イケメン銃
イケメン銃(笑)
それはある日の昼休み。
香月が、変な遊びを思いついたのだ。
「全員注目──!」
「あれ……生徒手帳落としたかも」
「はあ?」
「まあいっか──」
「よくねえよ!」
「ちょ、ちょっと聞いて!」
と自由な秋乃と章を呼ぶ。
無視されるのは、さすがに悲しい香月だった。
「なに?」
「なんだよ」
「オレな、カッコいい遊び思いついたんだよ!」
「へえ。どんな?」
秋乃と章は香月を見る。
香月は待ってましたと言わんばかりに話し始める。
「イケメン銃だ!」
「……イケメン銃?」
「なんだそれ」
「説明しよう! イケメン銃とは、イケメン、またはカッコいいと言ってもらいたい相手に向かって、手で銃を作り発砲する。そうすると、相手は自分のことをイケメン、またはカッコいいと言う」
と香月は早速秋乃に手で銃を作り、発砲する。
「パンッ──どうだ!」
「わあ……カッコいい」
とほぼ棒読みで拍手する。
「だろだろ?! 章、受けてみよ! パンッ──」
「…………」
無視。
「やめてくれっ! 逆にこっちが苦しくなるっ……!」
と香月は胸をおさえる。
「何してんの?」
と朔と犀が教室に戻ってくる。
「くだらない遊びだよ──」
と章が説明する。
「……なるほど。要は、相手に自分をカッコいいと言わせ、自己満足するんだな」
「やめろその言い方! 恥ずかしいから!」
「まんまじゃん」
と朔が笑う。そして犀に向かって銃を作り、発砲する。
「犀、バン──」
「……そんなんで僕がカッコいいと言うと思ったか糞変態野郎」
「田端、これいいな! 犀に使うと罵声がもらえる!」
「いや、それ喜ぶのお前だけ──」
と香月が言う。
「湯川」
「ん?」
今度は秋乃が発砲する。
「パンッ──あっけない終わりだったな……もう少し骨のあるやつだと思ったよ……」
「いや、わかんないから。何のアニメのキャラクターがそう言ったのかはわかんないけど、僕はそういうの知らないからな?」
と犀は眼鏡を押し上げる。
「よっしゃ! 今度はオレだ! ──パンッ」
「自分からカッコいいっていうやつはカッコよくないんだよ。自分から言わなくても周りからカッコいいって言われるやつになるんだな──」
「グハッ──!」
香月は、犀からの冷たい視線と的確な言葉により、床にひざまずく。
精神的に追い詰められ、もう体力は残っていないようだ。
「いや。香月はまあまあだと思うな──」
と秋乃が言う。
その一言に、香月は立ち直った。
「だろ!? やっぱりオレはイケメンだからな──」
「失礼するわ!」
「失礼します──」
と柚子とヒナミが入ってくる。
「なんだ? ツンデレどうした」
「ツンデレじゃないわよ!! これ、廊下に落ちてたの」
と秋乃の生徒手帳を章に渡す。
「柚子ちゃん、届けてあげなきゃねって。優しいでしょ」
「ヒナミ//!」
「ありがとう。夏見さん──」
と章から受け取った秋乃が少し微笑んだ。
柚子は、赤い顔を見せないように出て行こうとする。
「そ、それだけだから//! じゃあね//!」
「あ、待って夏見さん──」
「なによ//?」
「パンッ──」
と柚子に発砲する。
柚子は、ズキュンと心を撃ち抜かれた気がした。
「な、何がしたいの////?! ふざけないでよ──////!」
柚子はダッと教室から出て行った。
「あ、柚子ちゃん! 失礼しました──」
とヒナミは柚子の後を追った──
*
「何なのよ//!」
──ドッ
「大丈夫か?」
「すいません//! 銃でパンッとかカッコいいじゃない//! ですよね山井先生//?!」
「は……?」
柚子は、ハッ////となってから駆け出した。
「廊下は走んなよー……」
「柚子ちゃん! 失礼します──」
「お、おう」
とヒナミも見送って、銃でパンッて何だ? と山井は首を傾げるのだった──
*
「パンッ──」
「……はい?」
「今のカッコいいですかね? さっき廊下で──」
と山井は保梨に発砲してから説明する。
「か、カッコいいです//!」
「そ、そうですか……?」
山井は、少し頬を染める保梨を見て、カッコいいのか? と余計にわからなくなるのだった──
休日投稿です。




