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遊び道具を作りました。(1)

「ね、ねえタケル、どうしたの?」


「壊れた?」


シエラとエッシェルが、ウィンドウをニヤニヤしながら見る俺に言う。


そうだ、そういえばこのウィンドウは他の人に見えないんだった。

側から見れば俺は完全な変質者だな。

次から気をつけよう。


「い、いやなんでもない。別に壊れてないから安心してくれ」


「そ、そう……」


「言いたいことがあったらいつでも言ってね?」


うん、何故か心配されている。


「大丈夫だ。安心しろ」



「そういえば、ボク達食事ってどんな感じで済ませればいいのかな」


「ああ、そういえばもうすぐ夕食の時間だな」


窓の外から、沈もうとしている夕日が差し込んでいた。

今日は色々あったなあ。


「うん」


「確か兵士の人が通信魔法陣を使えって言ってなかったか?」


「ああ、確かに言ってたね」


「じゃあ使ってみようよ!」


「そうだな」


俺たちは席を立ち上がり、壁にある通信魔法陣の前に立つ。


そして、目の前にある机の上にある、使い方の書かれた紙を手に取る。


「えーっと、通信魔法陣起動、108番」


こう言えばいいのか。


すると、魔法陣が青く光り始めた。


「おおっ!!」


「光った!!」


「これで使えるんだね!」


「こんばんは。タケル様でございますか。ご夕食の件でしょうか」


魔法陣から声が聞こえる。


なるほど。きっとこの魔法陣が光っている時は通信中ってことか。


……それって俺たちの今の反応が聞こえてたってことだよな。地味に恥ずかしいな。


「ああ、そうだ」


「本日の夕食はどのようにされますか」


「えっと、どういう感じなんだ?」


「客人用のお食事処で済ませることもできますし、お部屋まで運ばせていただくこともできます」

「また、食事の内容もある程度なら要望が効きます」


「えっと、内容はお任せで部屋まで持って来てくれ」


今日はいろいろあって疲れたからな。部屋で食べたい。


……これからもまだいろいろあるだろうしな。


「お時間はどのようになさいますか」


「ああ、そうだな……」


「なあ、どうする?」


俺は振り返り、エッシェル達に質問する。


「ボクは別に今すぐじゃなくてもいいよ」


「私もー」


「分かった」


「じゃあ、適当に一時間後くらいにしてくれ」


再び魔法陣の方を向き、言う。


「了解しました」


魔法陣から聞こえる声が途切れたと思うと、魔法陣の光が収まる。


「本当に遠くの人と話せるんだね!!」


「本当に電話みたいに使えるんだな」


「デンワ……?」


「あ、いやなんでもない」


そう言えばこの世界に電話はないんだった。


「ところでさ、ボク達何して待つ?」


「まだあと1時間くらいあるからな。何をしようか」


そう言えばこの世界に来てからというものの、暇になる時間がなかったからな。何をするか。


うーん、錬金術で何か面白いものを作れないか。



…………ないな。



錬金術じゃこの世界にないものは作れないからな。

この世界にある遊び道具なんて知るはずもない。


うーん、何か錬金術以外でものを作るのに向いた生産系のスキルはないものか……


ー魔術加工師・造形 MP消費:1gにつき2ー


おお、なんかそれっぽいものが浮かび上がって来たぞ。

多分形を変える系のものだろう。


ん、いいことを思いついたぞ。


水を宙に浮かせていられるような魔法はあるだろうか。


ー古代魔術師・水分操作 消費MP:300000ー


うわぁ、古代魔法だぁ……


遊び道具を作るためだけに古代魔法を使うのか……


うん。仕方ない。


「森羅万象を調停せし氷の神よ!!」


前使った魔法よりは大きさが小さく、半径7メートル程度の魔法陣が浮かび上がる。

もちろん部屋の中で使うには魔法陣が大きすぎて壁や天井にめり込んでいる。


「生命の源となる水を司りし力を今ここに解き放て!」


魔法文字が浮かび上がってくる。


「え!?!?何してるの!?!?」


「古代魔法!?!?!?」


エッシェル達がびっくりしている。

確かに急に古代魔法を使われたらびっくりするか。

詠唱中で何も言えないから聞こえないふりをしよう。


「恵みありし者に生を、恵みなき者に死を!!」


「え!?!?何!?!?」


「ここ王城だよ!?」


「恵の水よ、我につき従え」


「「うわああああっ!!!!」」


エッシェル達が頭を抱えてしゃがむ。


「第八階位氷属性古代魔法、水分操作!!!」


………………


魔法陣が光って消え、魔法が発動したが何も起きない。


それもそうだ。

何故なら、俺の頭に浮かんで来た情報によるとこの魔法は一定時間水分を操る力を獲得するものであるため、水分を操らない限り何も起きないのだ。


「…………あれ??」


「生きてる……?」


「これは遊び道具を作るたに使った魔法だ。気にするな」


「いや遊び道具を作るって……ボクの目には、今の古代魔法に見えたんだけど」


「そうだな」


「古代魔法を遊ぶために使うなんて流石だね……」


「そ、そうか」


とりあえずこれで準備は整った。


「錬金術、酢!!」


シエラとあった日に回った屋台に酢を売っている屋台があった。

今でも謎に印象に残っている。

何故売っているのか意味が分からなかったが、おかげで錬成できる。


俺が唱えると、空中に容器に入っていない酢が直接出てくる。


通常ならば床に落ちて床がびしょびしょになっていたが、水分操作のおかげで空中に浮いている。


「錬金術、牛乳!!」


空中に、酢と少し離れた場所に牛乳が出てくる。

前屋台の裏にあったのを見た気がしてたがやっぱそうだ。

牛肉があるなら牛乳もある。

当然の理論だ。


「障壁!!」


空中に浮いている牛乳を障壁で立方体型に囲う。


「火炎弾!!」


障壁の分厚さを調節して、うまく牛乳を加熱する。

これは前焼肉ができなかった未練から考えついた方法だ。


十数秒熱すると、すぐに沸騰した。


沸騰したのを確認すると、障壁を解く。


そして俺は空中に浮いている牛乳、そして酢を混ぜ合わせる。


すると、だんだんと中に固形物が見えてくる。


「よいしょ」


固形物がある程度見えたところで、液体成分を水操作で操ってどかす。


まだ固形物に水分が残っているおかげか、固形物もまだ操れる。良かった。


「おらあああっ!!!」


今度は固形物を勢い良くシェイクし、強制的に冷却する。


「障壁!」


今度は固形物の下側だけに障壁を作る。


「よいしょ」


今度はほぼ全ての水分を固形物から取り除く。


「障壁!!」


固形物だけになったところで、障壁で上下左右完全に囲う。


「火炎弾!!」


再び熱する。


少ししたら火を止め、再び加熱。


これを繰り返すうちに、固形物がしっかり固まった。


「なにこれー!!」


障壁に囲われ、空中に浮いている固形物を見てエッシェルが言う。


「これはプラスチックっていう素材だ」


そう、牛乳と酢があれば手軽にプラスチックが作れるのだ。

ちなみにこれは小学生の頃自由研究で得ていた豆知識である。

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