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31 筋力増強計画は楽しそうです

 昨日、初めて1日のアクセス数が1000PVを超えました。これも皆様のご支援のおかげと感謝しております。

 フレデリック君は、初めての領地訪問となります。

 正月行事も終わり、『さあ鍛錬も本格化しないと。」と思った矢先、私の領地行きが決まった。勿論ブルーム殿下も一緒だ。今回の内憂について1人、外務卿だけが反対していたが、国王陛下の『鶴の一声』で決まったらしい。アンドレイ皇太子殿下は、5歳の時に皇后陛下の実家であるハーウエイ侯爵家の領地に内遊に行っていたらしいので、表立って反対はできないだろう。


 今回、ブルーム殿下内遊の条件が二つあって、近衛騎士の護衛は付けられないので、ランカスター家から騎士団を編成する事。そして、内遊にかかる経費もランカスター家で負担することだ。それって王室の権威が失われると思うけど、継承順位3位って、王族扱いがされないって事なのかなあ。でも一緒に行けるなら文句はないので、何も言わないけど。


 次の日、王城まで迎えに行ったら、また、第二後宮の前で待っていた。どうして外で待っているんだろう。聞いたら、嬉しくて待ちきれないのと、使用人が誰もいないので自分が出迎えなければ失礼になると思ったからだそうだ。そう言えば、我が家でも先触がある来客は、執事が玄関前でお待ちするのが礼儀だった気がする。


 シンシア様への挨拶もそこそこに、馬車に乗りこんだが、荷物が小さなボストンバッグ1つだけだった。後は、この前プレゼントした木刀だけかな。普通、王族が旅行するとなると、物凄い荷物になるだろう。ヘタをするとティーセットから寝具まで携行する場合もあるそうだ。このバッグの大きさだと、下着、靴下と簡単な着替えだけかな。まあ、私も大した事はないけど、昨日、スザンヌさんの荷物を見ていたら、大きなスーツケースや衣装箱など馬車一杯になる位で、引越しじゃあないんだから馬車の荷台に乗る程度にしなさいと母上に注意されていた。あれで38歳なんだから、本当に・・・ウホン、ゴホゲホ。


 この世界には、マジッグバッグという魔道具があるらしい。でも、古代遺跡やダンジョンから本当にたまに見つかるくらいで、しかもそれ程の収納量でもないのに、小さな家が一軒建つ位の値段がするんだって。あ、当然、我が家にもありません。


 今日は、ランカスター家で一泊して、明日早朝に出発だが、今日のお泊まりも楽しみだったようだ。まず、2人で屋敷内を探検だ。屋外練習場とか屋内道場を案内すると。とっても興味があるみたいだった。それからグレンベル兄とアリスちゃんそれとシュナちゃんを紹介して、ちょうど帰ってきた母上とお茶にした。母上はシンシアさんの近況について色々聞いていたが、


   「シンシア嬢は、今でもピアノを練習しているの?とてもお上手だったわ。」


   「え、母上はピアノを弾いた事はありませんよ。お屋敷にピアノはありませんし。」


 母上は、それを聞いて、黙ってお茶を飲んでから、すっと立ち上がってどちらかへ行かれた。


   「僕、なんか変な事言ったかな?」


   「いや、気にしないで。ブルーム様は悪くなんかないから。」


 母上が戻られたとき、目が真っ赤だったのは誰にも内緒にしておこう。夕食は、珍しく父上も一緒だった。ブルーム殿下が我が家の食事を、しきりに褒めてくれた。


   「とても美味しいです。温かいし、それに量も多いし。僕、こんなに食べるの久しぶりです。」


 これには、皆がシーンとしてしまった。そう言えば、ブルーム殿下は私より1歳上の筈だが、背丈はほぼ同じ位だ。体重は分からないが、やや痩せ型かな。しかし、その認識は、食後一緒にお風呂に入った時に覆された。ややどころではない。アバラ骨が浮き出ていて、痩せすぎだ。筋肉もほとんど付いてなく、前の世界のネグレクト児童のようだった。


   「フレデリックは、凄い体だね。鍛えているんだ。僕もそうなりたいな。」


   「ブルーム様も、これから鍛えるんですから、直ぐに逞しくなりますよ。」


 これで、ブルーム殿下の訓練計画のほかに、食事計画も練り直さなければならなくなった。






 ランカスター領の領都までは馬車で2泊3日の旅だ。護衛は、ゾリゲン団長が率いる騎士団30名だ。旅程で野営は無いが、全員が泊まれるだけの宿がない村があるので、騎士団は必要人員以外は教会や集会所で雑魚寝になるらしい。


 勿論、ゾリゲン団長は、私たちと一緒の宿だ。私とブルーム殿下そしてシュナちゃんは、一緒の部屋に泊まる事になっている。最初、別々の部屋にしようとしたが、一緒の部屋が良いと泣き始めたので、仕方なく一緒の部屋にした。


 宿の食事は、そんなに上等なものではなかったが、豆と肉、それと野菜たっぷりのスープをお願いした。前の世界の知識では、筋肉を増やすには動物性蛋白質と植物性蛋白質をバランスよく摂取する必要がある。あと、王都屋敷から蜂蜜を1瓶持ってきた。お湯にレモンと蜂蜜を入れて水分補給をさせる。良質な糖分はエネルギー変換率が高いし、レモンに含まれるビタミンCも、コラーゲンの生成に必須の化合物と聞いたことがある。ブルーム殿下はこの飲み物をえらく気に入ってしまったようだが、飲み過ぎは糖分取りすぎになるため、1日500ミリリットルに制限させて貰い、後は紅茶を飲んでもらう。


