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21 幼女は早く寝るようです

今回は、フレデリック君の親友との出会いですが、最初はまあ、普通の出会いです。

 婚約披露パーティーは、長時間続くようだが、ベス嬢はもう眠そうだ。今日は朝早くから準備をしていたし、お昼寝もできなかったみたいなので、完全にオネムモードだ。それに気がついたクリスティーナ様が、ベス嬢を連れて待機していた部屋に連れて行った。


 1人になった私に、貴族の子女達が群がってきた。男の子も女の子もお友達になりたいと言ってきたけど、おそらく親から友達になって来いと言われたのだろう。女の子の中には、側室になりたいって言う子がいたけど、貴女、側室って意味、何か知っていますか?それに私は公爵家へ婿として入る身、側室など持てる訳がない。


 子供達に囲まれていたが、急にサーッと開いていった。みるとアンドレイ王太子殿下とイグノリア第二王子殿下、ブルーム第三王子殿下の3人が近づいて来たようだ。イグノリア第二王子殿下は10歳位、ブルーム第三王子殿下は私と同じ年頃だろう。


 アンドレイ王太子殿下が突っかかって来た。


   「お前、ちょっと剣術が強いからっていい気になるな。お前より強い奴なんか一杯いるんだからな。」


   「勿論でございます。私のような浅学非才の凡人風情が、近衛騎士団の英傑と言われる団長様に敵う訳ありませんよ。お情けで勝たせて貰ったと思っております。」


   「お、おお、分かっていれば良いのだ。あまり調子に乗らないようにな。」


   「承知仕りました。」


 面従腹背の極みとは、私のことです。しかし王太子殿下と言う我が国のナンバー2の立場なのに、小物臭がプンプンするのはなぜだろう。4歳児の私にマウントをとって、どうするつもりなのだろうか。


 この王太子殿下が国王になったとき、7大侯爵家と4辺境伯を指揮下に置いて、思うままに内政ができると考えるほど甘ちゃんじゃあないと思うが、クーデターを起こされギロチンの錆になったり、一生塔屋の最上階に幽閉されないように祈念いたします。


 王太子殿下とイグノリア第二王子殿下が立ち去った後、ブルーム第三王子殿下がその場に残って私に話しかけて来た。


   「ランカスター卿は強いんですね。僕も最近、剣術を習い始めたんだけど、剣が重くて上手く振り回せないんだ。」


   「殿下、剣は振り回してはいけません。剣の刃の通り道を通すだけです。」


   「えー!そんな難しいこと、出来ないよ。」


   「例えば、上段から剣を振り下ろす場合、相手の頭から目の間、鼻筋、口先、顎の先端と剣が通っていくのです。それが剣の通り道です。」


   「へえ!ランカスター卿は、剣のこと、よく知っているよね。」


   「私のことは『フレデリック』とお呼びください。」


   「うん、分かった。じゃあ、僕のことも『ブルーム』と呼んでね。」


   「了解しました。ブルーム様。」


   「えへへ、これで僕達友達だね。」


   「ブルーム様がお許しくだされば。」


   「じゃあ、じゃあさ。今度遊びに来てよ。僕ねえ、お城の外のこと知りたいの。でも誰も教えてくれないんだ。ね、お願いね。」


   「それでは、宰相殿を通じて許可をいただければ。」


   「うん、約束だよ。あ、僕ねえ。街で流行ってるゲームをしてみたいな。ねえ、今、どんなゲームが流行っているの?」


   「そうですねえ。トランプとか、リバーシとか?」


 すみません。私、街の子の友達いませんから。ゲーム、全く知りません。


   「トランプ?リバーシ?何、ソレ?どんなゲーム?ねえ、教えて、教えて!」


   「今度、街で買い求めておきますから、次にお会いするときに一緒に遊びましょう。」


 私は、この約束のため、近い将来大変な事になるなんて思いもしなかったのだ。ブルーム殿下と別れた後、少しお腹が空いたので、スナックコーナーに行ってサンドイッチを食べていると、国王陛下御夫妻と3殿下の退場となった。これで、概ね披露宴は終了である。帰る者、食べる者、飲む者とそれぞれだが私は主催者なので全員が帰るまで帰るわけにはいかない。


 もう帰りたいなと思っていると、メルボルン公爵から1人の男性を紹介された。その男性はブレーメン公爵で、先ほど模擬戦をしたダルシア卿の父君だ。彼は、現国王の従兄弟で彼でブレーメン公爵家は廃止となる予定だ。国の決まりで、国王陛下のご兄弟は無条件で公爵となるが、公爵家は次代まで、以後、処遇をどうするかは7大侯爵家が話し合って決めるそうだ。過去の例では、殆どがどこかの高位貴族家に婿養子で入っているらしい。


 そう言えば、うちの曽祖父が公爵家の血を引いているとか言っていたから、そんな経緯だったかも知れない。ブレーメン公爵家も、嫡男は西部の伯爵家に婿養子に行っているそうだ。先程、模擬戦をしたダミアン卿も、将来は騎士爵を叙爵される予定だったが、今回の件で近衛騎士団長の職を辞する事になるかも知れないそうだ。


