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白銀皇女の覇道譚 ~侵略国家の皇女は覇道を歩む~  作者: YUU
間章 二つのお茶会

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間話1 久しぶりのお茶会

三章の前に二話ほど間話を投稿します。

 その日、普段は学園の学生寮で生活しているアルメリアは久しぶりに昔に彼女が暮らしていた離宮に帰ってきていた。

 今日の彼女の目的、それは最愛の姉であるマリアーナとのお茶会だった。


「お久しぶりです、お姉様。お会いしたかったですわ」


 そして、アルメリアはカーテシーを披露する。そんな彼女の様子を見ていたマリアーナは笑みを浮かべた。


「ふふっ、アルメリアももう立派な淑女ね。幼かったあの頃とは大違いよ」

「まぁ、お姉様にそう言って頂けるなんてとても光栄ですわ」


 そして、アルメリアは改めてマリアーナと向かい合う様に椅子に座る。


「さぁ、私達のお茶会を始めましょうか」


 マリアーナはニッコリと微笑むと、そう告げる。そして、彼女達のお茶会が始まった。


「アルメリア、学園での生活はどうかしら。不安はないかしら?」

「ええ、学園もとても楽しいですわ。アークスとアミィというお友達も出来ましたの。それにアイシャ先生とも仲良くなれましたわ」

「まぁ、それは良かったわね」


 勿論、アルメリアもマリアーナには話せない事を幾つも抱えている。

 しかし、それでも彼女は今の自分が話せる事の全てを話していた。


 今のアルメリアにはリリアという侍女がいる、アークスとアミィという側仕えもいる。

 しかし、彼等はアルメリアの配下である。故にアルメリアにとって彼等はどうしても対等の存在にはなり得ない。

 だからこそ、こうして対等に話し合う事が出来る存在は彼女にとっては貴重だった。


「実は学園ではこんな事もあって……」

「あら、そうなのね」


 だからこそ、アルメリアは外では見せない様な声色でマリアーナとのお茶会を楽しんでいた。

 そんなお茶会の最中、マリアーナはふと不安気な表情を浮かべた。


「お姉様……?」


 アルメリアは姉の突然の変化に戸惑う。もしかしたら自分がマリアーナを不快にさせてしまったのではないか、と思ってしまったのだ。

 だが、アルメリアのその言葉に彼女は何か意を決した様な表情を浮かべ、口を開いた。


「……実はあなたに言わなければならない事があるの。……実は私、もうすぐ結婚する事になるわ」

「えっ……」


 マリアーナの突然の告白にアルメリアは呆然とした表情を浮かべる。


「少し前にね、お父様に突然呼び出されてこう言われたのよ。お前にはこれから他家に嫁ぐ事になる、って」

「……おっ、お相手はどのような方ですの!?」

「分からないわ。今はまだ相手を選定している段階だそうだから……」

「……お姉様は本当にそれで宜しいのですか?」

「……顔も知らない相手との婚姻、怖くないと言ったら嘘になるわ。でも、これも皇族として生まれた者の義務だもの。仕方がないわ」

「そんな……」


 二人がこうして会えるのはマリアーナがまだ帝都で生活しているからだ。

 だが、彼女が他家に嫁いでしまえば、こうして会う事が出来る機会は激減してしまうだろう。

 もしかしたら、その日が今生の別れになってしまうかもしれない。

 アルメリアにとって、それはとても耐えられることではなかった。


「わたくし、お父様に抗議してみますわ」

「っ、駄目よ。そんな事をすればあなたがお父様の不興を買ってしまうわ」


 アルメリアとは違い、父であるガイウスに対して恐怖心を抱いているマリアーナはアルメリアを必死に止めようとする。

 すると、彼女の意思が伝わったのか、アルメリアは諦めるかの様に項垂れた。


「……お姉様がそう仰るのなら、今は従いますわ」

「分かってくれたのね。じゃあ、今度はあなたの学園での生活についてもう少し教えてくれるかしら」

「ええ、分かりましたわ」


 そして、二人のお茶会の話題は別なものへと変わっていく。

 だが、どうしても諦められないアルメリアは後日ガイウスにマリアーナの婚姻の件についての直談判を行った。

 その結果、マリアーナの婚姻は延期するという判断が下されるのだった。

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