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97話・毒のバブル


「ドグウ!しっかりしろ、ドグウゥゥゥ―――ッ!?」


「何を言っているのですか...?死んだ者はしっかりなんて

しませんよ...くくく!」


無駄な事をする相手に、ファングの失笑が込み上げてくる。


「あ、あの野郎!ふざけた事を言いやがって!」


「ま、待て!相手の挑発で、やたら無闇に突っ込むな!お前も

殺られるぞ!」


ファングの挑発に乗ろうとした屋台の主を、別の屋台の主が

止めに入る。


「あ...!ぐぬぬ...り、了解...!」


その声で、挑発に乗ろうとしていた屋台の主の冷静さが戻る。


「こちらの挑発に、乗ってきませんか...ならば!強引にやる

までです!」


『毒りなさい...ポイズン・バブルッ!!』


ファングがポイズン・バブルの魔法を詠唱すると、毒々しい無数の

バブルがふわふわと屋台の主達の場所へ飛んで行く!


「みんな、あの泡には気をつけろよ!あれに触れると、一発で猛毒

状態になってしまうからな!」


「いくら気をつけようとも、私との戦闘中にうまい事、避ける事が

できますかな?ハァァ―――ッ!イヤァァ――――ッ!!」


そう言うとファングは剣の波動を使って、屋台の主達をポイズン・バブルの

浮いている場所へ移動させていく。


「クソ...こいつ、毒のバブルのある方へ迫い込もうとしてやがる!」


「おい、そんなに回りへ気をつかうな!奴の攻撃にも集中するんだ!」


「そ、そんな事を言われても...って、しまっ―――――グァアアッ!?」


「油断しない...だから、そうなるんですよ...くくく...」


周囲にある毒のバブルへ気をつかい過ぎて、前から攻撃してくるファングに

気がつかず、屋台主のひとりが斬り捨てられる。


「さて...次はどなたが私の相手をしてくれるんですかな?」


ファングは自分の目の前にいる、屋台の主達を次々と値踏みする。


「お、己...何て強さなんだ、このジイさん...」


「老いたといえ、流石は首斬りファングの二つ名は伊達じゃないって事か...」


こちらを見てくるファングの威圧感たっぷりの殺気に、屋台の主達がたじろいて

後退りしてしまう。


「おやおや、攻撃してこないんですか...?それとも、降参しますか?」


「だ、誰が降参なんてするか!だろ、みんなっ!」


見下してくるファングに、屋台の主が焦りを見せるものの、強がりを

奮い立たせて、何とかファングと対峙する。


すると、戦えない人達の前に立っていたアンジュが、沈痛な面持ちで

屋台の主に近寄り......


「しかし...このままじゃ、あなた達が全滅してしまう...。もしそうなって

しまったら、私はお父さんへ合わせる顔がなくなってしまうわ!」


「う...それは...」


アンジュの懸命の嘆きを聞いて、屋台の主達が尻込みして言葉を詰まら

せてしまう。


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