乙女心ってなんだろう
自分でも何がなんだか……。
………でけぇ。
俺のナニの話じゃなくて、皐月の家がでかい。
「お帰りなさいませ」
何奴!?
「ただいま」
「こんにちは、護山さん」
護山さん……え?何者?
「えっと……執事の護山」
「護山と申します」
執事がいる家って……。まぁ、こんな城みたいな家だったらいてもおかしくないけどさ。
「あ~、どうも塩崎 圭です」
「これはこれは……皐月様から毎日のように圭様のお話をお聞きして、是非一度ご招待したいと思っておりました」
そうですか。様とか何とか気になる所はあるけど、何かもうどうでもいいや。
皐月は皐月で……。
「照れる」
照れてるようには見えないけど、照れてるし。
「皐月、こんな所で立ち話もなんだし、中入ろうよ」
お前は家主かよ。
「うん、行こう」
「それでは、お荷物をお持ちします」
すごいね、何かもうホテルみたいだよ。
………………
…………
………
「……何か飲む?」
「あぁ、アイスコォッ!?……ヒーを」
ソファーが予想以上に沈んだからビックリしちゃった!恥ずかしい!
皐月は何も言わずにホット2つとアイス1つ、と喫茶店のような感覚で護山さんに伝えてくれたけど、葵は爆笑してるし。
「アイスコォッ!……あはは!!」
「おい、葵」
「はぁはぁ……何?アイスコォッ!……あっはははは!!」
「パンツ見えてるぞ」
足バタバタしてればそりゃ見えるよね。しっかり見ちゃったけど、そこまでやられて見ないのは逆に失礼だから。紳士たる者、失礼があってはいけないしさ。
「……え?」
「白とはお兄さん感心しちゃっふぅ!?」
鞄投げんじゃねぇよ!なんか喜んでるみたいになっちゃったし!
「はい…コーヒー」
このタイミングで!?相変わらずの皐月っぷりですね!
「圭のバカ・アホ・変態・アイスコォッ!」
何かおかしいのが入ってるよ!悪口みたいな使い方してるけど、合ってるの!?
「コーヒー……」
飲むよ!飲むからそんな悲しそうな声出さないで!
「お、うまいな」
「豆が違いますから」
護山さん、謙遜とか……まぁいいけどさ。
「ん~!豆の味がするわ!」
バカがバカなコメントをしてる。葵にはインスタントでよかったんじゃないかな。
「皆様、本日はどのようなお集まりで?」
護山さん、優しいのね。葵の意味不明なコメントにも、にこやかな笑みを浮かべるとか…これが本物の紳士か。
「久しぶりに皐月の家に行こうかって話になって、それで」
あ、そうなんだ~。全然知らなかったよ僕。全然知らなかった。
「ねえ、なんで俺まで来なきゃ行けなかったの?」
「それは……美味しいコーヒーを飲むためよ」
あ、そうですかぁ。
「なによ!どうせ暇なんだしいいじゃない!」
「超巨大なお世話だこんにゃろう」
勝手に暇だって決めつけんなよな。いや、まぁ暇だけどね。
「まぁいいや。それで、何すんの?」
「何って…特に何も」
「帰る」
何もしないってなんだよ!3人揃って護山さんに見つめられながらぼーっとしてるの?嫌だよ!
「圭」
「何だね、皐月さんや」
「……つまらない?」
「うん」
これはもう即答だね。だってつまらないもん。
「何でよ!」
どうして葵が出てくんだよ!
「何でもなにも、面白要素一つもないぞ」
「……しょんぼり」
「圭のせいで皐月がしょんぼりしちゃったじゃない!」
俺にもわかったよ。だってしょんぼりって言うんだもん。
「どうしろってんだよ…」
「知らないわよ!」
バーカバーカ。
「圭……夕飯食べてく?」
君、立ち直り早いね。それになんで飯の話になったのかわからない。
「なんで夕飯?」
「3人でご飯を作ろう……そうしよう」
ん?
「いいわね!楽しそう!」
んん?
「護山……買い物行ってきます」
「はい。行ってらっしゃいませ。」
「圭、何してるのよ」
話についてけないのよ。
「えっと…どゆこと?」
「……夕飯の買い出し」
「あんた話聞いてなかったの?」
「聞いてたよ!どうして急に飯作ることになって、それに葵がノリノリなのかがわかんねぇんだよ!」
「圭がつまらないって言うから……」
あぁそう、俺の一言でこうなったのか。解散って流れにはなっても、夕飯を作るって流れになるとは思わなかったよ。
「いいからさっさと行くの!」
お前はなんでそんなにやる気満々なんだよ。
「……行こ」
面倒だけど、しょうがない。
「はいはい、行くよ」
……あ、そういや家どうなってんだろ。
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