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46 ブルーム殿下は立派になったようです

ユニークアクセス人数が5000日を超えました。年内に達成できるとは思いませんでした。皆様のお陰と感謝申し上げます。


 今日はブルーム殿下の凱旋報告の日です。

 王都に向け帰るのは、討伐から3日後になったが、王都に近づくに従って、何だか街道沿いに立っている人達が増えて来た。それに、その人達はアスラン王国の国旗が印刷された小旗を持っていて、しきりに振っているのだ。中には、


   「アスラン王国、万歳。ブルーム殿下、万歳。」


って、両手をあげて叫んでいる人がいるので、私達を迎えるためにここまで出て来たみたいだ。でも、何で王都の外壁の外に並んでいるんだろう。その答えは、すぐに分かった。王都の東門を入ると、もう人人人。メインストリートの両脇は立錐の余地もないほどの人が立っていて、国旗を振っている。王城まで4キロ位だが、その間、ずっと万歳が続いていた。でも、その人垣を整理している衛士隊の皆さんは、もう汗だくの疲労困憊、飛び出ようとする人を抑えるのに必死の様子だった。


 王城に到着したら、こんなに騎士がいただろうかと思える程の騎士さん達が並んで、私たちを歓迎してくれた。正面玄関前の広場で、整列し、部隊の前にブルーム殿下、シュリンガー団長、ダンドール主任教授、ゾリゲン団長の4名が並んで立っている。私は、部隊の最左翼の最後列に立っていた。


 ブルーム殿下が、討伐遠征帰還報告をする。


   「国王陛下に報告。陛下の勅命を受け、東の森の魔物討伐に遠征し、無事任務完了し只今帰還しました。」


 うん、立派だ。口上は満点、姿勢はそれなり。敬礼を忘れたのは減点かな。でも国王陛下はニコニコしている。国王陛下の後方左右に整列している重臣達も、ダメンズ外務卿以外はニコニコしている。


   「陛下に報告します。戦利品として、地竜の外皮79枚、アーマードリザートの外皮376枚、ファイアリザードの外皮269枚、魔石693個を取得、国庫に献上いたします。」


 この戦利品、総額いくらだろうか?以前、ゾリゲンさんに聞いたところ、地竜の外皮の完全体は今まで入手したことはないけど、1枚大白金貨30枚つまり30億ジェルはくだらないだろうと言われた。ただし、値崩れを防ぐために、少しずつ売却したり輸出する必要がある。アーマードリザードの外皮は美品だと1枚金貨12枚〜15枚だそうだ。1枚金貨10枚で叩き売っても金貨3760枚。3億7600万ジェルになる。また、魔石は直径1センチで銀貨1枚、2センチで銀貨4枚、3センチで銀貨8枚と1センチごとに倍々となるらしい。サイクロプスやケルベロスの魔石は7〜8センチはあるし、3センチ以下は騎士達にあげてしまったので、今、献上した魔石は大きいものばかりだ。


 などと考えていると、隣の騎士さんが小声で話しかけて来た。


   「フレデリック坊ちゃんは、前に出ないんですか?」


   「うん、私はブルーム殿下の護衛だから。」


   「でも一番活躍していたのは坊ちゃんだって事は、皆知っていますよ。それに坊ちゃんに助けられた騎士は一生かけて恩返しするって言ってましたよ。」


   「えーと、私は目立つのあまり好きじゃないし。それに十分恩賞は貰ってるし。」


 今回、アーサーを從魔に出来たことが最大の恩賞だ。たまにはシュナちゃんを連れて遊びに行こうかな。あ、そうだ。『飛翔』で行ってもいいな。魔法の練習にもなるし。魚が好きみたいだから、大きい魚でも持って行くか。喜ぶかなあ。


 そんなことを考えていたら、式典はいつの間にか終わっていた。今日は、これから各騎士団で帰還祝賀会だそうだ。本当は、全員が一堂に集まってやりたいが、それほど大きい会場がないし、留守番部隊を入れると、今晩だけで2000人近い騎士さん達の宴会になるだろうとゾリゲンさんが言っていた。


 私は、ランカスター侯爵邸に戻って、母上に報告だ。あ、いけない。桃を買ってくるのを忘れた。と言うか、ミンチ村のあの惨状で『桃ありますか?』なんて言えるわけがない。


 母上に、無事帰ったことを報告すると、何も言わずにギュッと抱きしめてくれた。何も言わないが、母上の安堵の気持ちが伝わって来て、つい涙が溢れてしまった。泣くなんて、何年ぶりだろう。


 夕食は、久しぶりに父上も一緒だった。夕食後、執務室で今回の遠征に関する評価を聞いたところ、予想を上回るものだったらしい。まず、今回の遠征でブルーム殿下を総大将としたことが重臣達や国民に高く評価されたらしい。


