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84 グレードアップしたようです

ゴーレムとは、ユダヤ教の伝承によれば自立式の泥人形のことらしいのですが、フレデリック君は、似て非なるものを作ってしまったようです。

 4月になった。オートマトン兵団は、ほぼ完成だけど、途中でベス嬢からクレームが入ってしまった。自分に似ている気がするというのだ。まあ、それは元のモデルがベス嬢だから仕方がないけど。『でも、可愛いからいいじゃない。』と言うと、なんか耳まで真っ赤にして黙ってしまった。ちょろい。


 ベス嬢からは、いろいろと注文をもらってしまった。まず、眼球だ。土と金属粉の合金から作られているので、眼球もメタリックな感じだったが、それでは気持ちが悪いと言われ、ガラス玉で義眼を大量に作り、嵌め込んでみた。まあ、ガラスと言っても、私が河原で集めた砂から生成したものだけど、白目と水色の虹彩部分をリアルに造形するのも結構細かな作業だった。あと、鼻穴と耳の穴もある程度形成しなければならなかった。もともとの型には、そんなものは空いてなかったので、後付けで生成しなければならなかったのだ。


 本当は必要ないのだが、ランダムに瞼を閉じる、いわゆる『瞬き』機能もあるようだ。驚いたことに、体温も魔力により調整できるようで、手を握ってみるとほんのりと温かさを感じる。


 細かなようだが、爪の色がやはり、微妙に人間らしくないそうだ。まあ、魔物の皮から変成したものなので、仕方がないのだけれど、ベス嬢、さすがに女性らしい観点で細かなところまで気づいてくれる。確か、人間の爪と髪の毛は同じハードケラチン成分だと聞いたことがある。理髪屋に行って、切った髪の毛を貰い、錬金生成で爪の形を造形する。後は色素成分を調整して、健康な爪らしくしておいた。0号機の手の先に合わせて大きさや曲面を合わせて付けてみる。うん、ほぼ人間の指先になった。後は、試作品を原型にして300個ずつ10セット作るだけだ。指に取り付けるのも、オートマトン側で爪を指先に乗せて差し出したのに魔力を流して固定するだけだ。その際、爪の付け根の甘皮を造形することも忘れないでおく。うん、芸が細かいね。


 オートマトンに搭載しているAIは、かなり優秀らしく、日々、人間らしい言動ができるようになっている。0号機と301号機では、幼児と成人ほどの差がついている。それは、運動能力にも言えるようで、毎日、訓練をしているが、かなり差がついていることが分かる。それに、個体差かもしれないが、パワーや俊敏性それと剣技にも差があるのが面白い。大量生産の自動車も、1台1台を性能比較すると若干だが差があるように、オートマトンにも個体差ができているようだ。


 一応、0号機を除く300体は、30体ずつ分隊分けをし、それぞれにホワイト領騎士団の騎士たちを指揮官に充てることにした。0号機は、そのまま、サイドアップのウイッグをつけさせて、メイド服を着せておく。うん、胸以外は、完全に女性バージョンだね。ジュリちゃんが面白がって色々教えこんでいるようだ。メイド機能が完全にできるようになったら、ベス嬢専属の警護要員にしようと思っている。魔力補充は、かなり大きな魔石を入れ込んでおいたので、そう頻繁に補充しなくても済むようにしておいた。まあ、魔素の濃密な場所に行くか、魔道具屋で魔石を購入してもある程度補充できるんだけどね。


 驚いたことに、うちの騎士達は、部下であるオートマトン達にそれぞれ名前を付けたようだ。まあ、それぞれ担当が決まった時に指揮系統を書き込んだ魔方陣を追記しておいたので、特に問題はないんだけど、見分けることなんかできないはずなんだけど。しかし、彼らに聞くと、しっかりと見分けられるそうだ。中には、簡単な名札をつけさせたり、ウイッグの色を変えたりしているようだけど、まあ、皆、あの若さで部下を持つのが嬉しいらしい。


 王都侯爵邸の隣に接している林は、現在、騎士団訓練場として整備中だ。外部から見えないように高さ3mの外壁で囲い、内側には魔法障壁を張り巡らして攻撃魔法が当たっても損傷しないようにしているのだ。障壁を発動させる魔道具が、訓練場の四隅に置かれている。まあ、騎士団の10名の魔力は大したことはなさそうだし、オートマトンは、基本的に攻撃魔法は使えないはずだ。しかし、遠距離攻撃手段が投石と弓だけというのも心もとないので、ここは前世の知識を生かして『クロスボウ』を作ってみることにした。もちろん、製作はドワンゴさんだが、試作品は自分で作ってみようと思う。まず素材集めから始めることにする。弓の部分、『リム』というのだが、この部分は、軽くかつ弾力性に富んだ素材を選択した。この前、河原で採集した砂の中からアルミナ結晶のみを抽出し、それと砂鉄を練り合わせて焼成してインゴットにしておいたのだ。今回はそれを使おう。ストック部分は、適当な木材を形成して作り上げた。矢にあたるボルトを固定するレール部分は、鉄のインゴットから形成する。細かなギアやトリガー部分は、試行錯誤しながら作り上げていく。もちろん、弦を引くときにクロスボウを固定するためのフットスティラップも作成しておいた。