 ブレーメン公爵は、私を恨んでいるのではないかと思っていたが、元々公爵家の4代目以降は自分の身は自分で決めなければならず、近衛騎士の道を選んだダミアン卿は、その将来も剣の腕で勝ち取らなければならなかったらしい。実力もないのに、7剣聖を名乗る事自体が我が家の恥だったと言われてしまった。このおじさん、自分の子供に対する情というものがないみたいだ。あれ、そう言えばベス嬢も3代目だよね。私達の子供はどうなるのだろう。まあ、子供が出来てから考えよう。元々は、騎士か冒険者になるつもりだったのだから。


 と言う訳で、ブレーメン家としては、今回の件で遺恨に思うことはないので了解して貰いたいとの事だった。まあ、4歳児が分かる話ではないと思うんですけど。


 次に、もう一人の公爵を紹介された。ベス嬢の父、バーン卿の従姉妹に当たるカインズ公爵だが、女性公爵だった。彼女は独身で、当然、彼女でカインズ公爵家は廃家となる。なるほど、そういう身の処遇方法もあるのかと思ってしまった。


 そう言えば、以前、バーン卿に、魔法と剣術、どちらで身を立てるのか聞かれたが、自分たちの子供のためにも、領地にとらわれず生きる糧を得る事は重要なことかも知れない。


 婚約披露宴も終宴となった。私達は、我が家の王都侯爵邸に戻ったが、本当に疲れた。ゆっくり風呂に入り、ぐっすり眠りたい。


 でも、ベス嬢で公爵家が終わると言うことが気になった。別に、今の生活を続けたいとか、子供に領地を引き継ぎたいなんて考えている訳ではない。だが公爵家領内や王都屋敷で働いている何百人もの使用人や騎士団の人達の生活を考えると、『はい、そうですか。』と領地を引き渡すのは、何か違うような気がする。


 確かに王家が何十代も続き、国王の兄弟を全て公爵に叙爵していたら、世の中全て公爵だらけになってしまうだろう。日本の皇は、今でこそ皇統断絶しかかっているが、戦前の宮家は今より格段に多かったと聞いている。それでも決められた宮家以上には増やさず、江戸時代以前は、兄弟が天皇に即位されると、仏門に入って子孫を残さないか臣下の籍に移る臣籍降下をして、野放図に宮家が増えるのを防いだらしい。


 この国の王室制度は、その制度に似ているが領地と臣下を抱えるという点で、性格が異なる気がする。王室と公爵家で領地は一定であるから、その中で臣下も含めてやりくりすれば上手く行くのではないかと思うが、まだ実態も分からないのに、あれこれ考えても仕方がないだろう。


 まず10歳までは自力を向上させる。剣術も魔法も、この世界で生きていくのに十分な力を身に付けたいものだ。その前にベス嬢を護る位の力を絶対に身に付けるべきだと思う。日本にいるときは、誰かを護りたいなどと思った事などないが、今は、ベス嬢をずっと護るのは自分しかいないと思えるのだ。


 私は、4歳児としては、そこそこ剣を使えると思うが、まだまだ足りないところばかりだ。剣と魔法のこの世界で、人の命は羽よりも軽い。そんな世界で、より高みを目指すには、毎日の努力しかないと信じている。


 今の練習メニューは物足りないが、身体が出来上がっていないので、これ以上は無理だと思う。早く3斤の木刀で1000本素振りが出来るようになりたいものだ。


 あと、絶対的レベルを上げるためには、やはり戦闘経験が必要だろう。対人戦闘は、戦争でもない限り無理だろうから、この世界では魔物討伐が現実的だと思う。王都には、魔物はいないと思うが、王都で屋敷の外に行ったのは王城と武道具やさんだけだし、そもそも、この世界の魔物って一体なんだろう。竜とか動く骸骨の事なのだろうか。


 何となくだが、我がランカスター領に行けば魔物の住むエリアがあるのではないだろうか。でも、領地に行った事はないし、あれ考えてみれば、私って結構ヒッキーみたいだ。この世界には、冒険者という職業があり、魔物を狩って素材を売ったり、魔物から住民や旅行者を守って収入を得ている者達がいるそうだ。きっと、魔物の脅威などものともしない強者なのだろう。


 私も剣の道を極めようとする者だ。冒険者の強者のレベルを是非知りたいものだ。できれば、許しを得て鑑定してみたいが、そうすると鑑定能力があるとバレてしまい、面倒な事になる気がするので自重せざるを得ないと思うのだ。


 取り敢えず、冒険者を見てみたい。全てはそこから始まるだろう。ものは相談だ。私は、スザンヌさんに冒険者について聞いてみた。


   「スザンヌさん、冒険者って知ってる?」


   「どうしたんですか、突然に。冒険者ですか?見た事はありませんが、いろんな仕事を請け負う『何でも屋』だって聞いてます。その人達に仕事を斡旋するギルドがあるみたいですよ。」


   「私、そのギルドってとこに行ってみたいな。」


   「フレデリック坊っちゃま、何か良からぬ事を考えていませんか?御領主様とマリアンヌ様が許可していただければ、お連れするくらいは出来ますよ。」


   「本当、じゃあ父上と母上に話してみるね。」


 これで、冒険者ギルドに行くことができるかも知れない。

だれがフレデリック君の親友になるのかわかったでしょうか。


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