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32 誰かが狙っているようです

今回は、少し残酷描写があるかもしれません。

 作戦名は『命を大事に!』って、どこかで聞いたことがあるような気がするが、気にしないことにしよう。


   「ブルーム様、ちょっとだけ見てきますね。」


   「え?危ないよ。」


   「はい、絶対に危険な事はしませんから。」


 勿論、危険なことをしない対象は、こちらだけだけど。スザンヌさん、ニコニコしながらシュナちゃんを抱っこしている。4歳児が野盗と戦闘するかも知れないのに、心配しないんですか?


 私は、自分のショートソードを持って、馬車の窓からスルリと外に出ると、そのまま馬車の屋根の上に登る。周囲が一望できたが、至る所で戦闘が行われている。しかし、劣勢だなあ。まあ、これだけの人数差があるんだ。しょうがないかも知れない。


 ゾリゲンさんを見ると、もう何人も倒している様だが、今は周囲を遠く囲まれて、直接の戦闘は避けられている様だ。弓矢や投げ槍で攻撃するだけだが、小さなバックラーだけしか装備していないので、何気にウザそうだ。


 野盗の首領と思しき男は、少し離れたところで馬に乗って様子を見ている。あ、気が付かれたみたい。


   「野郎ども、ガキは馬車の上だ。矢を撃て。」


 え、彼らの目的って私ですか?しかも矢で撃てって、殺す気満々ですよね。5本位の矢が飛んで来たが、威力もそれほどでもないし、避けるのは造作もないと思うが、狭い馬車の屋根の上なので、ここは魔力を張って防御しとこう。


 私を狙ったんだから、当然、お返しは覚悟しているよね。木の上や陰にいるアーチャーが5人、あと、あの臭そうな首領だね。あ、首領は後でお話を聞かなければいけないから、殺したら不味いよね。


 私は、右手と左手を拳銃の形に握って、人差し指を適当に向けて、


   「バン、バン、バン、バン、バン、バキューン。」


 最後の『バキューン』は、首領の右肩を狙ったものだ。ストンバレット3連射、2丁拳銃だから6連射。あ、少し強かったかな。アーチャーの殆どは、心臓部を強打されて、一瞬、息が止まってしまう。中には、そのまま息が止まり続けた人もいる様だけど、まあ、加減が難しいからね。


 首領は、命に別状がない様に右肩を狙ったんだけど、威力が強すぎた様で、右肩から先が消失してしまった。血が噴き出ているので、早く止血しないと死ぬよ。本当は、剣を抜いて肉弾戦を経験したいんだけど、あのレベルでは訓練にならないだろうから、ストーンバレット10連射で殲滅戦かな。狙うのは顔面、鼻の頭だ。勢いは最弱、大きさは9ミリの強化ストーン弾だ。もう、口が疲れるから『バン!』ではなく『バ!』だけだ。


  「バババババババババババ!」


 あれ、1個多かったかな。もう、こんなんでいいや。弾丸は自動追尾なので狙いはいい加減だけど、しっかりと11人の鼻に命中し、そのまま後頭部から抜けていった。あれ、死んじゃったかな。でも、狙ったのは鼻っ柱だから、あれは事故だね。


 戦闘は終わってしまった。騎士団の被害は2名死亡、4名重傷、13名軽傷だった。敵の討伐数は、死者28名、重傷8名、軽傷者は逃走した様だ。重傷者は、騎士さん達がトドメを刺して回っている。


 首領については、出血が酷いが、ちょうど良いみたい。怪我の治療を交換条件に自供を促している様だ。そこら辺はゾリゲン団長に任せ、私は重傷者の治療にあたる。


 最初の重傷者は、左腕が切断されており、足にもナイフが刺されている。切断された右腕を傷口に当てて貰って、『ヒール』を掛ける。白い光に包まれ、暫くすると繋ぎ目も消えて完治した。ついでにナイフの傷も無くなった。


 次の人は、左目に矢が刺さり、肩に深い切り傷が開いている。眼球は完全に破壊されている様だ。先ず刺さっている矢をグイッと抜く。良かった。毒は塗られていない様だ。痛かったのはごめんね。


   「ハイヒール!」


 軽微な欠損部の回復用呪文を唱えると、やはり白い光に包まれ、眼球の復元と傷口の修復を同時に行った。フウ!