 見た目が可愛らしく、温厚なブルーム殿下は、横暴で人を見下すような目付きのアンドレイ王太子殿下よりも国民の人気が高く、次の国王にと希望する声も聞こえてくるようだ。


 次に、今回の遠征は7剣聖のうちの2人、シュリンガー団長とゾリゲン団長が一緒だということだ。この2人が揃って討伐に加わるなど過去に例がないとのことだった。世界最強剣士と呼び声の高いシュリンガー団長、次期近衛団長確実といわれ、シュリンガー団長と全騎士団の双璧をなしていたゾリゲン団長、この二人の姿を揃って見られるだけで貴いと言われている。


 最後に、あの大量に積まれた魔物の素材、あれを他国へ輸出するだけで我が国の財政が潤うのは誰が見てもわかるとおりだ。そのことは国民の税負担軽減にもつながるだろう。


 最後に、今回の遠征の損耗が微小であったということ。前回、南の辺境で発生したスタンピードで、1200名にも及ぶ騎士団が派遣されたが、20%が完全損耗、つまり殉職してしまったのだ。重傷者や軽傷ではあるが、騎士団を去らなければいけなかった者も含めると損耗率は40%を超えるほどだった。スタンピードは抑えることはできたが、損耗を考えると失敗したと言えるだろう。その時の戦費は、重く国民にのしかかっているし、何より、その遠征部隊の総大将がアンドレイ王太子殿下だったのだ。


 国民は、久しぶりの戦勝、しかも贔屓の王子が総大将、これで歓喜しないわけがないのだ。


 しかし、今回のことが全てうまく行ったとは言えない。アンドレイ王太子殿下の取扱いだ。貴族たちの中にはアンドレイ王太子殿下を廃嫡すべきという強硬意見もあるが、それに対し伝統と血統を重視する意見もあり、将来の禍根になりかねないのだ。また、ダメンズ外務卿のように、異様なほどアンドレイ王太子殿下を後押しする貴族とその派閥の存在もあるので、事は簡単に終わらないとのことだった。


 今後の予定だが、1か月後に今回の遠征に関する恩賞示達および授与、その日の夜に戦勝祝賀会があるそうだ。戦勝祝賀会は、伯爵以上の貴族と、騎士団の中隊長以上の者が参加することになっているらしいが、王都に駐在している外交官も出席するし、この祝勝会に際して、来賓として訪問してくる各国の王族や皇族等がいるので、その警備にも気を使わなければならない。慣例として、他国の貴賓が訪問する際、警護の騎士などは必要最小限とされており、国内に入った時点で警護責任は受け入れ国にある。これは、侯爵以上の貴族がそれぞれの担当国を決めて警護に当たることになるのだが、日程的にかなり厳しいため、国境を守備する辺境伯の協力を求めることになる。


 我が国を取り巻く周辺国は、北の大国ルース帝国は広大な国土を持っているが、半分以上は凍土山岳地帯で、人間が住むには厳しすぎる極地になる。


 北西にあるエイボン皇国は、ブルーム殿下の母君シンシア様の母国で小国ではあるが、世界屈指の精密魔道具製作で他国から庇護を受け続ける国だ。


 西側には、長い海岸線が特徴のツーリ王国がある。この国は、アスラン王国との境界付近にある山岳地帯から良質の鉄鉱石や黄銅鉱が算出される。しかし労働力が圧倒的に少ないため、周辺国国境付近で奴隷狩りをするためイザコザが絶えない国だ。


 南西側のマール公国は、森林が多く、また漁業が盛んな国である。温暖な気候のため、小さな国家の集合体で、公国全体を統治しているのは4年に一度の大公選で選ばれるらしい。


 アスラン王国の南側は海岸線と東から伸びているデューダ王国となっている。デューダ王国は、南東の大国だが、密林のアスラン国境付近には国威が及ばないのか、獣人族の原住民が自由気ままな生活をしている。北東は、デューダ王国とアスラン王国に接しているシルフィーネ帝国があるが、皇帝はエルフ族の女帝で、代々、女帝が統治しているらしい。らしいと言うのも1人の女帝の治世が数百年続くので、もう神代の時代からの話らしいのだ。


 その全ての国から、お祝いに元首又はその名代としての特使が来るとのことなので、その警備や受け入れ態勢で、王都はてんやわんやの騒ぎになっているとのことだった。

 何か、物凄く大ごとになって来たようです。


 明日は元旦なので、お休みです。ゆっくりお正月を楽しんでください。

 次の掲載は1月2日6:00の予定です。


 それでは皆さま、良いお年をお迎えください。

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