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98 鉄道会社を作るようです

いよいよ領地経営に乗り出します。

 鉄道構想を詰めていくと、どうにも大変な作業ばかりらしいので、今の行政庁の体制では無理ということが分かった。それでは、第三セクターを作って、そこで細かな作業をお願いすることにした。どうせ、完成した暁には列車を運行する鉄道会社を立ち上げなければいけないのだから、基本構想段階から担当してもらう方がよいだろうと思ったのだ。


 さっそく、ベンジャミン卿とともに商業ギルドに行って、会社設立の届け出をすることにした。商業ギルドは、行政庁前の大通りに面している立派な建物で、中に入ると、あらかじめ訪問することを伝えていたせいか、そのまま商業ギルド長室に案内された。ギルド長は、昨日のパーティにも参加してくれたギルモア準男爵という50年配の方だった。会社設立の趣旨を説明したが、この世界では前例のないことばかりだったので、いろいろ聞かれたので、一つ一つ説明をしていったら、途中から、何やらゾロゾロと入ってきて、ギルド長室がいっぱいになってきた。


   「あのう、フレデリック閣下、申し訳ありませんが、大会議室に移っていただけないでしょうか。この話は、私だけとか、ギルドの重役だけで聞くわけには行かない内容ですので。」


 なにか、まずいことがあるのだろうか。まあ、言われたことに反対する理由もないので、大会議室に移り、もちろん、私はひな壇の机に座って、職員に向かって説明を始めた。会議室にいるのは、ギルド長、副ギルド長は勿論、投資部、資材部、工事部、物流部、飲食部、人材部、特許部などほぼすべての部門の責任者や事務担当など60人ほどだ。まず、最初に鉄道の何たるかから説明を始めた。


   「まず、私が作ろうとしている鉄道というのは、魔動汽車という馬に変わる動力車を開発し、鉄の角材2本を平行に敷いた線路という道の上を走るもので、一度に500人程度、時速60キロで走るものです。最初はブラウン市まで施設しますが、完成した暁には、ブラウン市まではおよそ1時間半で行くことができます。」


 この説明だけで、会場内は興奮のるつぼだ。もう、皆が色々発言を始めてしまって、収拾がつかなくなってしまった。ギルド長が、


  「勝手にしゃべるんじゃない。発言のある者は手を上げんか!」


と一括してくれて、ようやく静かになった。それから、いろいろと質疑がはじまったが、丁寧に説明していって、おおよそ2時間後、皆も納得してもらったようだ。最終的には、債券の一括販売を商業ギルドでやってくれるそうだ。まあ、幹事社ということだろう。これで全国の商業ギルドを通じて販売することができる。また、王国の保証を貰うと保証手数料がかかるので、商業ギルド保証にしたいと言われたが、それはベンジャミン卿が難色を示した。この話は、王室に内緒で進めると、絶対に横やりが入るだろうとのことだった。


 1週間後、市内の有力商人などに対する説明会をお願いされたのだが、その辺は、会社を設立して、その会社から説明させることとして貰った。なんと、その会社には、ギルドから人材を派遣して貰えることになった。ベンジャミン卿も会社経営の経験はないので、大変に助かる。これで、会社設立及び鉄道建設の細かなところは丸投げ、ウホン、任せることができるので、私は、魔動汽車の設計に入ることにした。


 魔動機関を内燃式にするか外燃式にするか検討していたが、発想の転換で、魔力で回転する構造の物を作り、そこから動力を取り出すという方法もある。あと、魔力をジェットエンジンのように噴き出して、その推力で前進することもできるのではないだろうか。ただ、いくつか問題があって、魔力で回転するなり噴射するなりとなると、制御そのものも魔法でなければできない可能性がある。簡単なものなら、僅かな魔力の制御で調整が可能であろう。例えば、魔力灯の明るさを調整するなどは、僅かな魔力出力を微調整するだけである。しかし、魔動汽車のように大きな出力が必要となると、膨大な魔力を必要としてしまい、現実的ではない。やはり、ここは原点に返って外燃式の魔動機関を設計することにしよう。


