83 模造騎士を作ってみたようです
いよいよチート能力発揮となります。
王国歴2466年1月、ホワイト領騎士団が正式に発足した。と言っても、団員は総勢10名だけだ。あれから毎月募集しているのだが、適性のあるものが全く応募してくれないのだ。と言って、成人前の少年少女を育成していくと、最低でも3年もかかってしまう。まあ、それなりに見込みのありそうな子供たちを小間使いとして採用しているけれども。
団長は、グレイだ。副団長はニケにお願いした。騎士に任命する際は、剣を授与しての叙任式を行うのだが、もちろんドワンゴ部道具店で購入したものだ。柄に家紋の装飾が入っている黒鋼鉄製の立派なもので、1振り金貨2枚もした。あと、家紋が入った甲冑もそれぞれに誂えたが、ティムが採寸したサイズでは納得できなかったようだ。もっと胸が大きくなるというのだが、絶対に希望的観測だ。日本だと中学3年生となるのだが、これ以上発達するのは難しいような気がする。ま、黙って余裕のあるサイズにしてあげたけどね。
騎士団には、当分の間、王都の侯爵邸警護に当たって貰うことにした。まあ、団員が増えれば領地の守備隊を編成するつもりだけど、現状の人数では、絶対に無理だし。そう考えると、喫緊の課題は、騎士団の団員の拡充だ。この前からの応募状況から、しばらくは無理なような気がする。騎士学校の卒業生は、まだ領主が赴任もしていないような領地の騎士団など希望するわけもないし。
そんな状況の中、『ワールド・グリモワール』を何気なく読んでいたら、新しいページが増えていた。『錬金魔法』についての記述がされている。すでにある程度の錬金術は使えるので、今更と思いながら読み進んでいくと、なんと『ゴーレム生成』と『オートマトン』についての研究成果が記述してあった。ゴーレムとは、木や土で作った人形で、作成者等の命令に従って一定の行動をするものを言うらしい。それとは別に、『オートマトン』は、自動人形ということで、ある程度、行動を自律できるが、行動の範囲は、作成者の魔力能力によるとのことであった。どちらも活動エネルギーは魔石に貯蔵されている魔力らしいのだが、その魔力のエネルギー変換効率は、術者のスキルレベルによるらしいのだ。私は、『錬金術上級』が生えているので、かなり高度なものが作れるような気がする。うーん、取り敢えず土ゴーレムを作ってみよう。
『錬金術』スキルがあれば、ゴーレムなんて簡単に作れるだろうと、そう考えた時もありました。うん、なんにしてもゼロから作るというのは難しいことが分かった。というか、土をいくらいじくっても、ゴーレムにならない。土の塊に手足が生えている位の感じにしかならないのだ。これは、あれだ。美的感覚が必要だ。まあ、彫刻の素養が必要なのかもしれない。当然、私にはそんな才能はないので、どうすることもできなかった。
困った私は、とにかく、どこかの彫刻家を紹介してもらうことにした。父上、母上や兄さん達、それとベス嬢にも相談していたところ、メルボルン公爵家御用達の彫刻家を紹介してもらえることになった。その彫刻家は、王都北の職人街にアトリエを持っている方で、名前をダビンテさんというそうだ。えーと、誰かのパクリのような気がするのは私だけでしょうか。
アトリエに行ってみて驚いた。ベス嬢がアトリエ中にいるのだ。以前、ベス嬢の塑像を作成する際に試作品を作っていたが、あまりにも可愛らしくできたので、壊すことができなくなってしまったらしい。
ダビンテさんに、メルボルン公爵の紹介状を見せたところ、見本となる塑像の作成を請け負ってくれたが、モデルを誰にするかと言われた。え、モデルですか。ダビンテさんは、しきりに私の顔のサイズを測っているので、いやな気がしたが、もうダビンテさんの心の中では、モデルは私で確定しているらしい。しかし、自分の顔をしたゴーレムが大勢蠢いているシーンを想像するだけで寒気がしてくるので、それだけは勘弁してもらいたいと言ったら、ベス嬢をモデルにしたら、すぐにでも作れると言ってくれた。でも、ベス嬢では体格が小さすぎて、警護用ゴーレムには不適なのではと言うと、その点は心配しなくてもよいそうだ。ダビンテさんのイメージの中では、身長や年齢、髪型は自由に変更できるので、ベス嬢のコピーができるわけではないそうだ。
それでは、私の希望としては、身長は165センチ程度、年齢は15歳位の性別不明の塑像を作成してもらいたいと伝えたところ、以前に作成した型があるので、1週間で出来上がるそうだ。そんなに早くできるのかと思ったら、ダビンテさん、作り始めると、まったく睡眠をとらずに完成まで一気に作るそうだ。それでも1週間なんて、天才のやることは全く分かりません。
