遊び道具を作りました。(2)
「ぷらすちっく……?シエラ知ってる?」
「いや、ボクも知らない……」
「ま、まあかなり珍しい素材だからな」
「そうなんだ!」
「造形!!」
俺は空中で障壁に支えられているプラスチックの塊に魔法を使う。
白い塊が動き始め、54個に分かれる。
「すごーい!!動いてるー!!」
「タケルってさりげなく得体の知れない魔法使うよね……」
そしてそれぞれの塊が薄い手のひらサイズの板になる。
「よし、次は着色だな」
どうせ着色できる魔法もあるのだろう。
ー魔術加工師・着色 着色料1gあたり10ー
「着色!」
俺は自分の記憶を頼りに一枚一枚、柄をつけていく。
どうやらこの魔法は記憶にあるものを着色するとその通りになるようで、まるでカラープリンターを使ったように綺麗に着色できた。
「よし!完成だ!!」
「すごーい!なにこれ!!」
「これはトランプって名前の遊び道具だ!」
54枚のカードにそれぞれの絵柄。
申し分のない出来のトランプだ。
やっぱり遊び道具といえばこれだよな。
ちなみに紙製は耐久度が心配だったからプラスチック製にした。
この世界の紙はもろそうだからな。
「どうやって遊ぶのー??」
「うーん、とりあえず椅子に座るか」
机の前の椅子に二人を座らせ、カードを机の上に広げる。
「まず、このハートとダイヤとスペードとクローバーの四つの絵柄があるだろ?」
「はーと?」
「くろーばー……?」
あ、そうだった。二人とも絵柄の呼び方すら知らないんだった。
「えっとな、この赤い丸の上をへこませたみたいな形あるだろ?」
「ああ、これね」
「これがくろーばー?」
「これがハートだ」
「なるほど……」
「こっちは何?」
エッシェルがダイヤの絵柄のカードを指す。
「こっちはダイヤだ」
「ダイヤ……」
「じゃあこっちの二つは何?」
シエラがスペードとクローバーを指す。
「こっちがスペードで、こっちがクローバーだ」
「なるほどー」
「あー!!これがクローバーか!!」
「そうだ」
「これがハート、これがダイヤ、これがスペードでこれがクローバーか!!」
「エッシェルは覚えが早いな」
「ボクも覚えたよ!!」
「おお、シエラもか」
「ねえねえ!絵の数が違うと何が違うの?」
「えっと、絵の数がそのカードが持つ数字を表してるんだ」
「かーど?」
「ああ、この札のことをカードっていうんだ」
「へー!!」
「じゃあさ、この人の絵が描いてあるカードは何?」
「えっと、11以上の数字を持つカードにはこんな感じの絵が描かれてるんだ。このJっていう文字が書かれてるのが11で、Qが12で、Kが13だ」
「これがじぇーって文字で、こっちがきゅーって文字でこっちがけーなの?」
「そうだな」
「9ときゅーって何が違うの?」
ああ、言われてみれば発音同じだな。
「9は普通の数字だけど、Qは文字の一種なんだ」
「うーん、なんとなく分かったよ」
「ってことは13が一番大きい数字なんだね!!」
「ああ」
二人とも覚えが早いな。
「ねえねえ!このカードは何?」
エッシェルがジョーカーを二枚持ち、見せてくる。
「ああ、これはジョーカーって言って、万能なカードとして使われることが多いんだ」
「じょーかー……これが最強なんだね!!」
「まあ大体そんな感じだな」
ジョーカーが手札に来たせいで発狂するゲームもあるがな。
「カードの種類は分かったけど、どうやって遊ぶの?」
「うーん、いろいろ遊び方はあるんだが、今は大富豪でもやるか」
「「うん!」」
俺がよくスマホアプリでやってたトランプのゲームが大富豪だからな。
…………ちなみに他人とやったことはない。
「えっと、この大富豪って遊び方においては2が一番強いカードで、3が一番弱いカードになるんだ」
「数字が大きい方が強いってわけじゃないんだね!!」
「そうだな」
「ってことは、13の次に強いのが1ってこと?」
「ああ」
「なるほど!!」
素晴らしい飲み込みの早さ。
「大富豪では順番を決めて一人ずつカードを出していくんだが、前の人が出したカードより強いカードしか出せないんだ」
「同じ数字があれば何枚か一緒に出せるんだが、もし場に既に誰かがカードを出していたらそのカードと同じ枚数しか出せないんだ」
「ばってなにー?」
「ああ、場っていうのはカードを出す場所のことだ」
「なるほど!!」
「それと、カードの柄が二連続で同じになったら、次もその柄しか出せないんだ」
「あと数字が6から7とか3から4みたいに連続になったら、次も連続してしか出せないんだ」
「もしカードを2枚いっぺんにだして、次の人が出したカードの片方だけ柄が同じだったらどうなるの?」
「片方だけ次から出せる柄が決まるんだ」
「分かった!」
いやよく今の説明だけで分かったな。
「ちなみに4枚同時に出したら革命っていうのが起きて、そこから後はずっと強い方が弱くなって、弱い方が強くなるんだ」
「そんなこともできるんだね!!」
「それでここからが難しいんだが、いくつかの数は数によって特殊な効果があるんだ」
「どんな効果があるの?」
「5は次の人の順番を飛ばして、7は隣の人にカードを送れて、8は場を全部なくせて、9は順番が逆になって、10はカードを捨てられて、11はその場がなくなるまで強い方が弱く、弱い方が強くなるんだ」
「……確かに難しいね……」
「あれ、7ってなんだっけ!」
「隣の人にカードを送れるんだ」
「何枚送れるの?」
「1枚だ。10で捨てられるのも1枚だ」
「なるほど!!」
「あのさ、もし7を2枚同時にだしたらどうなるの?」
「2枚送れるんだ」
「じゃあ11を2枚同時にだしたら?」
「11だけは何枚だしても効果は1回だけだ」
「あ、それはそうなんだね……」
「なんとか分かったよ!!」
「ボクも!!」
今の説明でわかったのか。二人ともすげえな。
「それじゃあもう遊べるか?」
「「うん!!」」
俺はカードを配り始めた。
実は俺は人とトランプをするのが夢だったのである。