 次は、お腹を切り裂かれ、色々なものが飛び出ている。他の騎士さんに飛び出た内臓を腹腔の中に適当にしまってもらう。


   「エクストラヒール!」


 内臓損傷や欠損は、単に傷口を治すだけではダメで、機能回復までしっかりとしなければいけない。荒療治に気を失った人に様子を聞く訳にも行かないが、きっと大丈夫だろう。


 最後の人は、大切な所が斬られ、男性としての再起不能らしい。命に別状はないみたいなので、放っておこうと思ったら、他の騎士さん達から物凄い勢いで嘆願されてしまった。やはり宦官仕様は嫌みたい。触るのは嫌だったので、手の平をかなり離して『ハイヒール』を掛けておく。再建されたかどうか確認するのも嫌だしね。


 賊の首領から話を聞いた所、やはり狙いは私たち子供2人だったらしい。依頼内容は、再起不能な程度に痛めつけること。死んでも構わないとの事だったらしい。それって絶対、物取りや誘拐じゃなくて怨恨ですよね。私を怨む人間なんて、あいつ以外に思い付かないんですけど、


 私達を襲った男達は、流れの傭兵団で、戦争や魔物討伐などの正業から、誘拐、殺人、略奪などの裏稼業まで、金のためならなんでもやると言う連中だった。


 依頼人は、何処かの貴族の使用人みたいだったが、それだけでは余りにも大勢いるので特定は難しいだろう。この馬車にブルーム殿下が乗っていた事は知っていたかについては、否認していた。王族に対する殺人未遂は、例え知らなかったとしても極刑以外の道はないけどね。


 結局、この男から依頼者に結びつくような自供を得る事は出来なかったが、悪質な傭兵団を殲滅できた事は、結果的には良かったのではないかと思う。騎士達は、死んだ傭兵達の所持品や装備品を回収していた。売れば幾らかにはなり、死んだ騎士の遺族に見舞金を渡す原資にするらしい。


 あと、傭兵の死体については穴を掘って埋めるか焼却処分をするのだが、量が多いので、取り敢えず放置して街の衛士さんに処分を任せるとの事だった。明日か明後日、死体処理に来た衛士さんは、何を見るかな。もう血の匂いを嗅ぎつけたハイエナかジャッカルか分からないが、犬型の獣が目をギラギラさせて周りを囲んでいるし、空にはコンドルか何かが円を描いている。


 縛り上げた首領を荷馬車に放り込んで街を目指すことにした。馬車の中で、ゾリゲン団長がさっきの戦い方を聞いてきた。私は、窓の外に手を出すと、1個の石の弾丸を見せてあげた。流石に馬車の中で、石の弾丸は作れない。素材の土が無いからだ。


 その弾丸は、直径9ミリで、円筒で、先が半球形をしているが、まあ、元の世界のパラベラム弾の弾頭だ。このまま礫のように投げてもいいけど、魔力で飛ばすと、秒速100m程度で飛んでいく。もっと威力が欲しい時には、回転させながら風魔法を併用すると、秒速360mを超える速度で直線的に飛んで行く。それでは威力が強すぎるので、平素は速度と硬度を調整しているが、結構ドンブリなので失敗して頭が吹き飛んだりしてしまう。


 元の世界の銃弾は、鉛製だ。これは鉛が鉄の比重7.89に比較して11.36と圧倒的に重いので、着弾した時のエネルギーが大きくなるからだ。それに余り硬い素材だと、銃身のライフリングが削れてしまうからね。鉛は、土の中に微量ながら必ずある元素なので、鉛製の弾丸を作ろうと思えば、結構簡単に作れるようだ。


 ゾリゲンさんは、その弾丸の重さを確認しながら、


   「こいつをどれ位打てるんだい?」


   「土さえあれば、幾らでも。そうですね。1時間位は撃ち続けることができると思います。」


   「これよりも大きいのは作れるのかい?」


   「作ったことがないので分かりませんが、多分、出来るかと。」


 対戦車砲なら、直径75ミリ、重量6.6キログラムのものもあるが、何に使うのだろうか?タングステン弾や劣化ウラン弾なら超強力な威力になるし。でも、対象はドラゴン?うーん、使い道がなさそう。ストーンバレットは、あくまでも個別攻撃手段だし、広域殲滅魔法も、ワールド・グリモアールに書かれていた。まだ使えないけど、隕石を落としたり、溶岩を噴出させたりって。あ、竜巻で遠くへ飛ばすと言うのもあったかな。


 ブルーム殿下が、ゾリゲン団長の持っている弾丸を欲しそうに見ていたので、また窓から手を出して1個作ってあげた。ブルーム殿下のは土の成分から鉛分子だけを抽出し、表面をピカピカに磨いた銅で覆ったフルメタルプルーフ仕様にしてあげたら、とても喜んでくれた。良かったね。

傭兵は、騎士達と戦闘になることも多いので結構強いようです。

 次話は明日6:00に投稿予定です。

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