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1週間後、出来上がったベス嬢もどき、ウ、ウホン、ベス嬢に似ているようなゴーレムの原型を受領して侯爵屋敷に戻った。庭で『ストレージ』から出して、最初に型を取ることから始めた。枠木を四角形に囲んで、その中に原型彫刻を寝かせる。土を練り上げて、枠木の中に流し込み、『硬化』の魔法で固める。上下に切れ目を入れて、そっとはがすと、きれいな型が出来上がった。その型に、魔力を注ぎながら鉄粉とアルミナ粉入りの粘土を流し込み、乾燥させて取り敢えず第1段階は完成だ。24時間乾燥させたのち、胸のあたりに直径10センチ大の魔石を埋め込み、胸と背中及び頭頂部に魔方陣を書き込む。魔方陣は、魔方陣筆記用の絵の具で何重にも描くのだが、描くと同時に光り輝いて表面に固着してしまう。本によると、深い部分まで書き込まれているので、表面を削ったくらいでは消すことができないそうだ。それから、魔物の皮表面に磔て、『変性』スキルで人間の皮膚のような触感を作りだした。眉毛やまつ毛もその時に同時に作りこんでいく。最後に人形の中に埋め込んだ魔石に潤沢な魔力を注ぎ込み、作業は終わりだ。
あとは、起動のワードを唱えるだけだが、そのワードも術者が最初に唱えて記憶させるらしいのだ。もちろん、私の起動ワードは決まっている。
「光よ、よみがえり我を助けよ!」
だ。昔見た映画に似た言葉があったような無かったような。体中に書かれた魔方陣が光輝き、ゆっくりと目を開けた。性別のないゴーレムなので、当然に胸もまっ平だし、そもそも髪の毛もないので、昔見たマネキン人形の無性別バージョンの様だった。でも、そのままでは気持ち悪いので、騎士服を着せ、頭に簡単なウイッグをかぶせておいた。まだ、なにも命令していないので、じっとしている。これからが、『オート・マトン』の生成になるのだ。空中に多重の魔方陣を生成する。『ワールド・グリモワール』では、6重の魔方陣だったが、それぞれに機能が異なる様になっている。私が使う魔方陣は、
・人間のように動くことができる
・人間のように口を動かしてしゃべることができる
・人間のように見る、聞く等の5感を持つ
・人間のように道具を使うことができる
・人間のように反射行動がとれる
・人間のように記憶することができる
・人間のように感じることができる
・人間のように考えることができる
これくらいかな。しかし、最後の項目を実現させるために魔方陣が12層も必要になるとは思わなかった。すべての魔方陣を発動させて、ゴーレム内部に転写したところで、今日の作業は完了だ。うん、できたオートマトンに名前を付けてみよう。
「こんにちは、私はフレデリック、君はナイツ0号だよ。」
私の呼びかけに反応して、ゆっくり目を開け、無機質な眼球でこちらを見てから、
「こんにちは、『こんにちは』は、挨拶の言葉と理解しています。私は『ナイツ0号』と認識しました。マスター。」
うーん、微妙。まだまだ会話にはならないみたいだが、AIの魔方陣も書き込んでいたので、これから良くなるだろう。まあ、型はあるし、作り方も分かったので、量産は、もう少し後かな。でも、皆、同じ顔がそろっていても気持ち悪いし、兜、いやヘルメットにアイマスク風のゴーグルをセットしておこう。そうすれば、皆、同じ顔でも気にならないかもしれない。あと、魔力の補充については、余っている魔石の貯蔵タンクを作って、そこから自分で魔力を補充するようにすればいいかな。まあ、魔石そのものはゴブリンやオークのクズ魔石だから、勿体ないこともないし。
今日の試作品は、頑張れば1日に5体が作れるだろうし。そうすれば、当面の必要数300騎を作るのに60日間、およそ2か月か。まあ、全員分の騎士服と甲冑それとショートソードとバックラー、あ、槍も必要かな。全部そろうのにもそれくらいの日数はかかるだろうし。それよりも一体分の装備品経費が金貨1枚としても、すべてのオートマトンに装備をそろえるだけで、金貨300枚、しかも装備品は消耗品だから定期的に更改が必要となると、結構な金額が必要になるかも。
フレデリック君、自分がどんなに非常識なものを作り上げているか理解していないようです。
次話は、明日6:00に投稿します。




