないんだけど」
「読んでからのお楽しみってことだな」
「なるほど! じゃあそれにするわ」
「まいど」
と章が香月に本を渡す。
「じゃ、会計してくる」
「おお──」
章は香月が会計に行ってる間、近くの本を手に取ったりして見ていた。
「平井くん──」
「ん?」
呼ばれた方を見ると、篠山がいた。
「あ、あの時の……何持ってんだ?」
章は篠山が持っている本に目がいった。
題名は、『好きな人をオトす方法 』だった。
「え? あっ……これは別にそういうんじゃないよ? ただ気持ちを知りたいっていうか──」
「イケメンなのにオトせないのか」
「それ舛田くんにも言われたよ……」
そこに香月が戻ってくる。
「篠山だ。って何その本! イケメンなのに口説けないのかよ」
「……君たちって、性格違うのに言うことは似てるんだな……」
と篠山が二人を見比べて言う。
「そうか?」
「さあな」
と香月と章は顔を見合わせた。
「じゃ、俺はそろそろ帰るよ。急に声かけて悪かった。じゃ──」
と篠山は会計に向かっていった。
見送ってから、章が口を開いた。
「好きなやつには振り向かれなくて、どうでもいいやつに絡まれるって、どういう心境なんだろうな」
「ウハウハに決まってんじゃん。んで、頭ん中でハーレムを作り上げてんだよ。いいよなー、何でオレもイケメンなのにこんな違うんだろうな」
と香月が言う。
「…………何でお前がイケメンになれないかわかった気がするわ」
「え? どこで? 何が?」
「気づけないなら、到底篠山みたいなイケメンにはなれねえよ」
「マジかよ……」
どこがいけないんだ? と思案する香月を見て、章はこれだからなぁ、と思うのだった──
その頃の秋乃。フィギュア専門店に居た。
秋乃「レデンツのフィギュアゲット!」




