あれがイケメンだ
新キャラ一人目。登場。
プールのことがあってから、数日。
香月に対する柚子の評判は、悪いものになっていた。
そして今、廊下で偶然会った秋乃、章、香月と、柚子とヒナミ。
「どうも、夏見さんと羽山さん」
「こんにちは舛田くん、山井くん、田端くん」
「……こんにちは」
柚子はがんがんに香月を睨んでいる。
「めちゃくちゃ視線痛いんだけど……イケメン銃の時以来の痛さなんだけど……」
と香月は章の後ろに隠れる。
「自業自得だろ」
「あ、そういえば夏見さん」
秋乃が思い出したように言う。
「あの時、頭お団子にしてたよね。似合ってたよ──それに、レデンツみたいで萌えた」
「えっ……////」
ぽっと顔が赤くなる。
そんな柚子に構わず、秋乃は続ける。
「あぁ……フィギュア欲しい」
「へっ////?! み、水着の//?」
「そう。欲しい」
と目を輝かせて言うので、柚子の頭の中は大変なことになっている。
お団子頭で水着姿の私のフィギュア////?! ど、どういうことなのッ////!?
「出ないかな」
「出ないわよ////! 出させてたまるもんですかっ////!」
「ええっ!?」
と驚く秋乃。
レデンツのフィギュア……欲しいのに……
そんなやりとりを見ていた三人は、
「柚子ちゃん勘違いしてる」
「だな」
「あれは秋乃の言い方が悪い」
と頷き合う。
すると犀と朔が歩いてくる。
「廊下で話しをするなら、端に寄ってしたらどうだ?」
「こんにちは」
「悪いな──」
と章が秋乃たちを端に誘導する。
香月がヒナミの隣になりそうになると、すかさず柚子が離す。
「そんなあからさまに……」
「あんたがいけないのよ!」
シャーッと猫のように威嚇する。
それを見て、朔が訊く。
「……何かあった?」
「プール覗いたのよ。その変態が」
「はぁ……」
まったく……と犀は眉間にシワを寄せる。
「見たいだろ!」
と犀に言ってから、
「むしろこのイケメンな香月様に見てもらえたことに感謝すべきだ──」
と香月は腰に手を当てる。
それを聞いた犀以外が口を開いた。
「ほんと最低ね!!」
「さすがに今のは……ちょっと」
「香月、それはない」
「よく言えたな」
「変態じゃん──」
「え……ちょっと皆引かないで。ごめん、前言撤回」
と香月は言う。
「こんな自称イケメンな変態に皆さんの素敵な水着姿を見せて、いや拝見させていただき、大変恐縮です。すいませんでした」
と深く頭を下げる。
それを見ていた犀が、口を開いた。
「本当のイケメンっていうのは、ああいうことだ──」
「え? ちょっと無視?」
香月の言葉をさらりとスルーして、犀はその人物の方に顔を向けた──
「篠山くぅーん、いつデートしてくれるのぉ?」
「あー、いつかね!」
「前もそう言ってたじゃーん」
「だから、いつかね!」
「三組の篠山。生徒会副会長のちょっとチャラいやつ。前に、クラス委員長と副委員長での会議で話した」
「へえ──」
少し皆で見ていたら、篠山が気づいてやってきた。
「何々? 皆で俺のこと見ちゃって」
「いや、イケメンの話でお前の話がでてな」
「へえ。嬉しいけど、そんなイケメンじゃないよ。周りがキャッキャ言ってるだけだし──」
性格もイケメン! と犀以外が思った。
「あ、君、田端くんでしょ。イケメンらしいね! 噂は聞いてるよ。確か……女子のプールの授業を覗こうとした男子二人を庇って、自分が水を被ったんだって? やっぱりイケメンは違うなー」
いや、それオレです。庇ったんじゃなくて、普通に罰を受けたんです……とは言えない香月だった──
次回、新キャラ二人目を出せたら出します。




