和式より洋式
「あの、すいません。ここら辺で子猫見ませんでした?」
「いえ、見てませんけど…」
「そうですか……ありがとうございます」
なかなか見つからないなぁ。
「おい、バカ」
僕のことですかね。
「もしかして、僕?」
「もしかしなくても、アンタよ。今この場で私が話しかける人は圭しかいないじゃない」
そりゃそうだよね。知らない人にバカなんてそれこそバカだよね。
「それで、何か用かな?」
「私達は皐月を探してるのよね?」
おいおい、それ以外に何があるっていうんだよ。まったく葵はバカだなぁ。
「バカだなぁ」
「アンタに言われたくないわよ!」
あ、思わず声に出しちゃった。
「私達は皐月を探してるの!猫を探してるんじゃないのよ!」
「ほんの茶目っ気じゃないか」
もしかしたら子猫を追いかけてるうちに皐月を見つけるなんて展開……ないな。
「まったく!真面目に探してよね!」
怒りっぽいのはよくないぞ。カルシウム取れ、カルシウム。
「あ…」
「何!!」
なんで今ので怒るんだよ!
「皐月いたぞ」
「え!?」
「カモン……タクシー」
タクシー呼んでる。色々ツッコミたい所はあるけど、とりあえずその場で呼んでもタクシーは来ないよ。
「皐月!」
「あ…葵」
あ、いかん。こんな時になんだけど……ウ○チしたい…。
「どこ行ってたのよ、もう!」
「ごめん……カップルの喧嘩見てたら、葵を見失った」
なんという…。
「そんなのどうでもいいじゃない!」
いや、どうでもいいっちゃどうでもいいけど、そのカップルにとってはどうでもよくない事なんだよ。……なんか意味わからなくなってきた。
「それで、葵いなくなっちゃったからタクシーで帰ろうかなって」
だからってその場で呼ぶ!?電話で呼ぶか、走ってるタクシーに止まってもらうかしないと来ないよ!
「はぁ……皐月、お願いだから携帯買って!」
携帯持ってないのか。そうだよね、携帯持ってたらわざわざ探す必要ないもんね。
「うん」
「いつも「うん」って言って買わないじゃない!」
酔ってる人が言う、全然酔ってないからって言葉みたいなもんだな。多分。
「買う」
「はいはい。それより体調はどうなの?」
「……バッチリ」
顔真っ青な人が言っても全然説得力ないから。あと、僕のお腹もそろそろ限界だから。
「あの~……」
「あ、圭」
今気づきました、みたいな反応すんじゃねぇよ!
「ありがとう!おかげで皐月見つかったわ!」
うん、知ってる。なぜかって?
見てたからさ!
「そう……良かったね。それでね、僕ウ○チしたいの。だからトイレ行くね」
「アンタって本当に……」
言い切れよ!気になるだろ!
「圭、そこのスーパーにトイレあるよ」
おぉぉ……トイレの女神さまはここにおったでぇ!
「ありがとう女神さ、じゃなくて皐月!」
モヤモヤ感が残るけど、今はトイレ優先だ!
「じゃあ、俺はトイレ行くから」
洋式でありますよーに!
「行ってらっしゃい」
「うむ」
葵はなぜか俺の方を見てくれない。なんでだろ…。
まぁいいや。トイレトイレ~。
………………
…………
………
「すっきり!」
でも、ちょっとキレが悪かったなぁ。なかなか拭ききれなかったもんな…。
「ジンジンするし……」
「どうしたの?」
………なんで待ってるの?
「…帰ったんじゃないの?」
「誰も帰るなんて行ってないじゃない」
皐月見つかったから2人で仲良く帰るのかと思うじゃん!
「…すっきり?」
「ん?おぉ…すっきりだ」
「そう…」
思わず答えちゃったけど、何で皐月はそんなこと聞くの…。
「どうでもいい!」
どうでもよくないだろ!もし俺が血便でもしたら葵は……やっぱどうでもいいか!
「じゃあ、行こう」
「そうね。いつまでもこんな所で話しててもしょうがないし」
トイレの前だしね。
「ほら、アンタもいつまで突っ立ってるのよ!」
「え?どこ行くの?」
俺がトイレでふんばってる間にどういうことになったんだろ。
「皐月の家よ」
「私の家」
………なんで?
さて、この後の展開どうしよう。




