お泊り
「えっ? 泊まりですか」
「ええ、上からのお達しです。来週から何度かやるみたいですね。修太朗さんは初めてですから大仁田くんにレクチャーを受けてください」
「わかりました」
ついにというか、思っていたよりも早く来たという感じだ。
憧れのダンジョンキャンプだ。
そのままの流れで大仁田さんにレクチャーを受ける。
「特にないんすけど、寝袋が増えるくらいですかね」
「テントとかは?」
「ないっすね。かさばるじゃないですか」
「たしかに」
「あと、長期の場合はもっと本格的に食料とか持ち込んだりサポーター頼んだりするんですけど、今回は短期なので携帯食で賄う感じっす」
「わかりました」
「あと、夜は交代制でモンスターに備えます。今回は二隊いるんで楽できると思います」
「了解です」
どうやら、今回のように短期の泊まり込みの場合は、俺が考えていたキャンプというより野宿に近い感じなのかもしれない。
当然ながら、モンスターに時間は関係ない。
夜もモンスターの襲来に気を配る必要があるのは当然だろう。
それでも非日常的なシュチュエーション、楽しみであることに変わりはない。
俺自身は特に備えることもなく日々の業務をこなしつつ、当日を迎えた。
「それでは、本日は泊まりでの探索となりまので帰着は明日となります」
いつもと同様の隊列で進んでいく。
泊まりだからと言って特に変化はなく、進行スピードは速い。
昼を少し過ぎたタイミングで七階層へと踏み入れる。
むしろ徐々にスピードアップしている感すらある。
ただ、今日は帰る時間を気にする必要はない。
7階層で目いっぱい活動できる。
活動時間が長くなるが、俺の肌感覚では普通にやっている限り問題ないだろう。
「すべてを焼き穿ち燃やす。火は礫、眼前の敵をその礫で炭となせ。五指にその礫を宿し放て『ファイアバレット』
既に回収できた魔石は十を数える。
多くて困ることはないが、少し出来過ぎな気もする。
いつもより奥に来ているせいで、吐く息が白い。
「ううっ、さむいよ~」
「大丈夫か?」
「修太朗が一人で倒しちゃうから、体が冷えちゃって」
「ああ、すまない。変わった方がいいか?」
「それもな~。ある意味楽できてるわけだし。寒いのは我慢する」
俺は炎の魔法を使い、モンスター相手にそれなりに動いているからかそれほど寒さは感じない。
ただ、ほとんど動きのない後衛は寒さを感じても当然だ。
そういう意味では明神隊も同様かと思ったけど、そこまで寒さに影響されている様子もない。
慣れているという事なのかもしれない。
「おおおおおおおお~っ! 寒い~!」
大仁田さんがモンスター相手に戦斧を振り回しながら寒さを口にしている。
確かに大仁田さんのスーツは俺のものとは違いノースリーブとなっている。
おそらくは本人による希望だとは思うけど、運動量は多いとはいえここでは流石に寒いかもしれない。
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