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81 久しぶりのミンチ村のようです

 今回は、就学旅行編です!

 次の日、皆でミンチ村まで行ってみることにした。馬車だと1泊2日の行程だが、時間が勿体ないので、『空間転移』で行くことにする。と言っても、視界にない場所に転移したことはないので、取り敢えず街道の先、見える範囲までの転移を繰り返していくことにした。それでも、1キロ先位までを一瞬で移動できるので、ミンチ村まで120キロ位の距離でも、3時間ほどで転移できた。本当は、飛翔で1000m位上空に上がれば、50キロ位までは一瞬で行けるのだが、それは、皆には内緒だ。


 ミンチ村は、2年前に壊滅してしまったが、あれから徐々に復興して来て、新しく入植して来た人達もおり結構賑わっているようだった。今日はもう旅館に泊まることにしたが、皆は何故か盛り上がっていて、お菓子や飲み物を大量に買い込んでいた。まあ、年齢からしても中学生から高校生くらいなのだから、修学旅行気分なのはしょうがないかなと思うけど。


 ただ枕投げだけはやめて下さいね。旅館の人に怒られちゃいますから。夕食は、猪のシチューとヤマドリの唐揚げ、それにマスのムニエルと豪華なものだった。さすが冒険者の前進基地だけあって、食材も新鮮で豊富なのだろう。ウエスタン邸の食事も量だけはたっぷりあるが、一度に大量に作れるものに限定されるので、どうしても似たような料理になってしまうようだ。


 食事終了後、旅館のロビーを借りて明日の戦術会議をした。


   「明日は、5人ずつの2チームで依頼を受けて下さい。チームは、アルファとベータの2班とします。」




 このチーム割はバランスを考えて編成してみたが、ティムの攻撃力が分からないので、最大攻撃力を有するカレンと組ませてみた。後は自分達のチーム内で作戦を練って下さいね。あ、お菓子を食べ始めちゃった。大人組はお酒を飲み始めたし。うん、私は寝ましょ。


 翌朝、5:00からいつものように駆け足をする。皆には、今日は7時に出発するので、早めに食事をするようにと指示していたので、今日は一人でのんびりと走れると思ったが、村を半周位した所で駆け足をしている皆と合流してしまった。皆、しっかりと掛け声を掛けながら走っていた。結局、概ね20キロを走ることになってしまった。うん、彼らには、絶対に脳内物質ドーパミンが分泌されてるね。ただ時間がかかり過ぎている。20キロを1時間半も掛けていては、朝食に間に合わない。早く、宿へ戻らなくっちゃ。


 皆で朝食を食べながら、今日の魔物討伐で手に入れた素材や魔石の収入は、パーティーで山分けにすると発表した。それを聞いた皆は、最初ポカンとしていたが、私が言ったことの意味が分かったらしく、なんか爆発的な歓声が上がった。


 彼らに支払う給与は試用期間ということで、月に大銀貨12枚にしている。その中から寄宿舎料金として大銀貨3枚を徴収しているので、彼らの手取りは大銀貨9枚となる訳だ。今日の収穫が幾らになるか分からないが、色々とお金が欲しい彼らにとっての臨時ボーナスが嬉しくない訳がない。


 村にある冒険者ギルド王都本部ミンチ村出張所に行って森の中盤までの魔物出現情報を確認する。受付の女性は、中年の太り気味の方だったが、親切に教えてくれた。


   角ウサギ:G

   ゴブリン:F

   オーク:E

   ゴブリンソルジャー:E

   ゴブリンアーチャー:E

   ゴブリンメイジ:E+

   オーガ:D

   ホブゴブリン:D


 初級冒険者にとっては少しきついかも知れないが、パーティー戦になればきっと大丈夫だろう。依頼を確認したところ、常設以外には緊急依頼でポポロ草採取が出ていた。ポポロ草は、中級毒消薬の必須薬草だが、足りなくなったのだろう。いつもの倍の値段だ。だが、森の枯葉の下に葉を広げているので、見つけ難いのだ。平素で1本銀貨5枚もするのに、今日は大銀貨1枚だ。見つけるコツは、枯葉のような新芽が少しだけ伸びているのを見つければ良いのだが。うん、難しいね。


 依頼は、10本採取が完了条件で、買取は別で大銀貨2枚だ。受付のオバ、ウホホン!お姉さんに依頼受注手続きをお願いした。良かった、早く来て。もう少しすると冒険者が殺到するところだった。


 森に向かう。途中の平原で角ウサギが出現したが、我々の姿を見るやダッシュで逃げていった。まあ、追いかけないけど。ベータチームは上空にシロちゃんを飛ばしている。あ、急降下した。何かを捕まえたみたい。さっきの角ウサギだ。どう見ても角ウサギの方が大きいのだが、物理法則を無視して軽々と運んで来た。ティムの足元に降りて来て、角ウサギを渡してくれた。大きな角を切り取り、首を切って血抜きをする。かなり大きい個体だ。今日の昼食のおかずにしよう。


