2/2
喫煙所にて
井田さんと言う人と、喫煙所で話した。
井田さんはこの病院に入院するのが三回目らしく、
外にいるより、ここの中の方が快適だと笑っていた。
その笑い方は、自虐とか諦めとか、
そういう暗いものではなくて、
どこか本当に落ち着いている人の顔に見えた。
井田さんは、他の病棟の説明をしてくれた。
アルコール依存症の人たちがいる病棟。
末期の病気で、
家族ももう誰もおらず、
看護師しか頼れる人がいない人たちの病棟。
喫煙所へ向かう道は、
どこも消毒液と据えた匂いが混ざっていた。
私は鼻がきくから、
ずっと手で口元を覆っていた。
喫煙所で話した女の人は、
アルコール依存症らしかった。
手が異常に震えていて、
呂律もうまく回っていなかった。
タバコを咥えたまま、
何度もライターを擦るのに、
うまく火がつかない。
見ていられなくて、
私が代わりにつけてあげた。
ありがとう、別嬪さんだね。
大変だよね。
そう言われた。
知らない人だった。
たぶん、普通に生きていたら、
絶対に関わらなかった種類の人だった。
それなのに、
その言葉は不思議なくらいあたたかくて、
私は少しだけ、
心がほんわかしている自分に気づいた。




