運
「俺が最後か~。さっさと終わらすしかないっすね。我は稀代の英雄なり。我の振るう一太刀は空を割り、我が穿つその一撃は海を割る。英雄の鎧、英雄の盾、英雄の剣を我は欲する。我に英雄足り得るその力を! 悪たる敵を破るその力を! 超常の力を我に!『リミットブレイク』」
大仁田さんが中級の強化魔法を発動させクマを力で押し始める。
「おおりゃあああああ~」
大仁田さんの戦斧がクマの身体を削っていく。
「ガフッ」
クマはいたるところから血を噴き上げその場へと倒れ、そのまま消えた。
地面には魔石が一つ残されている。
わずかに一つとはいえ明らかに他のモンスターのものよりも大きい。
いったい、いくらくらいになるのだろうか。
「ブリザードベアの魔石ですね。これは期待できますよ。これでローンの繰り上げできる。ふふふ」
やはり高額で間違いないようだ。
センシティブな内容なので聞いたことはないけどやっぱりあのマンションのローンなんだろうか。
「ブリザードベアは、この階層では上位のモンスターですね。群れる数は減りますが気を抜ける相手ではありません」
「いや、ブリザードベア3匹に今の手際ならわるくないだろう。後藤隊、流石だな」
「ありがとうございます。これも明神隊のフォローあってこそ」
「そうだと言いたいところだが、俺達が居なくても問題なくやれただろう」
「たまたまかもしれませんが、後藤隊と活動し始めてから魔石のドロップ率が上がっているような気がしますね」
「それはこちらも感じていることではありますが修太朗さんが所属するようになってからですね」
「まさか」
「いえ、本当です」
「花岡は運まで操作できるというのか」
「理由は不明ですが魔力の量が関係しているのかもしれません」
「そんなことあるのか」
犬に噛まれたり、そう運がいい方ではないと思うし、多分俺は無関係だとは思うけど。
その後も夕方6時になるまでモンスターとの戦闘を繰り返しながら探索を続けた。
やはり時間いっぱいまでやれると活動量が違う。
「そろそろ時間ですね。適当な場所を確保しましょう」
後藤隊長の指示で、少し見通しのいい場所へと移動して腰を下ろす。
気温が低いのでダンジョンのフロアがかなり冷たい。
「それでは食事にしましょう」
今日の食事はカロリーバーのような携帯食。
俺は初めて食べるけど防衛機構の支給品で、かなりのハイカロリーかつ必要な栄養素はこの一本でほぼ賄える優れものらしい。
味はチョコレート味で普通に美味しい。
ただ、この気温の中夕食がカロリーバーだけというのも結構アレだけど、みんな慣れているのか特に気にした様子はない。
食事はあっという間に終了となる。
期待していたキャンプとはちょっと違うな。
おそらく、ここが7階層でなければあまり気にならなかったかもしれないが、寒さのせいで温かいものが欲しくなるのは贅沢というものだろうか。
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