 森に入ると2チームが左右に分かれる。これからが勝負だ。私は、皆とは別れ、1人でポポロ草を探す。最初は、地道に木の下の枯葉をどかして行く。葉っぱは緑色だが枯葉の下だし、新芽が枯葉色なんて、どんな拷問ですか。5分位枯葉の下を漁っていたら、それらしい草を見つけた。鑑定してみると『ポポロ草』に間違いなかった。丁寧に根を傷つけずに掘り出す。蒲公英のような葉っぱだが、ペッタリしている。葉っぱの真ん中からスーッと1本の新芽が伸びている。私は、思いっきり『ポポロ草』の匂いを嗅いで記憶の棚にインプットする。


   『探索』


 心の中で、探索の輪を広げる。ポポロ草が自生しているところが緑色に光ったマップが頭の中に描かれた。後は、採取だけだ。さあ、狩りまくるぞ。森の奥のブッシュの陰に群生しているのを見つけた時には、つい笑ってしまった。これだけで金貨2枚分はありそうだ。土魔法を使って土をフカフカさせてから丁寧に抜く。直ぐに水魔法で簡単に土を洗ってから、『ストレージ』に収納する。しかし新芽が出ていないと、花が咲いていない蒲公英にそっくりだな。これでは間違えるのも無理はないかな。


 アルファ班が接敵したようだ。気配感知の情報だとオークのようだ。ちょっと見に行ってみよう。


  森が少し開けた場所でオーク3匹と接敵したようだ。タンク役のジュリアンヌが、タワーシールドでオーク達の攻撃を一身に受け続けている。彼女には『挑発』スキルがないのでヘイトを集め続けられないが、上手く短槍で突いてヘイトを切らさないようにしていた。


 バーバラが隙を見て、双剣で攻撃しているが、攻撃が軽くて、決定的なダメージが与えられないでいた。しかしヒット回数が半端ないため、1匹のオークがズズンと倒れてそのまま動かなくなった。その間、ダンがもう一匹と戦っているが、敵の棍棒を盾で受けきれずに吹っ飛ばされてしまった。そこにジュリアンヌがタワーシールドを持ち上げて突進して来た。シールドバッシュでオークを吹き飛ばす。すごいパワーだ。


 グレイは、残った1匹の目を執拗に狙い撃ちする。最後のオークに上手く当たったようで、メチャクチャに暴れ回っているが、その隙に後ろから接近したベントが短剣で頸動脈を掻き切ってしまった。ジュリアンヌが吹っ飛ばしたオークの心臓にダンが深々とショートソードを差し込んで、戦闘は終わった。まあ、安心して見ていられる程ではないが、ランクEのオーク3引きを5人で殲滅できたのだ。冒険者パーティーランク『D』相当以上の強さがあるだろう。


 一方、ベータ班はここから500m位離れたところで接敵しているようだ。この気配は、弱い魔物だが数が多いようだ。きっとゴブリンの群れに接敵したのだろう。そばまで行っていると、あ、10匹以上いるようだ。ボスはホブゴブリン、アーチャーとメイジもいるようだ。


 タンク役のホブゴブリンをミロが惹きつけているが、アーチャーが後方の木の上から皆を狙っている。木の矢だが、先端に自分達の糞をなすり付けており、傷つけさえすれば、感染症に罹患してしまう。早く消毒しなければならず、その間、戦闘から離脱しなければならない。そしてメイジのファイアボールが散発的に飛んでくる。地味にウザい。ミドルアタッカーのカレンとニケが通常ゴブリンを何体か倒しているが、狙い撃ちされる矢と魔法が厄介のようだ。その時、ティムが指を咥えて口笛吹いた。


   ピーヒロー!


 シロちゃんがアーチャーの頭上から襲いかかった。あ、慌てたアーチャーが気から落ちたが、シロちゃんが、そいつの目玉を咥えている。シロちゃん、それバッチイから食べないで。


 シロちゃん、そのままメイジの後ろから音もなく襲いかかり、鋭い爪で喉を掻き切ってしまった。致命傷ではないが、もう声を出せないだろう。アーチャーの目とメイジの喉、狙ってやったにしては超効果的な攻撃だった。あ、スカウトのミロさん、ホブゴブリンに投げナイフを3本投げつけた。2本が顔面に命中、あれは痛い。目玉に一本と口の中に一本、これでは戦意喪失だろう。逃げようとするホブゴブリンに駆け寄って来たカレンが大きく飛び上がって、横凪に一閃、ホブゴブリンの首がゴロリと転がり落ちた。

 フレデリック君の出番は、当分なさそうです。

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