 火魔石を燃料として、ボイラーで温められた水が蒸気となり、シリンダーにリンダーに送られる。シリンダー内にはピストンがあって、蒸気で押し出されたピストンが連接棒を押してクランクで回転力に変換される。同時に滑り弁が蒸気の入りと出を制御して、役目を果たした蒸気は冷却器で水に戻される。そして、その水は、またボイラーに送られる。この繰り返しだ。この構造は、小学生か中学生のころ、教科書で見た記憶がある。前世の本物の蒸気機関は、かなり複雑な構造をしているが、今回設計するのは、開発初期の蒸気機関なので、そんなに複雑ではないはずだ。制作の肝は、高い蒸気圧を逃がさずに循環させることと、何度もボイラーを通らせることにより、加熱蒸気を効率よく得る仕組みだ。


 取り敢えず、試作品を作ってみよう。24分の1スケールの物を鉄のインゴットから作ってみる。モデルは迷ったが、やはり3軸の『C62』だろう。スマートな車体は、鉄オタの憧れだろう。細かなところは、なんちゃって風に見た目だけにして、こつこつ作っていく。24分の1といえども、長さ21.5mの実車のサイズだ。試作品の大きさは1m弱の巨大な模型になってしまった。ウエスタン城の地下倉庫の一角でコツコツと作り上げていく、結局完成するのに1週間もかかってしまった。見た目は、C62というよりも『弁慶号』に近いかもしれないが、この世界の人達は知らないだろうから、そこは無視しておこう。


一番苦労したのは、蒸気パイプの取り回しと車輪の台車部分だった。なかなかうまくできず、最後は力業で魔力を目いっぱい注いで、イメージ通りにインゴットを錬成していった。錬金術様様である。取り敢えず出来上がったのだが、まだ塗装をしていないので、ステンレス風にピカピカしている。ま、これで、前庭に楕円のレールを敷いたら、試運転の準備完了だ。火力調整はリモートで火魔石を調整するので、基本、いらない。ブレーキもついていないので、停止するときは、シリンダーの圧を抜いて、自然に止まるのを待つことにした。


レールも、鉄のインゴットを柔らかくして伸ばし、標準軌1425ミリの24分の1の59.4ミリの軌間で1周100mの楕円軌道を敷設した。枕木は、『ストレージ』内に無駄に収納していた材木をカットして並べることにしている。本敷設の際は、脂分の多く含んだ松の木で設置していく予定だ。


 機関車の表面を岩絵の具をトルエンで溶いた塗料で塗り上げて、細いピンストライプの刺し色を入れたら、気分はC62、実際は弁慶号もどきという変な機関車になってしまった。それでも燕マークのヘッドマークを入れて完成だ。ベス嬢や使用人達は、何が出来上がるのか興味津々のようだが、もし失敗したら恥ずかしいので、これが何かを説明することなく、黙って、レールの上にのせて、ボイラーに魔石と水を入れておく。魔力を流して、魔石が熱くなったのを確認して、そのまましばらく待つと、シリンダーわきの安全弁からシューッ!シューッ!と白い湯気を吐き出し始めた。蒸気パイプの途中で漏れているようなことはなさそうなので、このまま過熱をし続ける。うん、かなり圧が上がってきているようだ。運転席の屋根の上にのせている圧力計の針が15気圧を示している。最大気圧は18気圧を想定しているが、パイプやシーリングの信頼性が低いので、15気圧に抑えることにしている。さあ、シリンダーの弁を開けて、ピストンに圧をかけ始める。うん、ゆっくり動き始めた。魔力を機関車とつなげて遠隔操作をしているので、速度が調整できるようになっている。あ、これは成功したかな。気持ちよく走っている。もう少し、速度を上げてみよう。うん、かなり早いかも知れない。さあ、カーブだ。大丈夫かな。あ、ダメだ。機関車はカーブの遠心力に負けて横転してしまった。タンク内の水があふれて、湯気が上がっている。


 あ、いけない。カーブの際、内側に傾くようにするカントをつけるのを忘れていた。あと、カーブには脱線防止ガードをつけるのを忘れないようにしよう。

最初は、インフラ整備です。

次話は、出来上がり次第投稿します。毎日投稿は、一旦中断します。

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