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時の加護者のアカネの気苦労Ⅲ~闇を招く手  作者: こんぎつね
3章 ブリコラージュ
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落ちまくる外道

 私は「時の加護者」アカネ。

 ケイキ港にて魔王アルデンと私たちの闘いは幕を上げた。最初の相手は魔将レストだった。アルデンによって狂剣士のゼロの魂を上書きされたレストだったが、そんな事は絶対に許さない。私の蹴りは時の次元を超え、ゼロの魂を魔将レストから引きはがした。そうすれば魔人レストはきっとロッシの記憶を思い出してくれるはずだ。

—ギプス国 ケイキ港—


 私の攻撃に胸骨を砕かれた魔将レストは、気絶してしまった。


 「シエラ、ロッシは大丈夫かな?」

 「ロッシではないですよ。魔将レストとか言ってましたよ。まぁ、人間じゃないなら多少は大丈夫でしょ」


 「貴様ら、余裕ぶっているが、魔将はそいつだけではない。既に『空転の翼輪』を授けたあ奴らは空を飛び、今頃、王都を地獄に化しているのだぞ」


 「だからさ、ちゃんと助っ人頼んでいるんだよ。僕らだって身体が2つ、3つあるわけではないからね」

 「それよりもドルヂェ、あなた自分の心配したら?」



 「ドルヂェではない。私は魔王アルデンだ。心配? 心配などなぜする必要があるのだ?」



 アルデンはこの期に及んでもドルヂェと呼ばれることの不愉快さに鼻の頭にしわを寄せていた。


 [ — ザイゲルバシティアラーズ — ]


 この呪文には聞き覚えがあった。昔、リュウセイという敵が私にかけたことがある魔法だ。


 それは時を固定する魔法。



 「やはり、お前らとまともに闘うのは危険だ。私は安全策をとろうと思う。どうだ、動けまい?」


 「なるほど。この程度なら完全にお前の負けだな」


 あっさりと動いて話をするシエラにアルデンが一瞬固まった。


 「ねぇ、魔王アルデン、私を誰だと思っているの? 私は『時の加護者』アカネだよ。時を統べる者に時間魔法をかけるのは、海底を見るために海水をバケツでくみ上げている事と同じだよ」


 「く、くそ。ならば — ニ・ナチェイアー—」


 再び私とシエラは固まった。アルデンがかけた魔法は「両翼無風破」だ。切り抜いた空間を写真の様に凍結させてしまう魔法だ。だが、これも既にソルケの「不縛の剣」で経験済みだった。


 まるで雪国の朝、凍り付いたドアを開けるようにバリバリと音をたてながら空間を割って歩き出た。


 「これってソルケの『不縛の剣』と同じ? なんかソルケの技よりも質が悪いよね」


 「そんな馬鹿な。ふざけるなぁ!」


 魔王アルデンはプライドを傷つけられ、かなりイラついている様子だった。


 「魔王アルデン、お前、もう終わりだよ。こんなことやっている間に、後ろを見てみな」


 周りをキョロキョロするアルデンにシエラが海を指さす。


 そこには白鯨ズールの背中にのる魔人ルカとカレンが乗っていた。


 「ルカだと!」


 アルデンは焦りの色を隠せなかった。


 ルカは港に上陸するとアルデンに対して静かに語り掛けた。


 「久しぶりだ、ドルヂェ。いや、今は魔王アルデンだな。君のおかげで大変だったよ。僕は何人もの優しい人たちを闇炎で焼いてしまった。本来はそんな使い方ではないのに.... だから今こそ君に本来の使い方をするよ。穢れのせいとはいえ、君の行った事は許される事ではない。君がドルヂェに戻った時の事を思うと胸が痛むよ」


 そういうとルカは手の平を天に仰ぎ叫んだ。


 [ —カイゼル・ライデル・リジィル— わが炎よ、邪心を焼き尽くせ ]


 闇色の炎はルカの手より回転しながら一気に港一面を業火で焼き尽くす。業火は私たちをも巻き込んだが熱くはなく、寧ろ氷穴のしっとりとした風の様に心地よい冷たさを感じた。


 現世では全てを焼き尽くす業火も、この異世界アーリーにおいては魔人の中に竦む邪な心だけを灰にする炎なのだ。


 馬獣ホウカイの上で魔王アルデンは業火に包まれながら沈黙を続けている。


 「はは.. はははは.. ルカの炎など役に立つ者か、この愚か者どもめ! 私がわざわざ出向くとでも思ったか? 王というものは駒を上手く動かしてこそ王なのだ! 」


 馬獣ホウカイの上の魔王アルデンとダリにノイズが走る。


 「投影か....」


 「そのとおり、柔らかい空間に我らの姿を投影させたのだ。お前らが見ているのはシェクタ国にいる私とダリの姿だ。さて、時の加護者、やはりお前は危険だったな。だからこそ私は今、新たな力を得る決意を固めた。いったい何をすると思う」


 アルデンはダリを見つめると下卑た笑みを浮かべた。


 「やめろ、やめるんだ!」


 「ルカ、ダリはお前の姉のような存在だったな。私にとっては.. 好いても手に入らない花だった。ダリの心にはローキがいるのだ。作られた記憶のくせに。だから、いま。ダリと一緒になるのだ。....こ奴、顔は極上の美女だから、興奮するのう。ガハハハハハ」


 もはやドルヂェの記憶なのか、アルデンの記憶なのかもわからない状態だ。そして、歪んだ笑い声だけを残して投影魔法は立ち消えた。


 その時、ルカの顔が焦りの色に変わった。


 「まずいよ! アカネ! あいつ、ダリをとり込んだら、「空間の扉」を使ってナンパヒ島へ行く事が出来ちゃうよ。ツグミ様が危険だ!」


 魔王アルデンとの接触を避けるために「法魔の加護者」ツグミはナンパヒ島のルル診療所にいるのだ。


 それが、今、魔王アルデンには好都合となってしまったのだ。


★作者こんぎつねからのお願い。

この度はありがとうございます。

実は作者はモチベ維持のためにみなさんの感想などをいつでも受け付けています。

ですので、一言二言でも残していただけると励みになります。

厚かましいお願いですがよろしくお願いします。

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