 夜、寝る前にブルーム殿下の体内に私の魔力を流し込む。やり方は、両掌を顔の前で重ね合わせるだけだ。右手に流し込んだ魔力を左手で吸収する。それだけだ。ブルーム殿下は、なすがまま、されるがままに体内を流れていく魔力を感じ取ってもらいたい。なんか昔見た映画に似たシーンがあったような気がする。


 就寝は、午後9時だ。明日は、朝から練習だ。


 翌朝6時に起きたが、ブルーム殿下はまだ寝ている。もっと寝かせてやりたいが、心を鬼にして起こすことにする。起きがけにレモン水を1杯飲み、目がスッキリしたところで、宿から出て村の周りを周回だ。まだ日の出前なので、薄暗いが、『ライト』で周囲を照らしながら走る。ブルーム殿下の体力に合わせ、ゆっくり走ってあげる。それも500m位走ると300m歩くというインターバルで走るのだ。深呼吸の仕方や走っている時の呼吸法、手の振り方などを指導しながら走り込む。


 ブルーム殿下は、革靴を1足持っているだけなので、あらかじめ底に馬の背の革を張った布製の靴を渡してある。この靴の底は滑らないように、ギザギザの二重底になっている。村を1周するとだいたい2キロ位だろうか。2周したら限界の様だったので、後は、クールダウンを兼ねてお散歩だ。陽も上がってきたが、冬の寒空の中、火照った身体に冷たい風が気持ちいい。でも、このままだと身体が冷え切ってしまうので、分からない様に温風を吹きかけてあげる。


   「フレデリックは凄いね。もう『ライト』の魔法が使えるんだ。」


   「生活魔法で、使えないと不便ですから。」


   「でも、お城のメイドが使う『ライト』は、ランプに火を灯すだけだよ。こんな風に宙に浮かんで光ってるのって初めて見たよ。」


   「ブルーム殿下も覚えれば直ぐに使える様になりますよ。」


   「本当?僕、1年前に検査したら魔力が無いから使えないって言われたんだ。」


 それは嘘だ。昨日、魔力を循環した時、潤沢な魔力の流れを感じたし、現に今も青っぽい光が身体から漏れ出ているのが私には見える。きっと風魔法の素養がある筈だ。という事は、魔力が無いと言われたのが納得行かない。そう言った人は、何が目的なんだろう。


 朝食には、卵料理をお願いした。あと、温めたミルクに蜂蜜を入れて飲んでもらう。もう少し身体が出来てきたら、1日5食にして、1度の量を少なくしようかな。


 この日、次の街に着く前に、トラブルが起きた。ちょうど街道に森が迫って薄暗くなっている所だった。私たちの隊列は、騎馬に乗った騎士10騎が前衛、真ん中に乗車用の馬車で、私とブルーム殿下、あとシュナちゃんとスザンヌさんが乗っている。御者席にはゾリゲン団長が同乗している。そして馬車の左右に2騎ずつの騎士さんが並走し、その後ろに荷馬車が1台、その後方に後衛10騎が追走している。


 私は、御者席との連絡窓を開けて、ゾリゲン団長に前方に不審者達が屯していることを伝えた。ゾリゲン団長も、何か不穏な気配を感じていた様で、直ぐに隊列を止めて、私たちの馬車の周りに円陣を組んで、襲撃に備えた。


 30mくらい先の樹上から矢が飛んできた。アーチャーが隠れて、矢を放ってきたのだ。しかも数本一緒に飛んできたので、アーチャーは複数人いるみたいだ。騎士さん達が盾で防いでいるが、馬に当たったり防ぎきれない箇所に刺さったりしている。


 そのうち、森の木陰からゾロゾロと男どもが出てきた。得物はマチマチだが、当然、殺傷能力の高そうな武器ばかりだった。


   「殿下、フレデリック様、絶対に馬車から出ないで下さいね。」


 ゾリゲン団長がそう叫ぶと、馬車の御者台から飛び降りた。戦闘モードに入った様だ。窓から覗くと、敵は50人以上はいそうだ。しかし、どうも変だ。そもそも、こんな大勢の野盗のグループがいるなら、当然情報が入るだろうし、ここは王家直轄地とはいえ、間もなくランカスター領に入ろうかという位置だ。今まで、ランカスター騎士団が放置している訳がない。あと、敵の装備が揃いすぎている。農民あたりが野盗になったなら、鍬鋤類や棍棒などの粗末な武器を持っている者もいる筈なのに、彼らの武器は、まるで戦争に行く傭兵の様な武器ばかりだ。うん?そうか、敵は傭兵か傭兵崩れだ。という事は、ゾリゲンさんを除いたうちの騎士達と同等の戦闘力を有していると考えるべきだ。そうなると、人数の差がそのまま戦力の差になってしまう。


 これは、仕方がないよね。仕方がないから、ちょっとだけ力を見せてもいいよね。うん、騎士さん達の命は大切だよね。作戦名は『命を大事に!』だ。

あらあら!なんだか不穏な空気が。


次話は明日6:00に投稿予定です。


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