 完成したので、そのままドワンゴ武道具店のところに持ち込むことにした。試し打ちはドワンゴ武道具店の裏庭にある射場を使わせてもらう。店には息子さんのガンスさんしかいなかったが、初めて見る武器にやや興奮気味だった。やはり、ドワーフの血が騒ぐのだろうか。試射の出来は上々だった。女性の店員でも、足で抑えて弦を引くと、楽々とセットできるみたいだ。これなら、もう少し、リムの張力を強くしてもいいかもしれない。急がなくてもいいので、このクロスボウを400、ボルトを3000本作ってくれるようにお願いした。1式で金貨2枚は高い気もするが、初めて製作する武器だ。手探りで作り上げることになるので、手間賃がかさむようだった。


 オートマトン兵たちは、睡眠も食事も必要ないし、基本、あせもかかないので汚れることもない。しかし、ずっと屋外に置いておくこともできないので、騎士宿舎の2階居室の一部をつぶして、駐機部屋を作ることにした。12畳くらいの広さの居室に1分隊30体ずつ詰め込んでおいた。基本、横になったり座り込んだりする必要がないので、立ったままスリープモードになるようだ。あ、この部屋に魔力を充満させておいて、自動で魔力充填できるようにしたら、わざわざ魔素の濃い場所まで行かなくて済むかな。


 このオートマトン兵の訓練は、オートマトン同士の模擬戦の他に、うちの騎士達との個別訓練もして貰う。今の所、我が騎士団の戦闘力の下位3割程度だが、練度が上がれば、中位程度くらいにはなりそうだ。まあ、スタミナと学習能力はトップクラスなので、それなりに強くはなるだろう。


 強さもさることながら、オートマトン兵の真の強さは、痛みを知らないということだ。まるでリビングデッドのような不気味さだ。腕や脚は勿論のこと、試してはいないが首を切断されても、きっと動き続けるだろう。唯一の弱点である胸の魔石の部分には、超硬度を誇るミスリルとアダマンタイト鋼の合金を貼り付けており、鎧を貫通して魔石を破壊するのは、至難の業と言える。


 ある程度練度が上がったら、ゾリゲン団長にお願いして、集団模擬戦をやってみることにしよう。集団模擬戦は、個々の兵士の強さもさることながら、部隊運用の巧拙が勝負を決める。その辺は、知識以外の経験の差が出ると思うが、それを自覚させるためにも、我が騎士団には頑張ってもらいたい。


 7月になったら、全ての部隊をウエスタン領に配属させ、領都守備に200騎、領地の巡回パトロールに100騎を割り当てるつもりだ。王都の侯爵邸の警備は、騎士団ではなく衛士隊を編成するつもりだ。既に冒険者ギルドに、30名の隊員募集をお願いしている。結婚等により冒険者を廃業した者を対象に侯爵邸衛士隊として採用するつもりだ。衛士隊の主な任務は、正門と裏門の門番と夜間の侵入者に対する警戒だ。今のところ、訪問者もベス嬢くらいしかいないし、主な財産と言えば、畑の野菜位だからそれほど厳重な警戒は必要ないだろう。あと、屋敷の使用人もかなり増えてきた。さすがに侯爵邸で、留守番だけという訳にもいかないし、厩には真っ白な馬が四頭飼育されており、その世話をする厩務員も2名雇っている。あと家令として、ランカスター家の家令さんの次男で、現在、王家の侍従をしている30代前半のハンスさんが、王家を退職して、我がウエスタン侯爵邸で勤務してくれることになった。メイド長は、スザンヌさんの推薦する30歳過ぎのメイドさんを引き抜いてくれた。


 現在、王都の我がウエスタン侯爵邸では執事8名、メイド12名、庭師4名、料理人5人、厩務員2名の計31名が働いている。あ、もちろん、あのロイ爺さんも庭師筆頭として働いてもらっている。

ゴーレムとオートマトンの違いはよくわかりません。

次話は、明日6:00に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] オートマトン(オートマタ)は機械仕掛け ゴーレムは呪術的な方法で作製 詳しく調べず適当に言っただけなので悪しからず
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